写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

京セラ 稲盛和夫名誉会長を偲んで

京セラの創業者で名誉会長の稲盛和夫氏が8月24日90歳で老衰で亡くなられた。稲盛さんといえば本業のほかにKDDIの設立や、倒産したJALの立て直しなどで知られていますが、私にとっては1983年にヤシカを吸収合併し、2005年にカメラ事業から撤退しましたが、その間22年間を見てきたことにより、それなりの思いがあります。

≪左:コンタックスRTS(1975)、右:コンタックスT2(1990)≫
  まず、改めてヤシカから京セラ時代までのカメラ技術を振り返ってみたいと思います。ヤシカの時代に一気に高級機としてのイメージを持たせるために発売されたのがカールツァイスレンズを伴ってポルシェデザインで登場したのが「コンタックスRTSシステム」(1975年)です。1976年には水晶発信制御とストロボTTLダイレクト調光を採り入れた「コンタックス139クオーツ」を発売。1978年には、ワインダー内蔵の「コンタックス137MD」、1982年のフォトキナでは交換レンズにAFカプラーを組み込みボディ内モーターAFの試作機「コンタックスAF」、ファインダー内ターゲットフレームが赤くLED点灯する光像式フォーカスエイド機の「ヤシカFA」で試作されましたが、実際のAFカプラー方式のカメラは1985年のミノルタα-7000で、光像式ファインダー測距表示が実用化されたのは1990年のキヤノンEOS10QDでした。
 京セラに吸収されてからの製品は、露出ズラシ機構を組み込んだ「コンタックス167MT」が1987年に発売され、1990年にはフィルムの平面性をだすためにバキューム機構を組み込んだ「コンタックスRTSⅢ」、さらに同年には高級コンパクト機として①チタンカバーボディ、②ファインダー窓面はサファイアガラス、③フィルム圧板はセラミック製、④シャッターボタンに多結晶サファイアガラスを採用、④コンパクトAF機なのにマニュアルフォーカスができるなど京セラならではの特長を備えた「コンタックスT2」を発売、さらに一眼レフでは既存のツァイスレンズをAFで使えるようにとバックフォーカシングの「コンタックスAX」を発売し、1999年には「コンタックス645」を発売、2000年には、フィルムとデジタルのバック交換機として発売した「コンタックスN1」をデジタルバックの出現を見ないまま事実上の開発終了となっているのです。
 これらの流れを見てわかるように、技術的にはユニークさをかなり持っていたカメラメーカーであることはわかりますし、吸収後も、かなり奔放なカメラづくりが許されてきたわけで、それができたのも稲盛さんがカメラに理解があったからだと思う次第です。
 私が稲盛さんにお会いしたのは、1983年の合併の記者会見を八重洲口の京セラビルで行った時ですが、稲盛さんは出席各社にコンタックス137MAをプレゼントするといわれ、その場でカメラの担当者に月内には届けるからと約束されたのはおどろきで、少しでもカメラの売り上げを伸ばしたかったのだと思いました。いずれにしても撤退までの22年間は、写真展会場としてのコンタックスサロンを銀座に設け、雑誌においてもキヤノンニコンに伍して広告を出稿してきたことも素晴らしいことでした。これらのことは昨今のカメラ情勢を考えると夢のようなことだったと思うのです。ご冥福をお祈りいたします。

8月19日は「世界写真の日」

 いまから3年ほど前に、「今日はカメラの日ですね」と写真仲間のKさんが言うのです。えっ、何それと聞き返すと、朝車に乗ってエンジンをかけると、カーナビのオープニングメッセージでいったというのです。その、今日とは「3月19日」なのです。詳しく聞くと、車はトヨタのミニバンで、カーナビは純正で型番はNSCP-W64と記されているからメーカーはパイオニアではないだろうかというのです。なぜ3月19日がカメラの日かということをパイオニアに聞くのもいいかなとも思いましたが、その前にWebで調べてみますと、続々と関連項目がでてくるのでびっくりしました。

 私がおかしいと感じたのは、ダゲレオタイプ公開記念日の8月19日ならわかるけれど、3月19日とはどうしてだろうと考え、調べてみるとでてきました。そこにあったのはWeb検索時代のまさに弊害が見えてきました。まず、Web情報には必ず根っこがあるだろうと調べてみましたら、簡単に間違いの根源らしきサイトを見つけることができました。今日は何の日~毎日が記念日~というサイトですが、そこで3月19日の所に『カメラ発明記念日、1839年のこの日、フランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが写真機を発明した。この写真機は「ダゲレオタイプ」と呼ばれ、長時間露光させるため写真機の前で長い間じっとしていなければならなかったが、大変な人気を集めた』とあるのです。このダゲールが……という件から簡単に間違いと判断できたのは、本来は1839年の8月19日であったのを、1839年の“3月19日”と読み違えたか、ミスタイプしたかなのです。このサイトには使用上の注意というのがあり『当サイトで……情報の正確性は保証しません。……生じたいかなる損害又は利益逸失に対しても、私は責任は負いません。……ご自分で確認をするようにしてください。』と書かれています。このサイトを運営しているのは女性で、間違いを見つけたら連絡くださいとも書いてあります。

 それはおかしいでしょうと、SNS上の写真仲間と話していましたら、それに呼応したようにエレベーター内の液晶パネルに今日はカメラ発明の日とか表示されたり、あげくの果ては、写真業界の中心に存在するカメラやフィルムメーカーまでが3月19日はカメラ発明の日とやりだしたのです。これにはさすがSNSでつながった写真業界に関係する人たちが黙っているわけにいかなくなり、その方面に訂正を入れるよう働きかけると同時に、「今日は何の日~毎日が記念日~というサイト」へ訂正を申し入れてくれたのです。その後、このサイトから3月19日説は削除されましたが、ばらまいた種はまだあちらこちらに残っているのです。その時のやり取りからすると、かなり古い本を引き出し、そこが3月19日としていたというのです。結局このサイトからはカメラの日も消えて、8月19日に変更されてはいないのです。

■写真の日とカメラの日

 さて本題に戻りますが、1839年の8月19日はフランス科学アカデミーでルイ・ジャック・マンデ・ダゲール(Luis Jacques Mande Dauerre)の発明した「ダゲレオタイプ」の公開記念講演が、アラゴー(F.D.Argo)によって行われた日なのです。このダゲレオタイプは、現在は銀板写真とも呼ばれ、当時は“記憶を持った鏡”とも称され注目を集めました。この時印刷されたダゲレオタイプの小冊子は5か月間に29もの異なった版と訳本が欧米が流布されたとされ、如何に写真がこの時代に興味を持って迎えられたかわかります。このダゲレオタイプが公に発表されたのがこの日であり、現在では多くの国で『世界写真の日』と定められ、さまざまなイベントが行われています。

≪左:Louis Jacques Mande Daguerre(1787~1851年)、右:1839年に発売されたジルー商会のダゲレオタイプカメラ。ダゲレオタイプが公開された年にフランスのアルフォンス・ジルー商会からダゲレオタイプカメラが商業的に発売されたので、この年をもって世界で最初のカメラが発売されたとしています≫

