写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノンEOS M 5の登場

 キヤノンから「いままでのミラーレスに満足しているか?」ということで、EVF 内蔵のミラーレスカメラ『EOS M5』が9月15日に発表されました。このカメラはEOS M シリーズで初となる「デュアルピクセル CMOS AF」の採用により素早く 追従性の高い AF を実現したといわれるもので、同時に小型・軽量設計を実現したミラーレスカメラ専用の高倍率ズームレンズ“EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM”が 2016年11月下旬より同時に発売されます。この「いままでのミラーレスに満足しているか?」とは、どういうことなのでしょうか。キヤノンによるとAPS-CサイズCMOSセンサーで、有効画素数約2,420万画素の全画素が撮像と位相差AFの両方を兼ねて機能するため、幅広いエリアで素早い合焦と滑らかな追従ができ、AF・AE(自動露出制御)追従で最高約7コマ/秒、AF固定では最高約9コマ/秒の連写性能を実現するというのです。つまりシャッターボタンを押したときのレスポンスが速いというのです。そこで、旧モデルのEOS M3のその部分を見ると、画素数2,420のハイブリッドCMOSセンサー、サーボAFで2.4コマ/秒、AF固定で4.2コマ/秒というわけです。そこで、EOSシリーズのミラーレス、APS-C、フルサイズに、最高標準感度を加えて比較してみたのが以下の表です。

 こちらをご覧いただけるとおわかりのように、EOS M5は、EOS M3より連続撮影コマ速度が2倍以上向上しているのです。このあたりにM5は力を入れたことがよくわかります。キャッチフレーズの「いままでのミラーレスに満足しているか?」というのは、他社のミラーレス機を指しているのでしょうが、フルサイズミラーレス機を別にすれば、残念なが他社ミラーレスのAPS-C、M4/3の最高コマ速度ほうがわずかに早いというわけです。ただ、キヤノンはこの時期発売したEOS 5D Mark IVは、フルサイズですが連写は7コマ/秒の速度となっています。最高コマ速度は、人によってはとにかく早いほうがいいという人がいるのでしょうが、逆に4〜5コマ程度でもいいという人もいるのです。その点においては、少なくともキヤノンのラインナップには一眼レフもあり、14コマ/秒のEOS1DX Mark IIもあるわけで、EOS M5にそこを期待すること自体意味のないことです。むしろEOS 5D Mark IVも7コマ/秒としたあたりに、キヤノンとしてのコマ速度のバランスを見たのかもしれません。その点をさらに進めるとフルサイズよりも機械的な運動量、撮像素子のデータ量も場合によっては少ないわけですから、「フルサイズ⇒APS-C⇒M4/3」と連写速度は上げられるのではないかと思うのです。
 ところで現在、趣味として写真を楽しむ人は若い学生から高齢者まで男女を問わず多いのですが、先日とある写真教室の先生と話していたら、最近は生徒さんに一眼レフでなくミラーレス機を勧めているというのです。小型・軽量の普及タイプ一眼レフが存在することは十分承知しているようですが、高齢者に対して現在の高級一眼レフは肥大化しており、大きさ・重さの面から、勧めるのはつらいというのです。要は、趣味の人に所持することを満足させる小型・軽量の高級一眼レフやミラーレス機も十分に成立するはずなのです。今回発表された『EOS M5』がそれに応えられるかはわかりませんが、これからの技術進歩とシステム展開によると思うのです。また、さらにフルサイズに発展するのか、APS-Cのままでいくのかはわかりません。画素数、感度、コマ速度と進歩させてきたデジタルカメラに、小型・軽量のためには多少の小型センサーでも十分だという発展的な展開もあってもいいと思うのです。なぜならば、現代はフィルムカメラでなく、デジタルカメラだからです。 (^_-)-☆