写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノン EOS 70Dの像面位相差検出AF

 キヤノンEOS 70Dが8月29日に発売されました。このカメラ僕にとってはなかなか手ごわくて、8月23日の発表会には久しぶりにわざわざ出向いて試写までさせてもらったりで、やる気満々だったのですが、なかなか筆が進まないというか、考えがうまくまとまらなかったのです。実は、いまもその状態なのですが、このままではどんどん時が過ぎて行ってしまうと考え、あえてその疑問をここでぶつけてこの場をとりつくろうと考えたわけです。まず、デュアルピクセルCMOS AFは『すべての有効画素が撮像と位相差AFの機能を兼ね備えている新構造のCMOSセンサーを使用した、画期的な撮像面位相差AF技術です。』と解説されています。この撮像面位相差検出方式は、2010 年に発売されたレンズ非交換のコンパクトのフジフイルムFinePix F300EXR とZ800EXR が初で、レンズ交換式のミラーレス機としては2011 年の「ニコン1」が最初で、位相差検出は73ポイントでした。その後2012 年の一眼レフ「EOS Kiss X6i」は、静止画はミラー下部の位相差AFセンサー、動画では像面位相差AFとコントラストAFの併用を採用。同じ2012年のキヤノン初のミラーレス機である「EOS M」、さらには2013年発売の「 EOS Kiss X7」では像面位相差とコントラスト検出のハイブリッド方式を採用していました。それが、有効画素数すべてが位相差AFの機能をもつというのですから、わずか3年ぐらいの時間でこれだけ進歩するのは驚きです。その原理をニュースレリーズから右上の図に示しましたが、2つのフォトダイオードが、それぞれ独立して光を取り込むことが可能で、AF時にはそれぞれのフォトダイオードからの信号を検出して、位相差AFセンサーとして活用し、撮像時には2つのフォトダイオードを合わせて画素として画像信号として出力するというのです。一眼レフのピント合わせは、撮像面とは別の光学的に同一距離にある位相差AFセンサーで測距するわけですが、撮像面に位置する位相差AFセンサーのほうがAF精度は高そうですが、実際に写る像のコントラスト検出方式と比べると、合焦速度は速いことはわかりますが、現実的な精度はどうなるのだろうかと、気になりました。一眼レフとして撮影するとき、EOS 70Dでは19点全クロス測距だそうですからそれだけ従来機より測距精度は高いのはわかります。いずれにしても像面位相差検出AFは、ライブビューの動画撮影や一部静止画ではかなり力を発揮するのではないかと思うわけです。そこで思うのですが、位相差検出ならピクセル間の距離が基線長となるわけですが、撮像面で対のセンサー距離を長くとったのと精度はどのように違うのだろうか? どのくらいのF値のレンズにAFは対応するのだろうか? 2つのフォトダイオードが独立して光を取り込むことが可能ならば、それぞれ独立した画素として機能させたら、一気にAPS-Cで4,000万画素超の撮像素子になるのでは? とか考えてしまうのです。ま、そんなことを考えていたら、筆が進まなくなってしまったというわけです。
 とはいっても、そんなこと考えながら写真を撮るわけではないので、とりあえず発表会での1コマを紹介しましょう。

【EOS 70D+EF-S 15〜85mmF3.5-5.6 IS USM】焦点距離15mm、プログラムAE(F3.5・1/40秒)、ISO200(感度自動設定)、測距エリア自動選択、評価測光、AWB、画像サイズ5472×3648ピクセル(撮影時オリジナル)。
 試写用の貸出機はISO3200、絞り優先AE(F5.6)、となっていましたが、いつもの僕の撮影スタイル、プログラムAEISO感度自動セットに変えての撮影です。このためバレリーナ(フラダンサーではありません)が激しく動き回るので、ブレてしまいました。でも、よく写ることは間違いないです。やはり屋外に持ち出して、さまざまな場面で使ってみなければわかりませんので、機会あればもう一度じっくり使ってみたいと思いました。
オリンパスOM-D E-M1も像面位相差AFを採用
 なお、9月10日にオリンパスのプロ用一眼レフE-5の後継機(これで4/3一眼レフ機は終了なのですね)として発表された『オリンパスOM-D E-M1』では、コントラストAFと像面位相差AFを最適に選択、併用する「DUALFAST AF」を新たに開発し、1,628万画素LiveMOSセンサー撮像面に37点の位相差AFセンサーを配置してあるというのです。今後は、オリンパスを含めミラーレス機の場合には、撮像面像面位相差検出方式の搭載が加速されると考えられますが、その数的な配置は各社それぞれといった感じで、最終的にどのような形で落ち着くのかまだまだ時間が必要のようです。