≪左:1839年の8月19日にフランス科学アカデミーでLuis Jacques Mande Dauerreの発明した「ダゲレオタイプ」の公開記念講演がF.D.Argoによって行われたときのイラスト。もちろん写真術発明の公開日なので、その時代には写真はないのです。右:2018年に訪れて撮影したフランス科学アカデミー公開記念講演の会議場≫

 1666年に創設されたフランス科学アカデミーはセーヌ川の脇にあるルイXIV世の名の刻まれた建物のなかにあります。イラストと見比べて欲しいが、180年以上たった今日でも、まったく当時のままで今も会議場として使われているところが、ヨーロッパというかフランスらしいところです。

■日本における写真の日

 日本における写真の日は、公益社団法人日本写真協会が日本において上野彦馬が「天保12年にオランダ人から長崎にもたらされ、島津斉彬を写した…」、1907(明治40)年の松木弘安筆の『寺島宗則自伝』に「天保12年上野俊之丞と鹿児島に同行し、6月1日に島津斉彬を撮影…」などから写真の日を6月1日に定め、その後別の史実が明らかになりましたが、6月1日を持って写真の日としているのは日本という範囲でのことであり、そこの部分が明記されているので、特に問題になるとは私は思いません。

8月19日が「World Photography Day」ですが

 私は、あえてこの日を世界写真の日というのを日本でも行いましょうと提起しているわけでなく、やはり怖いのは最初に8を3と誤記、タイプミスしたことから始まり、それがWebに掲載されたとたんに、ネズミ算式に増えていったこと、それを疑わずにコピペした人がどれだけ多かったかということであり、さらには写真企業までがそのような情報を発信しているのは実に嘆かわしいことだと思うわけす。😢

 

 

ニコンZマウントAF対応「TTArtisan 32mmF2.8 Z」

 中国製の交換レンズやマウントアダプターを販売する焦点工房は、銘匠光学(めいしょうこうがく)の単焦点レンズ「TTArtisan AF32mmF2.8Zマウント」の先行販売モデルを、2022年7月6日(水)に発売すると発表しました。この先行販売モデルは、今後発売される通常モデルと比べてわずかにデザインに違いがあるため、数量限定の直販価格:24,999円 (税込)で販売するというのです。ニコンZ用のTTArtisan レンズは焦点工房から、ニコンZマウントAPS-C判のMFレンズとしてTTArtisan17mmF1.4、35mmF1.4、50mmF1.2の3本セットがわずか3.3万円で2021年の夏に発売されたのは記憶に新しいことですが、今度はフルサイズでAF対応だというのです。ミラーレス一眼機対応のサードパーティ交換レンズとしては、ソニー富士フイルムのボディに対して国内交換レンズメーカーが一部AF対応レンズを販売していましたが、キヤノンニコンに対しては非対応でした。そのなかで、わずかに日本のコシナが電子接点対応のニコンZマウントレンズをマニュアルフォーカスで発売するというので注目していましたが、そこに一気に中国の銘匠光学がニコンZマウントでAF対応レンズとして、発売するというのは驚きのニュースであり、どんなものだろうかと、さっそく取り寄せて使用してみました。

ニコンZ7に取り付けられたTTArtisan AF32mmF2.8Zマウントレンズ≫ フードは伸縮式でまっすぐに引っ張ると7mmでてきますが、非回転式で組付けられていて取り外すことはできません。ちょっとしたからくりですが、取説には書いてないので、購入しても引き出さないでそのまま使う人もいると考えられます。内側には「2.8/32  Φ27 TTArtisan NO.8011002153 DJ-OPTICAL」と刻印されています。フードは外周58.5mmで、レンズ鏡胴前面刻印面より6.5mmの位置に45.5×31.5mmの長方形で窓がケラレがでないような画面ぎりぎりまで開けられいています。レンズ本体のマウント基部面外周が62.5mmなので、もしフィルターを付けるとなると内側のΦ27mmネジにインナーキャップのような感じで装着できます。写真ではフードを引き出していません。

≪レンズとフード外面の関係とレンズキャップ≫ レンズ上面基部には「0.5m-∞ 2.8/32 Z」と刻印されている。レンズ外装、フード、かぶせ式のレンズキャップなど、すべてつや消し黒アルマイトの金属製ですが、それぞれ加工精度は高いと感じました。左:フード収納状態、右:フードを引き出した状態。フードは引き出していなくても効果ありそうです。

≪ボディ側とレンズ側のマウント基部≫ 電気接点は11カ所、ボディ側と同じ数です。そんなのあたりまえだろうと笑われそうですが、過去に使った韓国サムヤンのソニー用35mmF2.8AFはソニーのボディ側10カ所の電気接点に対して、レンズ側に12接点あったのです。これはレンズ側のファームアップに使うようなのでしょうが、その後ファームアップがなされているのかは不明です。TTArtisan32mmF2.8の場合には、マウント面基部の電子接点の対向側にUSB端子が設けられているのでPCとWeb接続してファームウエアアップを行うタイプです。このような端子は中国製のAFマウントアダプターなどに見ることができますが、単独のAFレンズとしては初めて見ました。

■さまざまな場面で撮影してみました。

 本レポートの着眼点はAFの動作ですが、実際の場面でどのように作動するのかがチェックポイントですが、やはり実際に撮ってみなくてはわからないのは現実で、いつものコースをさらっと撮影して、その実力を見てみました。

≪いつもの英国大使館≫  F5.6・1/640秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。いつものように晴天の朝10時15分ごろ、絞りF5.6、通常は基本的に焦点距離35mmで撮影するようにしてますが、この場面では32mmという画角はちょうど良い画角となりました。ピント位置は、スポットAFで画面中央屋根直下のエンブレムに合わせています。

≪画素等倍に拡大してみました≫  4500万画素センサーの画素等倍ですが、通常はこんなに大きくすることはないと考えますが、若干解像が甘いようですが、それはAPOレンズなどと比べたときで、光学性能として実用上は問題なく普通に写る感じです。

≪TTArtisan32mmF2.8のレンズ構成とMTF曲線≫ 6群9枚構成、橙色:異常分散レンズ、桃色:非球面レンズ、青色:高屈折低分散レンズ。ニコンZ fcなどAPS-Cで使うと×1.5で、48mm相当の画角になります。今後、もしキヤノンRF対応としてでれば51.2mm相当画角となるわけです。

≪工事中の英国大使館裏側≫  F9・1/250秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。スナップ的に歩きながら撮りましたが、もともと右上がりの坂道なのでカメラとしてはこれでだいたい水平がでてます。

≪いつものYS-11  F7.1・1/400秒、ISO-AUTO100、AWB、手持ち撮影。露出レベルの問題かもしれませんが、何となくシャドーがつぶれる感じがするのは撮影日が雲が多い日だったからでしょうか。

