写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

シグマfp用「超薄型背面液晶フード」を作ってみました

 最近なぜか私の周りで「シグマfp」が静かな人気です。某カメラメーカー技術者OBのYさん、小説家のHさん、山岳写真家のMさんなど、けして多数とはいえませんが、それぞれの方が、なかなかのシグマfpファンと見ています。私も2019年10月の発売と同時にわがスポンサー氏が購入したのを、現在も継続して使わせてもらっています。最初のカメラ試用記とは別に、過去に北海道札幌のモエレ沼公園、栃木の鬼怒川温泉・足尾、埼玉の秩父などに何回か持参しました。私の目的とする写真は晴天戸外での撮影が多いのですが、背面液晶が高輝度下では極めて見にくくなるのが困りものでした。当然、液晶ディスプレーの明るさは調整できるのですが、私はAUTOに設定して使うことが多いので、そのまま使おうとすると苦労するのです。もちろん外付けアクセサリーとしてEVFがあるのは知っていて、身近にあるのですが、せっかくのフルサイズの小型機が普通の大きさになってしまうために残念ながらフィールドへの持ちだしにはつらいので、ついついカメラそのものの使用頻度が低くなってしまうのです。そこで何とかしようと考えて自作したのが「シグマfp用背面液晶フード」です。以下、製作記を紹介しましょう。

《シグマfp用背面液晶フード収納状態》タイトルには超薄型と書きましたが、製作過程で素材の関係などから、カットアンドトライで結果として薄くなったのです。小型・薄型ボディには薄型レンズ(キヤノン25mmF3.5 スクリュー、1956年)と薄型液晶フードが良く似合います。

■ラフにイメージを決める

 まずはどんな形で作り上げるか、だいたいのイメージを形にするため手元にあった2023年版のカレンダーを型紙にしてカッターナイフでカットし、それらしく仕上げられるようにしました。

《切り抜かれた型紙》この時点ではまだ最終的な仕上がりは想定していませんでしたが、この型紙を作り上げた時点で何となくいけるというイメージをつかみました。型紙となったカレンダーは元日大芸術学部教授鈴木先生こと、髭おやじとその仲間たちという鉄道写真好きグループ写真展のときにいただいた、2023年版のものです。ボディの採寸はしっかりとノギスと定規を使って行いました。

《素材を求める》最初考えた時には、fpボディ独特の上下にある放熱用の溝を利用して、適度な厚みの黒色プラ板を使って横からスライドさせてセットしようということで、素材を求めにダイソーに行きました。本来なら、DIYのお店に出向くべきなのでしょうが、一番近いのがダイソーで、しかもそれらしい素材がそろえられていて、100円だというのが魅力なのです。私が行く店舗は小さいのですが、店内を探してみても黒色プラ板は見つからず、なんとなくいけそうなものとして「カーボンインテリアシート」というのを見つけたのです。これは購入後自宅で開封してわかったのですが、裏のり付きの黒いカーボン網目状模様のプラスチックシートなのです。この時点では、シートには保護紙などが付いていて厚みが良くわからなかったので、瞬間接着剤を同時に購入しましたが、結果としてこちらは最後まで使うことはありませんでした。

《カーボンインテリアシートの裏面にカットの線を引く》元のシートは40×20cmなので、十分にカバーする大きさです。横方向の寸法は、左から78+3+66+5+78mm、縦方向は、58+3+53+3+58mmとなります。内側の窓部分は、液晶内の各種コマンド文字が見える範囲のギリギリのサイズです。

LCD面の補強》切り取った四隅の部分は捨てずに、そのままの裏面に張り付けました。これで表裏ともカーボン網目となりました。上面はのりを面出したまま、その右はのり面をはがして、上面に張り付ける前です。この四隅のカット部分は寸法的にはピッタリですが、まさにカットアンドトライの成果でした。しかし、強度的にはやわでしたので、髭おやじ先生のカレンダーの外観ケースが厚みがあり黒かったので、補強用に張り付けました。

LCD窓枠部分を補強》残ったカーボン網目シートをカットして四隅に貼りさらに補強。こうすることによりカーボン網目シートを繰り返し折り曲げても問題ない程度に強化されました。

LCD窓を切り抜き、両面テープを窓枠に沿って貼り付け》カーボン網目シートは折り曲げ自在なので、左右、下・上という順にたたみ込み、しっかりと押し付けてから、手元にあった両面テープを貼りました。

