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写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノン・1億2,000万画素と世界最大/超高感度CMOSを開発

キヤノンが相次いでCMOS撮像素子の技術開発を発表しています。8月24日にはAPS-H(約29.2×20.2mm)で約1億2,000万画素のもの、8月31日にはチップサイズが202×205mmと世界最大で、大型化により集光量を増やすことによりプロ用デジタル一眼レフの約1/100の光量で撮影できるというものです。原寸より大きく見るときれいですね。

上の写真は約1億2,000万画素のCMOSキヤノンAPS-HサイズのEOS–1D Mark IV(約1,610万画素)の約7.5倍にあたるというのです。その内訳は、13,280×9,184画素で、画素ピッチは約2.1μm、解像度はEOS-1DsMarkIII、EOS-5DMarkIIの2.4倍。キヤノンでは読み出し回路のタイミング制御方法を工夫して、9.5コマ/秒の出力を可能として超高精細画像の連続撮影を可能としたとのことです。このセンサーは、フルHD(1,920×10,80画素)の動画出力機能をもっており、約1/60の領域でフルHD動画出力ができ、任意の領域を指定して画面の一部を切り取ったり、電子ズームを行っても今まで以上に高精細で鮮明な画像を得られるというものですが、カメラの在り方も変わる可能性も秘めていることを臭わせています。


上の写真で左がチップサイズが202×205mmという新開発の大型撮像素子、右が35mm判フルサイズの撮像素子です。キヤノンのフルサイズ一眼レフであるEOS-1DsMarkIII、EOS-5DMarkIIの撮像素子面積の約40倍相当だそうです。撮像素子の大型化は、出力回路に難しさがあったとされていますが、これを回路技術で解決し、さらに画像欠陥やゴミなどを抑えた徹底的な製造プロセスのクリーン化などにより、動画対応の巨大撮像素子の開発に成功したというものです。この結果、フルサイズのCMOS撮像素子の約1/100でも撮影が可能となり、星空や夜間の動物の動画撮影など、月夜の半分程度の明るさ0.3Luxでの撮影も可能となったそうです。
キヤノンでは2007年にAPS-Hサイズで5,000万画素CMOS撮像素子の技術開発を発表していますが、そのときの画素ピッチが約3.2μmであったのを今回は約2.1μmとしたわけですが、その画素ピッチはコンパクトデジタルカメラのそれとかなり近似しているのではないでしょうか。それと同じように計算し、1億2,000万画素のAPS-Hサイズの画素ピッチと同じものを、チップサイズが202×205mm(12インチ:約30cmウエハー使用)にあてはめると84億2,400万画素のモンスター撮像素子が登場となるのかもしれません。
さて、これだけ高画素、大型、高感度撮像素子の登場は、どのような画像分野(映像分野)に恩恵をもたらすのでしょうか。価格は別としてスチルカメラ分野では大判カメラ用のデジタルカメラバックの登場も夢ではありません。ただここまで特殊なものは、業務用それも動画分野での活用が大いに期待されているのではないでしょうか。世の中では、フルHDTV(1,920×1,080)に対し、4倍の解像度をもつ映画用4K(3,840×2,160)、さらに16倍のスーパーハイビジョン=ウルトラハイビジョン(7,680×4,320)の研究も盛んなわけです。とりわけフルハイビジョンの動画分野では、キヤノンEOSシリーズが独壇場であり、他社の追随を許さないというのが現状。キヤノンは新しいマーケットを確実につかんだようで、その前段階が今回の撮像素子の相次ぐ技術発表ではないのでしょうか。
業界筋によると、この時期デジタルカメラ用の撮像素子は需要に対し供給が追いつかないようです。これは長引いた半導体不況の影響により供給メーカーの設備投資が遅れたため、伸長に製造が追いつかないようです。また、撮像素子を供給している一部メーカーは自社新製品の予想を超えるヒットにより、他社の分までめんどうを見きれないといったような事情もあるようです。いずれにしても撮像素子を自社開発製造のキヤノンにとっていまは好期なのかもしれません。なお、関連として1月18日に「明日のデジカメの姿が見えてきた」をアップしてあります。ご覧下さい。