≪いつもの飛行機、C-46輸送機≫  F10・1/400秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。同じ場所でいつも同じ被写体をねらっていると、リベットの質感やペイント盛り具合などで解像感がわかるのです。やはりシャドーはわずかにつぶれ気味に感じます。

≪いつもの航空少年兵の像≫  F2.8・1/1000秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。こちらの像もいつも撮影する被写体ですが、あえて絞り開放で中央の少年の目のあたりにピントを合わせてみました。この像には特別な意図を持って撮影しませんでした。カメラ側の機能の問題でしょうが、実際の人物の場合には撮影距離によって顔認識、瞳認識AFも確実に機能しました。たぶん動物認識もするのでしょう。

≪像の左側の少年の肩と背後左部分を画素等倍に拡大して見ました≫  木の葉の間からこぼれる光が丸く玉のようなボケとして描出されていますが、これは球面収差の過剰な補正によるものと考えられます。木陰でのポートレイト撮影、背景に点光源を配しての人物撮影など、絞り開放で撮ると面白いボケ味の写真が撮れそうです。

≪木のこぶ≫  F4.5・1/80秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。若干暗い背景の影響を受けていますが、私としては0.7EVぐらいマイナス補正したいのですが、露出のバランスを含め問題なく撮れています。

≪竹の皮≫  F5・1/100秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。竹の皮のヒゲの微細な部分がどの程度写るか撮影しましたが、まずまず細かい部分も再現できました。露出に関しては、上のカットと同様に、私としては0.3EVぐらいマイナス補正したいのですが、露出補正しなくてもバランスよく撮れています。

≪落ち葉のテストチャート≫ F2.8・1/500秒、ISO-AUTO125、AWB、手持ち撮影。秋に拾い集めた落ち葉をざるの上に置いて、ナチュラルな色とシャープネスを測るテストチャートとしています。絞り開放F2.8の画像ですが、F8ぐらいまで絞り込めばさらに解像感が増すことは言うまでもありません。ただ、このレンズの最短撮影距離は0.5mなのですが、焦点距離相当の0.35mぐらいまで近づいて撮りたいものです。

≪画素等倍に拡大≫ 上の写真のうちエノコログサの部分を画素等倍に拡大してみました。すでに英国大使館エンブレムの部分で述べていますが4500万画素CMOSセンサーという高画素機だとこういうレベルの解像感で普通かなというわけです。写真的に見るとこのような場面で絞り開放F2.8で撮影し、画素等倍にまで拡大は通常ではありえないほどです。

■ミラーレス一眼の交換レンズのこれからは

 ニコンZマウントで税込み価格で24,999円 というのは少なくとも現在のZ交換レンズの中で破格の値段ということになります。なぜこのような価格で作れるのかは別にして、少なくとも現状でのミラーレス一眼では、ニコンキヤノンはAF対応の交換レンズ製造に関するライセンスは他社に供与してきていないと私は解釈しています。国内交換レンズメーカー大手のシグマ、タムロンが製造できないのに対し、一部マスコミでは大人の事情という一言で済ませていますが、このあたりは時間が経過すれば各社が作れるようになる方向で解決するのかどうかは、過去の例から見ると現在は5分5分だと思うのです。やはり権利関係は明確に言及すべきだと思うのです。

 これは一眼レフに限ってみれば、歴史的経緯から一部には海外企業のマウントと共通化させて発展してきた部分などもあり、権利を主張するのにはそれなりの付加価値を高めることが必要なわけで、過去の例としては東京光学機械の開放測光機構、ハネウエル社のAFに関する特許訴訟などが良く知られた部分ですが、今日の成熟したカメラ産業では、技術や規格を事前にどのように押さえ、特許としてどれだけ自社の知的財産として保護できるかにかかってきているかと考えるわけです。特にミラーレス一眼に関しては、レンズ交換のマウント部分を特許として押さえるか、意匠として押さえるかによっても大きく変わってくると思うわけです。他社による製造を認めるか、認めないかはそれぞれの企業の戦略によっても変わるわけですが、キヤノンニコンの認めないに対し、ソニー富士フイルム、OMデジタルソリューションズの認めている辺りは、それぞれの社の考えるところであり、ユーザーは推測することはできてもその範囲を超えることはできません。そんなことを考えつつ、今後のカメラ需要を考えると、かつてのように幅広く交換レンズ製造を他社に任せるのではなく、なるべく自社のシステムでカバーして開発費を含めて収益を確保するという考えは当然成立するわけですが、ユーザーにとっては、さまざまな焦点域、ブランド、価格へのチョイスができるのは楽しみが広がってベストだと思うのですが、もしそうだとするとこれからは国内外を問わずレンズメーカーに対価を求めてライセンス供与する時代がくるかがポイントになります。

 なぜこのようなことをあえて書くのかというと、最近ニコンコシナのMFレンズだけに電子接点付き交換レンズのライセンスを与えたようで、どんな具合かなと考えていた時に、ある業界通の方から最近キヤノンは、韓国のsamyangと中国のvitrox 、yongnuoを訴えたのを知ってるかという話があったことと、ある時期からサムヤンの製品からキヤノンAFマウントが静かに消えたというようなことも聞いていたので、TTArtisan AF32mmF2.8Zはどんなものと、早速取り寄せて使ってみた次第です。結果は、ご覧のとおりですが、フォーカスリングを回せば距離インジケーターがでるし、Exifも撮影データに加えられ、レンズ名も記録されているわけで、特に問題ないようにも思うのですが、ミラーレス一眼のAF は単に合焦のためにレンズが前後に駆動され、Exifが書き込まれるだけではなく、収差補正も含めて信号のやり取りが行われ画像処理されて最終的な画像が生成されるとされていて、今回の結果からはどのように撮影画像に作用したのかわかりませんが、たぶん銘匠光学はニコンからライセンスを受けているとは考えにくいのです。これに関して現地に詳しい人に聞いてみると、中国の深圳地区では光学的にも、機械加工も、電子部品も何でもできるというのです。しかし単に物としてできるということではなく、あるルールの下に製品が作られていくのが、これからのカメラの幅広い健全な普及を考えると大切であり、国内外のサードパーティー交換レンズメーカーはライセンスを受けられるように働きかけるべきであり、カメラメーカーはライセンスを自社に見合う形で与えていくことも必要だと考えるわけです。 (^^♪

 

 

中井駅の柳 「お散歩カメラ」と「通勤カメラ」その2

 久しぶりに西武新宿線中井駅で降りて、写真展巡りのために都営大江戸線六本木駅に向かったのですが、かつて中野坂上の東京工芸大に通っているときに見つけた川端の柳の大木が、なぜか寂しそうに見えて、それでついシャッターを押したのが2007年のことでした。

≪2007年3月9日撮影≫ 西武新宿線中井駅から都営地下鉄大江戸線中井駅に向かって歩くとすぐに妙正寺川が流れ寺斎橋があります。そのたもとに大きな柳の木があるのですが、なぜか川の欄干に両手をそえて寂しそうに川の流れを見ているように感じたのです。右は、橋の上から撮影してみました。