《液晶保護カバーに貼り付けてたたみ込んだカーボン網目シートを起こせば完成》この状態で晴天の屋外に引っ張り出して逆光や順光の状態でLCDディスプレーをのぞき込んだら、素晴らしくよく見えて、快適にコマンド操作やフレーミングが行えました。この先の改良点としては左右扉の上下を数ミリカットしてテーパー状にすれば、より遮光性は高まりそうですが、まずはこれで十分でしょう。最初の写真をご覧いただければどれだけ薄型かはお判りいただけるでしょう。あとは外に出て青空の下で写真を撮るだけです。折りたたんだときは、自然に開かないように下扉の部分に小さく両面テープを付けましたが、繰り返し使用にも問題なく、もし粘着性が弱くなったら新しい両面テープと交換すればよいのです。

■かなり使える自作遮光フード

 実はこの遮光フード前から作ってみたいと考えていましたが、シグマにもともとあったクアトロ時代の遮光フードは樹脂製で剛性感もあり、視度補正レンズもついていてなかなかいい感じですが、レンズを付けると間にボディが入り、背後に遮光フードが付くと、かつてのフォクトレンダーの金属製ダゲレオタイプカメラのような格好となってしまうのですが、この折りたたみ式なら極薄型で、わずか100円(税抜)でできたのもうれしいところです。

 ところで、何でこの時期にこういうことをやったのかということですが、約4年にわたるコロナ禍から明け、この間、私は人混みを避けて、ときどき写真を撮り、ただただ自宅でPCの前で文章を書いたり、レイアウトしたりという生活をおくっていましたが、たまには違ったことやらなくてはいけないのではないかと思い、新年を区切りに簡単な「液晶ビューファインダーフード」の製作を考えたのです。それともう1つ、fpは発売から4年近くたちましたが、そろそろ次期モデルが登場するのではないかと思うのです。だとするとこの時期しかないと考えたのですが、どうなのでしょうか。シグマがどのような新機種ボディを出すかでLマウントアライアンスグループの真価が問われるのではないでしょうか。

 シグマfp、fpLユーザーの方はこれを機会に、さらなるご自身のアイディアを盛り込み使用者としての新規性を求めてみましょう。 (^_-)-☆

 

 

ニコンZfを使ってみました

 ニコンからヘリテージデザインと銘打った「ニコンZf」が7月28日に発売されました。早速、わがスポンサー氏の依頼により、ZfボディとニッコールZ28mmF2.8(スペシャルエディション)、ニッコールZ40mmF2.8(スペシャルエディション)の2本の交換レンズをいつものショップに発表と同時に予約しました。発売までの間には、セットレンズ付きは人気が高いため品薄になり遅れるとか情報が流れましたが、そこはいつものお店の配慮でしょうか、無事発売日には入手することができました。

 そこで、まず最初にニコンZfを理解しようと関連資料を読むと、『ヘリテージデザイン』という言葉があちらこちらに出現するのです。ヘリテージデザインとは、時代を超える普遍性ある伝統的なデザインということのようで、スペシャルエディションのニッコールZレンズは“ニコン FM2発売当時のマニュアルレンズに『インスパイア』された『ヘリテージデザイン』のフルサイズ対応の小型・軽量単焦点レンズ”ということのうです。さらには『ニコン FM2をベースとしたアイコニックなデザイン』だとか、幅広いユーザー層を対象にしているカメラにこのような外国語を連打するというのは、何だろうとついつい考えてしまいました。時代なのかもしれませんが、私も過去に幅広い方々に向けた雑誌を作ってきた人間としては、いかにわかりやすく書くかということが大切で、このような文章の連投は理解に苦しむところで、たまたまカメラ談義を行った友人の週刊誌ライター氏も同感だというのです。

 簡単にいえば、ニコンFMやFEの1970年代の一眼レフ時代を思い起こさせるカメラボディとレンズデザインだということになるのです。

ニコンZfボディとニッコールZ40mmF2、Z28mmF2.8》40mmF2はZfボディとのセットレンズ。Z28mmF2.8は単独で求めた。どちらもかつてのニッコールレンズのデザインを彷彿とさせられる。ボディに向かって右側に見える黒丸ボタンがレンズ着脱ボタンで左下はファンクションボタンで、どちらもデザイン形状的に同じなので、他社機を併用する人や乗り換えた人は、マウントの回転方向が世の中と逆なことなども含めて慣れが必要で、体でおぼえるしかありません。