≪2010年6月24日撮影≫ その柳の木が3年後に通りかかったら伐採されていました。まだ伐採されて間もないようで、切り株の周りにはチエーンソーによる大鋸屑が散らばっていました。新宿区役所によると木が枯れたからだそうです。切り口の部分が穴が開いたのが、人間の顔のように見えましたが、かつてのような寂しそうな感じはしませんでした。

≪左:2011(平成23)年4月7日、右:2022(令和4年)年7月6日≫

 1年後には小彼岸桜が植わっていました。脇には小彼岸桜、寄贈・長野県高遠町平成23年4月29日となっているのです。どうしてヤナギが小彼岸桜になってしまったのだろう、なぜ寄贈日付以前に植わっているのだろうなどとも考えましたが、よくよく調べてみると、日付の件は別にして、高遠藩の藩主内藤家は、宿場内藤新宿の現在の新宿御苑一帯に下屋敷があった縁で、新宿区と旧高遠町(現伊那市高遠町)が1986年に友好都市協定を結び今日に至っているということで、高遠城址の小彼岸桜は有名で、それが縁で寄贈されたらしく、新宿区内のあちらこちらに小彼岸桜が植樹されてるようです。

 桜は生育が早いようで、2022年で植栽後11年経ち、ここまで大きくなりましたが、根が張って路面が盛り上がってます。あと10年経ったら、また手に負えなくなりますね。その時はまた伐採して、新たな植栽が必要なのでしょうね。川沿いには柳の木が良く似合うと思っていましたが、その時はまた柳の木が植えられるといいなと思った次第です。

 さて、今回はふとしたことから、1本の柳の木を撮影して、定点観測的な写真を披露しましたが、中井あたりは昔どんなところだったのだろうかと調べたことがありましたが、かつては駅を抜けるといくつかの坂があり、閑静な住宅街であったようです。また妙正寺川には以前はホタルが飛び交い、神田川と落ち合う(合流する)落合あたりは染色業が盛んだったようで、よく見て歩くと川沿いは今でもその名残をとどめています。そして近くには、かつては将軍家の狩猟地で、現在も湧水のあるおとめ山公園があるなど、ゆったりの「お散歩カメラコース」なのでした。こういう写真による経時変化を簡単に検索で、新旧データを組み合わせて使えるのもデジタル時代ならではと思うわけです。 (^^♪

注)本記事は、2011年4月21日のブログに写真を追加して加筆したものです。

キヤノンEOS R3を使ってみました

 キヤノンミラーレス機の最上位モデル「キヤノンEOS R3」が私の手元にやってきました。いつものことですが私の所有ではありません。今回の購入は知人のTさんで、私に存分に使って欲しいというのです。

 EOS R3の発表は2021年の4月14日に開発発表され、同年11月27日に発売が開始されました。ところが半導体不足の影響からか、発売前に購入を申し込んでも、手に入るのは2022年の秋ごろとまでといわれるほど品不足だったのです。Tさんはさすがこれには困惑して、買いたい時が欲しい時として、あれこれ悩んだ末に大手量販店の5年保証付き未使用新古品をオークションで手に入れたのです。価格的には通常購入とさほど変わらなかったとかで、金融流れかわかりませんが世の中の流通の仕組みは不思議です。

 さて、次は交換レンズですがTさんからは「RF24-105mmF4L IS USM」がついてきました。このレンズはすでに私としてはEOS Rの時に使用していますが、R3のボディでどのような写りを示すか楽しみですが、もう少し変化が欲しいなと思っていたところ、EOS Rシリーズユーザーで友人の写真家であるHさんが、カメラ誌「キヤパ」2022年5月号に私が元ニコンの後藤哲郎さんのインタビュー記事『哲郎の部屋』に登場した雑誌を読んだらちょうど特集が『超望遠撮影術』だったので、超望遠の何か良いレンズが欲しくなり「RF100-400mmF5.6-8ISUSM」を購入したというのですが、今回はさっそくそれを貸してくれるというのです。これで、交換レンズも広角から超望遠までそろったわけですが、どのようなテストをしたかその考え方を含め紹介してみましました。

■まずは各部の紹介から

≪今回使用した機材≫ EOS R3ボディとRF24-105mmF4L IS USM、RF100-400mmF5.6-8 IS USMの2本のズームレンズです。ボディ本体はブラックというよりは、かなり黒に近いダークグレーのつや消し塗装が施されたされたエンジニアプラスチック筐体に、手で触れる部分は鹿の子模様のような凹凸のある立体的なラバーで被われていて保持特性を高めています。ボディはバッテリー、SDカード1枚込みで1010.7g、24-105mmフード付きで365g、100-400mmフード付きで346gです。大きいか、小さいか、重く感じるか、軽く感じるかは、体力差とか年齢差により異なります。

≪背面から見ると≫ 左:背面液晶パネルは回転させると隠すことができます。もちろんティルトしてのファインダーとしても使用可能です。右:液晶パネル側にセットして、撮影時の表示画面をセットしました。背景が白くて写りにくいのでレンズキャップをしてあります。左右のボディの掲載寸法が異なるのは、液晶部分の細かい文字が見えるようにとの配慮からです。ファインダー窓左側に赤く光っている点はアイセンサーの光源だと考えられます。それぞれの操作は特に難しくはないですが、メイン電源スイッチは、下からOFF、LOCK、ONとありますが、それぞれを動かしセットするにはかなりの力を要しますが、下部にバッテリー収納の形状だけでなく、簡単に動かないようにとの激しく現場で動き回るプロ向けの設定を感じさせます。

≪バッテリーと記憶メディア 左:バッテリーパックは2700mAhのLP-E19を使用。専用チャージャーによる充・給電ができますが、PD対応の非純正の小型充電器でも条件さえ合えばUSB TypeC⇒USB TypeCのコードを使ってボディ内に電池を入れたまま充電できるので便利です。右:記録メディアはCFexpress(手前)とSDカード(奥)の2スロット。写真では、CFexpressを所有していないので、形状が同じなXQDカードを入れてありますが、当然記録はできません。

≪視線入力AF≫ 左:視線入力をONにすると、上部液晶表示に目のマークが出でます。右:視線入力の原理イラスト(キヤノンHPより)

 キヤノンフィルムカメラの EOS 5(1992年)、EOS 50(1995年)、EOS 3(1998年)の時代から視線入力AFを採用しています。EOS R3の視線入力光学系は基本的にはEOS 3から大きく変わっていませんが、当時は視線用センサーがペンタプリズム上部に配置されていました。EOS R3ではファインダー側から投射した赤外線を角膜で反射させて視線センサーで測定してというのですが、基本的には瞳孔の位置を図るのではないかと思うのです。キャリブレーションでは見る角度を変えて、明るい場所や暗い場所でと変えて行うと精度が上がるということは、瞳孔が明るくなれば小さくなることなどに関係するのではと考えられます。私は「写真工業」1999年6月号で“EOS 3の45点視線入力”と題してレポートしていますが、当時の入力はエィッとばかりに力みましたが、EOS R3では測距点は大幅に広がり、軽い感じで黄色いマルで視線ポイントがEVF内に表示され、シャッターボタンの半押しでAFゾーンに連携するので、かなり気楽に使えました。それにしても、当時EOS 3を使ったというプロ写真家の方々などさまざまな人に視線入力AFに関して聞いてみても無関心な方が多かったなか、「良く合うしこれがAFの将来としてあるべき姿だとして後で気づいても遅いですよ」と、私にサゼッションしてくれた元S社のUさん、冬眠していた多点視線入力AFをデジタルの時代に再度フラッグシップ機でチャレンジしたキヤノンもすごいけど、Uさんの将来技術を見る視線も素晴らしいことだと改めて思うとともに、使ってみて演算処理能力の向上などによりかなりレスポンス良く動作するのには、23年という時代の技術進歩を大いに感じました。

≪マルチアクセサリーシューアダプターAD-E1≫
 防塵・防滴性能を備えた従来のストロボを装着するためのアダプター。EOS R3で新たに追加された複数の接点は左写真でシューの奥に見えます。AD-E1を介して防塵・防滴機能が備わったストロボを装着すると、防塵・防滴性能が機能しますが、マルチアクセサリーシューは電気接点を多くして動画用マイクなどのコネクションに対応させたというところでしょうか。機能が増えれば接点も増えるということでしょう。

 それでは、以下EOS R3ならではの写真をなるべく多く紹介してみます。

■英国大使館正面玄関

≪英国大使館正面玄関≫ RF24-105mmF4L、焦点距離33mm:視線入力AF、絞り優先AE、F5.6・1/640秒、ISO-AUTO100

 このシーンは、私のカメラレポートでは必ず最初に撮影するカットで。焦点距離約35mm、絞りF5.6で、晴天の午前10:15頃に撮影します。最近は各社とも最新のデジタルカメラでは、カメラ本体、レンズとも必要十分な性能を備えていますので、この日のEOS R3では、あいにく晴天ではなくわずかな青空のもとでの撮影となり、2400万画素とRF24-105mmF4Lレンズの組み合わせで、直線性も良く、飛ぶところも、つぶれるところもなく、解像力的にもまったく問題ない描写と考え画素等倍拡大画面は省略しましたが、撮影はひとつのセレモニーとして行いました。

キヤノン初の裏面照射タイプの積層型CMOS

①オールド広角レンズにおける周辺光量の低下:EOS R3はキヤノンとしては初の裏面照射タイプの積層型CMOSですから、従来型のCMOS撮像素子とオールドの対称型広角レンズを組み合わせると周辺光量の低下が目につきましたが、実写ではどの程度に収まるか、私が判定のために基準レンズとして決めている“フォクトレンダー・スーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.(1999)”と“キヤノンS 25mmF3.5(1956)”で実写を試みました。

フォクトレンダー・スーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.≫ 絞り優先AE、F5.6・1/640秒、ISO-AUTO100、三脚使用。このレンズはまさにフィルムカメラ全盛の1999年に、まだ超広角レンズが少ないころにライカスクリューマウント(L39)で登場して、安価なホロゴン15mmとして大ヒットしました。その後Mマウントになり、さらにデジタルのフルサイズに合わせて周辺光量落ちのないⅢ型になりましたが、この最初期の15mmはシャープですがデジタルのフルサイズでは周辺減光が大きくて使えないと考えていたのが、EOS R3の裏面照射型のCMOSが登場して普通に使えるようになったのです。1段弱絞り込んだF5.6で、EOS R3でこれだけ写れば立派なもので、レンズではなく撮像素子の性能チェックにこのレンズをいつも使っています。この程度の周辺減光は個人差にもよりますが、超広角らしくていいということになると思います。マンションの左上部に飛ぶのはC-17輸送機で、2400万画素ですが拡大すれば形状で認識できました。

キヤノンS 25mmF3.5≫ 絞り優先AE、F5.6・1/800秒、ISO-AUTO100、三脚使用。こちらのレンズはさらに時代をさかのぼる1956年の超広角レンズですが、これだけ普通に写れば文句なしです。70年代に多くの作家がRF機で名作を残したレンズですが、F5.6でこれだけ減光の少ない画像を作るキヤノンのデュアルピクセルCMOSは、2400万画素ということもありますが、裏面照射タイプとしてはかなり開口率が高いのではないかと思うのです。各社機種で毎回、同じようにテストしてますので、私のレポートのバックナンバーをさかのぼってみてください。レンズ性能としてはわずかにシャープさに欠けますが、大きく伸ばして、だからどうだというほどではありません。

≪RF24-105mmF4L IS USM≫ 焦点距離24mm、絞り優先AE、F5.6・1/800秒、ISO-AUTO100、三脚使用。さすが、最新の24mmズームです。周辺減光はまったくありません。焦点距離1mm差の25mmと24mmでは画角はずいぶん違いますね。でも本機はズームですから大きさ・重さはかなりのものです。昨今は超ワイド系ズームレンズも多いですが、この程度の小ささなら、クラシックの単焦点もありかなと思う次第です。

左から、ライカM⇒RFマウントアダプターを付けたフォクトレンダー・スーパーワイドヘリアー15mmF4.5 ASPH.、ライカM⇒RFマウントアダプターを付けたキヤノンS 25mmF3.5、RF24-105mmF4L IS USM

 ところで最新EOS R3になぜクラシックレンズかということですが、本機のユーザーはキヤノンとしてはハイエンドアマチュアを考慮しているようですが、時間が経てばもっと安価な機種にもR3と同様な積層型裏面照射CMOS搭載の技術が降りてくるのではないかと思うわけです。とすれば、やはり知っておきたいですね。

■電子シャッター時のローリングシャッター現象の検証

 何を写すかは熟考しましたが、キヤノンとしては初の裏面照射積層型CMOSセンサーなので、まずは簡単にローリングシャッター現象を検証しました。場所はいつもと同じ英国大使館の裏通り、制限速度40Km/hの一般道路、信号まではかなり先、道路の歩道から反対側車線をねらうということで、ある程度の繰り返し再現性が得られると考えました。シャッターは電子シャッターで、1/16000秒を設定しました。

≪ローリングシャッター現象のチェック≫ RF24-105mmF4L、焦点距離35mm、サイレント高速連写H+(30コマ/秒)、路面のタイヤ走行位置にてAFロック、シャッター速度優先AE、F4・1/16000秒、ISO-AUTO5000

 裏面照射タイプの積層型CMOS撮像素子は、電子シャッターモードの時でもローリングシャッター現象が起きにくいとされていますが、車の走行でその具合をわかりやすく見えるようにしました。車の外観は、角形、流線形とさまざまですが、その現象を見やすくできるのは箱型の車ということで、軽のワンボックスをねらいました。ずいぶんこのシーンを何度も撮影してきたために、車両の形状選択を含めかなり手馴れてきました。結果はご覧の通りで、上下で流れている感じは全くありません。撮影結果は、2コマ示していますが、左右ともノートリミングですので、この間隔が30コマ/秒の時差ということになります。いずれにしても過去に、EOS Rのレポートでローリングシャッター現象は試験していますので、そちらをご覧いただければおわかりいただけますが、R3の撮像素子では、まったく無視できる範囲でしかローリング現象は確認できません。