《電池のセットと記録メディアのセット》Zfの特徴として記録メディアが2つ挿入できることがあげられます。1つはSDカードで、もう1つはマイクロSDカードです。写真ではSDカードは完全に差し込んでありますが、マイクロSDカードはスロットに挿し込んだ後に押し込み取り出せる状態にしてあります。マイクロSDカードは、バッテリーを取り出した状態で行うようにすすめられていますが、着脱はかなり細かい作業となります。バッテリーはZシリーズの物と同じ形状ですが、当初のZ7、Z6がボディ面に対して縦に置きグリップの中に収納させたのに対し、Zfでは横置きにしてグリップ部を事実上なくしたようなデザインとなっています。

《カメラを両手で保持した状態で軍艦部を見ると》右から、露出補正ダイヤル、シャッター速度ダイヤル、左はISO感度ダイヤルです。シャッター速度ダイヤルはB.T.X.1/3 STEPの時にはロックがかかり、ISO感度ダイヤルは感度自動可変のCポジションでロックがかかります。ざっと見た感じでは操作にあたっての難解さはないですが、一眼レフ時代のDf 譲りで設定操作は動きにくいようにとの配慮からでしょうか、硬めです。絞り値を示す液晶板はELではないのも残念。いずれにしても、今回私の周りで購入した方々は皆さん年齢が高く、それぞれの文字が小さいので見えるのだろうかと心配です。幸い私は近眼なので、眼鏡をはずして見ればOKなのですが、ちよっと気になりました。

《軍艦部操作部分のアップ》左:ISO感度ダイヤルの基部にはモード変換レバーがついていますが、指標表示レバーをもう少し大きくすれば、右手前の部分は省略でき、不要に干渉することはなくなるので、もう少しクリック感が柔らかいとうれしいです。右操作部は、カラー・モノクロがワンタッチで切り替えられるのはすこぶる快適です。ただ、やはりクリックが堅いのが残念だというのが個人的な考えです。さらに細かいことではありますが、人工皮革のシボ目が背面液晶裏蓋とボディ本体では微妙にピッチが異なるのが気になりました。いずれにしても写りには関係ないといえばそれまでのことですが、カメラが写真を撮る道具である以上、操作系はの感触は大切だと思います。

《背面液晶は回転収納式》リバーシブルの背面液晶はこのような状態ほか、前からも見ることができ、どちらかというと動画を意識した感じです。メニュー画面は、本機の特徴であるMC(モノクローム)、FM(フラットモノクローム)、DM(ディープトーンモノクローム)などを表示しました。

《使用したZレンズ2本》Z40mmF2とZ28mmF2.8です。どちらも、かつてのニコンFマウントレンズのマニュアルフォーカス時代を想起させるのデザインを採用したスペシャルバージョンです。どちらもブルーの部分が非球面レンズで、最後面のレンズは撮像素子に近くにフィールドフラットナーとして配置され、ミラーレスならではの設計であることがわかります。ボディ側マウント部が金属ですが、今回の2本のレンズはマウント部はエンジニアプラスチックであるために黒く見えます。

■Z40mmF2とZ28mmF2.8であちらこちらを撮ってみました

 まずは、いつもの英国大使館正面玄関です。

《いつもの英国大使館正面玄関》40mm:絞り優先AE、F5.6・1/800秒、ISO-Auto100、AWB、ピクチャーコントロールは以下すべて“A-Auto”です。いつもの、場所・天候・時間・絞り値での撮影ですが、この日は少し前までは天候はいまひとつでしたが、定位置に立ってカメラを構える直前にちょっとした偶然が起きました。ご覧のような青空になり、撮影中に屋根にはハトが10羽もいて、カラスが横切ったのです。ハトは屋根にとまっているのは今までも何度かありましたが、カラスが横切ったのは13年ぐらいの間で初めてです。きっと清水哲郎さんの“東京カラス”写真展を拝見したのが良かったのでしょう。さて画質のほうは、もはやいうことはないぐらいの高画質です。かつては、機種によっては壁面の調子が飛んでしまったり、左右の樹木の葉が流れたりということもありましたが、いまはそのようなことは各社のカメラに見ることはなくなりました。よって画素等倍トリミングは省略します。ニコンに関して言うならば、少なくともZfc、Zfはともに発色はよく、一眼レフ時代とは明らかに異なります。この点に関しては、このシリーズをさかのぼっていただければわかります(こちらです)。