■高速連写

 高速連写は、機械シャッターと電子先幕で最高12コマ/秒、電子シャッターで最高30コマ/秒で可能。AFの動体予測特性とともに調べてみました。

≪動体予測と30コマ/秒①≫ RF100-400mmF5.6-8 IS USMレンズで焦点距離を400mmに設定して、過去にさまざまな場所で撮影してきていますが、焦点距離は変わっても、この踏切にさしかかったときの描写を見ています。3コマの連写を掲載していますが、このずれが30コマ/秒の間隔といえ、3コマ目で目的の位置にきてます。列車の軌道が良いのかわかりませんが、直線性がよく、圧縮感を十分に感じさせる焦点距離400mmです。

≪動体予測AFと30コマ/秒②≫  RF100-400mmF5.6-8 IS USM、焦点距離400mm、視線入力AF、電子シャッター、プログラムAEF9・1/400秒、ISO-AUTO400、AWB。特急列車の通過駅からの撮影ですが、さすが30コマ/秒となるとかなり細かく分割撮影できますので、いつものこの踏切にかかる直前をズバリとらえられました。30コマ/秒は、被写体と目的にもよりますが瞬間をとらえるには必要十分なコマ間隔です。AF追随特性も良く、レンズのヌケもいい感じです。実は4月のダイヤ改正前には、この場所からは特急の行き交うところを押さえられたのですが、今はできなくなりました。本当は前に来る特急と去っていく特急を1カットに収めAFがどのように動作するかを見たかったのです。残念。(西武新宿線

≪米軍C-17輸送機の着陸≫  RF100-400mmF5.6-8 IS USM、焦点距離100mm、視線入力AF-しない、メカシャッター、プログラムAE、F14・1/640秒、ISO-AUTO400、AWB。

≪米軍C-17輸送機≫  RF100-400mmF5.6-8 IS USM、焦点距離400mm、視線入力AF-しない、メカシャッター、プログラムAE、F14・1/400秒、ISO-AUTO200、AWB。

 ちょうど本機を使っているときに5月8~15日に米軍の横田基地で、三沢基地所属のF-16戦闘機が訓練のために飛来するというので、うまく合えばと出かけましたが、残念ながらF-16の編隊は飛んでなく、このC-17輸送機と、プロペラ機とヘリコプターしか飛んでませんでした。このC-17輸送機には、ANCHORAGE、ALASKA AIR GUARDと記されていました。私が時々出向く、滑走路延長上のこの公園にはふだん人はいません。この日はカメラを手にした1人の女性を含め10人ぐらいの人が待機していましたが、皆さん無線機を持って飛行を傍受しているのですね(私は持っていません)。ところで、この飛行機の撮影では視線入力AFはしない(OFF)としました。ここでの撮影は、耳を澄まし、飛来の爆音を聞きつけ、最終的に目で確認して狙いを定めてカメラを構え、さらにカメラを振りながらファインダー視野内にとらえるのですが、その時は短焦点側で機影をキャッチして長焦点側にズームアップしてここぞと思うときにシャッターを押すのですが、レンズを向ける方角は水平に近い部分から真上までとさまざまで、カメラファインダーのアイピース位置に目を固定するのはなかなか難しいです。どうしても瞳孔はファインダー内をあちこちと探し回るので、なかなか視線は定まらないというのが実際でした。もともとすべてにうまくいくかというと、私のなれもありますが、難しいと考えます。さらに飛行機の移動は瞬時ですから、ここぞと思うところでシャッターを切る(正確には切りだす)のですが、H+の高速連写はつくづく便利だというか、お気に入りのカットがとれる確率が高くなるのです(いまさら何を言ってるんだいわれそうですが)。

■RF100-400mmF5.6-8 IS USMの手振れ補正機構

 ここで、今回はRF24-105mmF4L IS USMの標準ズームに加え「RF100-400mmF5.6-8 IS USM」をチョイスしたかということについて記してみます。これは、単にズーム域がちょうど良いということだけではなく、実はそれ以前に「RF600mmF11 IS USM」とテレコンバーター×1.4をそれ以前に使ってレポートしてあります。この時は、手持ちで最大800mmF16になるのですが、まったく手持ちで不足なくヌケと切れの良い写真が撮れたのです。この時、最も感心したのは、まずは画質ですが、それ以上に、樹脂製の沈胴式鏡胴やその加工法、価格に注目したのですが、同じような考えを持ったレンズがでてこないかとひそかに考えていたところ「RF100-400mmF5.6-8 IS USM」がでてきたのでその点でオーナーと考えが一致し購入となったのです。このレンズの構成(キヤノンHPより引用)は上に示す通りですが、外観的にはレンズを振ったときにかなりゆらゆらと手振れ補正光学系が動くのです。これはRF600mmF11 IS USMとRF24-105mmF4L IS USMの場合も同じようでしたが、ボディ側の手振れ補正と合わせて8段分の効果が得られるというのですからすごいのです。この動作をYouTubeにアップしましたが、このブログからは直接YouTubeにはリンクしませんのでアドレス(https://youtu.be/4ghapckjirq)をコピーしてご覧ください。

≪スナップで≫ RF24-105mmF4L、焦点距離88mm、視線入力AF:しない、メカシャッター、プログラムAE、F5.6・1/100秒、ISO-AUTO100。横浜の大桟橋近くの写真撮影の定位置ですが、すでに先客として若い女性3人がスマホでなくしっかりとしたレンズ交換式のカメラで撮影に没頭していたのが印象的です。しかしスナップでなく、記念写真でもなく、マクロ的に被写体をねらっていたので、少し離れた正面から狙ってみました。このカットもH+の連写モードですが、中央の女性が歩き出したのでいくつかのコマからカメラを手にしたのが見えるカットを選びましたが、カメラがこのように見えるのは前後含めてこの1枚でした。数多いカットの中でこれ1枚という感じが撮影できるのは高速連写ならではのことでしょう。(横浜にて)

≪解像とAFチェック≫ RF24-105mmF4L、焦点距離31mm、視線入力AF、プログラムAE、F4.5・1/60秒、ISO-AUTO 60。数枚撮影したうちの1枚。掲示の新聞にピントを合わせてありますが、大きな見出し文字は読めても、小さな本文の文字は読めませんでした。このあたりが2400万画素の限界でしょうか。ここでは比較してないですが、高画素の5000万~6000万画素なら読める感じがしました。なお、左の人物の頭部にピントを合わせたときは、髪の毛の1本ずつの解像が判別できますが、新聞文字の判別はほとんど不可能です。このあたりの差はAF確度に関係して、大きくしなければプリントや画面に差は出ませんが、画像の細かい解析には有効で、高画素タイプに分があります。(新聞博物館にて)

≪新聞印刷輪転機≫ RF24-105mmF4L、焦点距離74mm、プログラムAE、F4.5・1/60秒、ISO-AUTO 800。静止している高速輪転印刷機の油がしみた歯車の質感がいい感じだったので近接して撮影してみました。白いペイントは移設したときの歯車の組み合わせのためのマークでしょう。(新聞博物館にて)

≪いつもの場所で≫  RF24-105mmF4L、焦点距離35mm、プログラムAE、F10・1/400秒、ISO-AUTO 100。晴天の午前中、いつも機種を変えてこの場所で撮影すると露出レベルのとり方とか、機種固有の感度とか、プログラムライン設定とかさまざまなものが見えてきます。EOS R3の場合にはきわめて標準的で背景の針葉樹の緑もつぶれることなく描出されています。(航空公園駅前にて)

≪いつもの飛行機、C-46輸送機≫  RF24-105mmF4L、焦点距離31mm、プログラムAE、F10・1/320秒、ISO-AUTO 100。いつもの飛行機ですが、同じような天候下で、同じ角度から毎回撮影していると、拡大して見ると塗装の光沢感、リベットの微細な部分の拡大などから、それぞれのカメラとレンズの描写特性がわかります。いずれにしても画素数でない部分でカメラの画質は決まるということを再認識しました。さすがの描写です。最近身近に飛行機に詳しい若者が現れたので機種名が判明するようになりましました。(所沢航空記念公園にて)

≪黄色のバラ≫  RF24-105mmF4L、焦点距離105mm、プログラムAE、F7.1・1/320秒、ISO-AUTO 100。もう少し望遠かなとも思いましたが、この距離がぎりぎりの近接でした。深みのある黄色で、色トビもなくきれいに撮影できました。背景の緑のボケ具合も自然です。大きく伸ばしたいカットです。(所沢航空記念公園にて)

≪視線入力、アザミ≫ RF24-105mmF4L、焦点距離105mm:視線入力AF、絞り優先AE、F5.6・1/250秒、ISO-AUTO100。前後にねらいどころのある、このような静的な被写体にも視線入力は有効でした。やはり使い分けは必要ですね。前後のボケ具合は縦の線状の流れがうるさく感じますが、これは被写体による影が大でしょう。(東村山にて)

≪モニュメント≫  RF24-105mmF4L、焦点距離27mm、プログラムAEF9・1/320秒、ISO-AUTO 100。広角側の描写を見てみました。中心のモニュメントの右下に黒く見えるのはカラスでしょうか、それともオオタカでしょうか、拡大しても流れているために確認できませんが、1/320秒では止まらないのですね。(所沢航空記念公園にて)

≪フルートを吹く人≫  RF24-105mmF4L、焦点距離105mm、プログラムAE、F4.5・1/125秒、ISO-AUTO 160。この日の公園では、少し離れたところで2人がフルートの練習をしていました。これだけの輝度差のある場面で程よい感じに露出されるのも評価測光の成果といえるでしょうが、一眼レフ時代の測光と、撮像板による測光では名称は同じ評価測光でも、顔認識などの要素も加味された384分割の異なった演算処理が行われているようです。(所沢航空記念公園にて)

■常用でISO感度102400に設定可能

 EOS R3のISO感度設定範囲は、常用でISO 100~102400が可能とされています。さらに拡張ISO感度に設定すればISO 50、ISO 204800相当という低感度と高感度も得られます。そこで常用感度範囲の最も超高感度のISO 102400に設定して、いつもの新宿歌舞伎町のゴジラを撮影してみました。

≪新宿ゴジラ通り≫ RF24-105mmF4L、焦点距離35mm、プログラムAE、F5.6・1/8000秒、-1EV補正、ISO 65535。プログラムAEISO感度を102400に設定して撮影したのですが、何かリミッターが働いたのか、-1EVの補正をかけたのが感度側に働いたのかわかりませんがISO 65535となり、こんな感じに写りました。右上の長い電飾看板が白く抜けていますが、上に向けて人物の顔を避けた撮影ですので、撮影アングルを少し下に向ければブルーにでていますが、いつもだともう少し遅い時間帯の空が暗くなってからの撮影であることとなどからこのようになったと考えますが、この左右640ピクセルの画像では特にそん色はありません。

ゴジラ部分を画素等倍に拡大、ISO 65535≫ 初夏の日没は遅く、撮影時間は夜7時でも夜というより、夕暮れという感じでした。もちろんあと1時間後ぐらいに撮影すれば良いのですが、すでに2時間待ち、次の予定もあるのでこのあたりの時間で手を打ったわけです。とはいっても、ISO感度 65535という数値はあまりにも異常です。試していませんが、例えば「RF600mmF11 IS USM」に2倍のテレコンバーターを付けて、手振れ補正をフルに働かせて、手持ちでコンサートや演劇の薄暗い舞台を撮ったらどんな値になるのだろうかと思うのですが、その場合でもISO 65535やISO 102400にはならないと思うのです。ISO 65535ではノイズの発生や処理されたことによりソフトな描写の印象を受けますが、画素等倍近くまで拡大することはないはずで、たぶん写真にブレなく適正露出でふつうに写るのではないかと思うのです。デジタル時代のミラーレス、さらには精密機械、光学機器としての技術進歩を知らされるわけです。

 これでだいたい私ができる範囲のテストレポートなのですが、やはりこのままでは「EOS R3」の本来の実力をチェックできていないのです。それというのは、EOS R3の最大の特徴は、視線入力ではなく、裏面照射式積層型のCMOSイメージャーであることなのです。この方式を使うことにより電子シャッターで30コマ/秒、機械式シャッター、電子先幕シャッターで12コマ/秒というEOS史上今までにない高速連写が行えるのが特長で、さらに電子シャッターモードでは読み込み速度が早いので、いわゆるローリングシャッター現象の発生が抑えられるというメリットがあるのです。同じような仕様を持つものとしては「ソニーα1」、「ニコンZ9」があるのですが、過去にソニーα1はレポート済みですので、そちらも合わせてご覧いただければ幸いですが、ここで友人カメラマンに「EOS R3」を託すことにしたのです。

■EOS R3でサッカーを激写

 お願いした写真家さんはスポーツ分野でフリーランスで活躍する“梁川剛さん”です。梁川さんにはソニーα1の時にもお世話になりましたが、何よりも写真好きで、新しいカメラ技術にも前向きにとらえて積極的に取り組んでくれることです。しかもフリーランスですからどのような機材を使うかも自由なわけです。今回は、タイミングとしてサッカーの4試合を撮影してもらいましたが、一部には比較のためにEOS R5を併用してくれるというおまけつきです。レンズは梁川さんの使い慣れている「EF100~400mmF4.5-5.6L IS II USM」にEF-RFマウントアダプターを使用という条件です。