《愛犬の瞳にAF》40mm:絞り優先AE、F5.6・1/800秒、ISO-Auto100、AWB。英国大使館正面玄関の撮影後に側道を歩いていたら、犬の散歩をしている女性がいたのでお願いして撮影しました。喜ばれましたが、〇〇ちゃんこっち向いてと声をかけるので飼い主の女性のほうを向いてしまうので、こちらに向いてくれません。正直なものです。それでも拡大してよく見ると、犬の瞳にしっかりピントが来ていることはわかります。F5.6と絞ってありますが、近距離なので路面はうまい具合にアウトフォーカスしていて愛犬を際立たせています。

《昼下がりの半蔵門公園・1》40mm:絞り優先AE、F5.6・1/500秒、ISO-Auto100、AWB。前のシーンと同じ絞り設定で紫の花にフォーカスしていていますが、解像、発色ともなかなかです。背後中心には、ベンチに女性が座って語り合っていますが、左右の植物群も含めてボケ具合はむらもなく自然です。

《昼下がりの半蔵門国民公園・2》40mm:AUTO、F11・1/160秒、ISO-Auto200、AWB。紅葉には少し早く、木々は緑ですが、芝から背景の樹木まで繊細で微妙な緑の違いを描写しています。露出のバランスも良く色彩的にも明るく描写されていて個人的には好みの発色です。このシーンで唯一気になるのは、このような場面で感度をISO200に上げて、絞りF11となるプログラムです。さまざまなカメラを使ってきたなかでもこのような絞りと感度の組み合わせは、写るから実用上は問題ないですが不思議です。この先、プログラムの組み合わせを注視することにします。

《小さな樹》40mm:絞り優先AE、F2・1/1000秒、ISO-Auto100、AWB。最近お気に入りの撮影スポットです。わずか15cmほどの小さな樹ですが、下から見上げるようにして撮影すると光が透過して美しく、緑の発色具合と背景のボケ具合を見るのには最適な被写体です。前ボケ、後ボケとも不満はありません。

《カラフルなより糸》40mm:AUTO、F5.6・1/8秒、ISO-Auto100、AWB。六本木から国立新国立美術館への道すがら見つけたビルの中のオブジェ。ガラス越しの撮影で、反射が入らないようにとガラスにレンズを近づけての撮影でしたが、みごとな発色とバランスの良い露出に感心しました。しかしいくら手振れ補正が入っていようとも、ガラス越しにカメラを構えたのを感知したかのようなスローな1/8秒のシャッター速度でした。壁や床が全体に薄くシアンがかっているのは、ガラスの色の影響を受けたようですが、いい感じで撮影できました。

国立新美術館》28mm:AUTO、F11・1/250秒、ISO-Auto140、AWB。ニコンF3マツダルーチェ、いすゞ117クーペなどをデザインしたイタリアのデザイナーであるジウジアーロの来日講演を聞きに来た国立新美術館ですが、たまたま作例撮影のために持参したのがニコンZfでした。それにしてもZfは天候に恵まれたカメラです。このカットもなぜISO140と上昇するか不可解です。

《銀座のいつものカフェ》40mm:AUTO、F5.6・1/25秒、ISO-Auto100、AWB。銀座に行くと必ずと言ってよいほどシャッターを切る場所です。ここで撮影するのは私だけでなく、写真界の大先輩である柳沢保正さんも好きな撮影スポットです。最初は、手前を歩く2人の外人のいないカットを選んでいましたが、いや待てよということで、あえてこのコマを使いました。それというのも不思議なのは、手前のカラーコーンにはピントが来ていて、さらに店の前にいる人たちにはしっかりとピンが来ているのに、歩いている2人はピントが合ってないというよりブレているのです。つまり、ISO100と感度はノーマルで、シャッター速度は1/30秒はブレてもしょうがないのです。やはり露出のプログラムの組み方(考え方)が他社というか私の考えと違うのです。どうしたものでしょうか。