天皇杯横浜マリノス vs 鈴鹿ポイントゲッターズ、6月1日、横浜三ッ沢球技場

 EOS R3を渡した翌日の第1戦です。初日からナイター戦でしたが、慣らし操作といったところでしょうか、梁川さんからは「すばらしい、撮れすぎちゃってー困るのよー♫」とその日の夜に第1報が入りました。

≪実践の初日で・1≫ 焦点距離148mm、電子シャッターモード、F5.6・1/1020秒、ISO 6400。連写のカットの中からですが、それらしいカットを私が選びました。

≪実践の初日で・2≫ 焦点距離278mm、電子シャッターモード、F5.6・1/1000秒、ISO 6400。こちらは梁川さんセレクトの1枚。

●日本代表 vs パラグアイ戦、6月2日、札幌ドーム

≪決まりのカット≫  焦点距離300mm、電子シャッターモード、F5.6・1/800秒、ISO 6400。やはり試合はナイター戦でしたが、競技場の照明光の位置によりその描写は大きく変わるだろうと考えられます。試合によってはカメラマンは人数的に制限されたり、動き回ることも許されないという撮影環境のようです。数カットいただいた中で私的にはこれかなと思って選びました。

ヴィアティン三重 vs 鈴鹿ポイントゲッターズ、6月5日、アサスタ東員スタジアム

 4試合を撮影してもらった中で唯一の日中での撮影でしたが、少し余裕が出てきたのでしょうか、さまざまな場面でAF性能を試してくれました。さらにEOS R5との比較を行ってくれました。

≪ネットの向こうに≫ 焦点距離263mm、電子シャッターモード、F5.6・1/2000秒、ISO 1250。通常このような場面では手前にあるネットにピントが合ってしまうそうですが、奥の人物にAFがうまく作動してくれたというのです。

≪手前に障害物があっても≫ 焦点距離400mm、電子シャッターモード、F5.6・1/2000秒、ISO 1600。スポット的なAFの使い方と思いますが、手前にかなりの割合で他の選手がいましたが、中央奥の選手のキックする瞬間をねらったそうで、人物をしっかりとAFが追いかけているのがわかります。

≪キックの瞬間、EOS R3≫  焦点距離278mm、電子シャッターモード、F5.6・1/1600秒、ISO 1250。キヤノンとしては初の裏面照射タイプの積層型CMOS撮像素子ですから、ローリングシャッター現象が抑えられているのですが、従来タイプのCMOSとどのように異なるかと比較のカットです。キックした後の加速度がついた状態での球の形を見てください。

 ≪キックの瞬間、EOS R5≫ 焦点距離170mm、電子シャッターモード、F5・1/1600秒、ISO 800。EOS R5の従来型ではご覧のようにラグビーボールのようになりました。もちろんこの形状は相対的な球の速度などにより異なるわけで、時にはさまざまな形状を示すことになります。

●日本代表vsブラジル戦、6月7日、国立競技場

≪H+30コマ/秒の連写≫ 焦点距離360mm、電子シャッターモード、F5.6・1/250秒、ISO 4000。試合はナイターでしたが、30コマ/秒の動きを追ってみました。もっと手前のコマから撮影されていますが、球の動きを見てもらうためにヘディングする直前から、ヘディングした瞬間、さらに球がフレームアウトする直前までの9コマをピックアップしてみました。本来なら、もっと大きな画像で見てもらいたいのですが、球の動きを追いかけて見やすくするためには、掲載時の寸法からこのようなサイズとなりました。いずれにしても30コマ/秒で、約0.3秒間で起きたこのような動きを9コマでとらえられるわけですから、すごい時代になりました。

≪決まりのカットは?≫ さて、上の9コマから何か1カットを大きく掲載と考えるとなかなか難しい判断です。球が頭にあたった瞬間か、跳ね返したときか、さらにその先かということでしたが、結局私が選んだのは、飛んでくる球にめがけて向かって行くときの顔の表情が良かったので最初のコマを選びました。雑誌や新聞などに掲載の時には実際はトリミングして、より主題を明確にするのですが、ここではあえてのノートリミングの画像を載せています。EOS R3の2400万画素というデータ量はトリミングしても特に問題ないことは言うまでもありません。

≪EOS R3とEOS R5を手にした梁川剛さん≫ 右は、R3が私の所に来た時にアクセサリーシューにはマルチアクセサリーシューアダプターAD-E1がついていたのですが、邪魔だからと外して梁川さんに渡したのですが、雨の中の撮影で多くのカメラマン仲間からそのままでは危ないと指摘され、急遽ガムテープを貼って防水性を持たせたという写真です。大変お世話になりました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

■ミラーレス一眼に次の時代が見えてきた

 発売から半年も経ってのレポートとなりましたが、やはりEOS R3の魅力は尽きるところは、視線入力ではなく、電子シャッター時の30コマ/秒のコマ速度であり、ローリングシャッター現象が抑えられたということになるわけです。フラッグシップ機としては、各社とも裏面照射タイプの積層型CMOS撮像素子を採用しローリングシャッター現象を抑制し、キヤノンEOS R3の2400万画素に対し、ソニーα1が5000万画素で電子シャッター時30コマ/秒、ニコンZ9が4500万画素で20コマ/秒(30コマ/秒・C30)となっています。このうち特徴的なのは、ニコンZ9は機械式シャッターをなくしてしまったことが最も異なること点で、電子シャッターと光源のフリッカーとの関係はどうなのかとか、バッテリーグリップタイプをキヤノンニコンが採用していますが、ニコンの1,340gに対し、キヤノンは1,015gと300gもなぜ軽いのか、とかいろいろ疑問はわいてきます。基本的には撮影の画素数を落とせばコマ速度は上がるわけで、このあたりはそれぞれ使う人の目的とか好みなのかということになるわけです。

 ところでキヤノンは、2022年5月24日に、APS-C判で画素数は3250万画素、ボディとレンズ側の組み合わせで最大8段の手振れ補正と、機械と電子先幕シャッターでAF・AE対応で最高速度1/8000秒、約15コマ/秒連写、電子シャッター使用時は最高速度1/16000秒、最高約30コマ/秒の高速連写にも対応させた「EOS R7」を6月23日に発売すると発表したのです。しかもマウントはRFマウントだというわけで、従来のフルサイズ用RFマウントレンズを使えば1.6倍相当の焦点距離画角が得られるということから、撮影目的を野鳥撮影や飛行機、列車などかなり動きのあるものから、一般撮影までカバーしてしまうことになるのです。デジタルにおいては、撮像面積よりもまずは画素数が大きく効いてくることは知られているわけですが、撮像素子そのものは既存のCMOSであっても、撮像面積が小さければそれだけスキャン時間が短く、秒間のコマ速度も速くなるのではないかとも考えるのです。フルサイズのサブ機としても使えるようなスペックであるために、単なる小型機という既存の枠を超えたキヤノンの新たなミラーレス一眼への展開が注目されるところです。

 今回のレポート作成にあたっては、Tさん、Hさん、梁川さんと多くの方のご支援により行えたことを深く感謝いたします。 (^_-)-☆