《深夜のニコン旧101号館跡》28mm:AUTO、F5・1/13秒、ISO-Auto6400、AWB。新築中のニコン新社屋ビルです。何も考えずにAUTOでシャッターボタンを押しましたが、見た目には暗闇の空間ですが、明かりは信号と街燈さらには工事中ビルの上部の赤色灯だけですが、走行中の自転車がぶれているのは1/13秒というスローシャッターが生み出した結果ですが、最大口径F2.8と明るいレンズでF5絞り込んでいるのが不思議です。昨今のレンズは絞り開放からしっかりとした描写をするはずなので、主要被写体までの距離などを考慮しても、F5に絞り込む意味は不明です。見た目は暗いシーンでも、写した結果は、みごと昼間のように明るく写っているのが正に写真の適正露出ならではの面白しろさです。

《歌舞伎町のハロウイン・1》28mm:AUTO、F4・1/60秒、ISO-Auto1600、AWB。西大井から流れて着いた先は新宿歌舞伎町。10月31日、時はまさにハロウインの最中、Zfの実力を探るのには最適な場所です。AUTOポジションのまま撮影しましたが、文句なしによく写ります。プログラム露出の値も納得いく範囲です。レンズとしては、解像性能はいうまでもなく、背景のボケ具合もF4という絞り値のせいでしょうか、周辺の雰囲気を残しつつ、適度なボケが効いて手前の主題の2人が浮き出ています。肩から提げたカメラはフィルム用のミノルタα9です。2人ともいい顔してます。

《歌舞伎町のハロウイン・2》28mm:AUTO、F2.8・1/125秒、ISO-Auto1800、AWB。さらに奥に入り、歌舞伎町の広場にて。少なくともハロウイン期間中は、入口から広場まで海外の人でにぎわっていました。絞り開放ですが、ピントはよく見るとお腹に合っています。背景の人たちは適度なボケをもっていて、その場の雰囲気は十分に伝わってきます。

《歌舞伎町のハロウイン・3》28mm:AUTO、F2.8・1/125秒、ISO-Auto2000、AWB。ロボットの前で順番待ちで撮影していたら、同時に2人が左右から出てきて左の男性が遠慮してどこうとしたら、一緒に撮ろうと腕を引かれて気炎を上げていました。2人ともノリノリ、すごく盛り上がりましたが、右の方は国籍不明です。こちらも文句ない写りです。

《土壁》40mm:AUTO、F11・1/25秒、ISO-Auto400、AWB。川崎市にある川崎市立日本民家園でのカットです。決して、レンズの歪曲ではありません。もともとの柱がゆがんでいるのです。土壁は見た目にはもう少し黄色みあるような気がします。ピクチャーコントロールは“A-Auto”にセットしたままですが、少し色ぬけした感じになりました。このカットも晴天下の露出ですが、プログラムの組み方がよく理解できません。

《紅葉とかやぶき屋根の家》40mm:絞り優先AE、F2・1/3200秒、ISO-Auto100、AWB。F2と、あえて選んだ絞り値です。やはりかやぶき屋根の色が少し見た目と違います。また、大きく拡大するとかやぶき屋根の部分が2線ボケ的な描写を示しますが、特別に大きくプリントしない限り気になるようなことではありません。

《ススキの穂》40mm:AUTO、F7.1・1/200秒、ISO-Auto100、AWB。季節的にはこれからというススキの穂をあえてクローズアップしてみました。F7.1と絞られましたが、背景のススキ、かやぶきの民家とも気持ち良くむらなくボケています。

《枯れ葉》40mm:絞り優先AE、F2・1/250秒、ISO-Auto100、-0.7EV、AWB。中央の枯葉を狙い絞り開放で、前ボケと後ボケを見てみました。中央の葉の調子が飛ばないように少し渋めに出したかったので、-0.7EVの露出補正をかけてみました。

《かやぶき屋根》40mm:AUTO、F11・1/125秒、ISO-Auto250、AWB。F11まで絞っているせいか、画素等倍まで拡大すると萱の1本1本が十分に解像していますが、2400万画素より、もう少し高画素であってもいいのかなと思いました。やはりこのシーンも晴天下なのにどうして感度アップするの?という、プログラム露出でした。

■3種のモノクロームモードは何が違うのか?

《カラーとモノクローム3種のモノクロームモードはどんな描写を示すのか、カラーとモノクローム(MC)を試してみました。被写体はいつもの枯葉と最初は考えましたが、誰でもがわかる記憶色から見てみようと、コダックのカラーセパレーションガイドとグレイスケールを基準としました。左はカラー(ピクチャーコントロールはA-Auto)、右はその状態で右肩レバーをMC位置にセットして撮影しました。カラーは、色再現としてはチャート通りという感じで、グレイスケールのステップは14段まで認識できます。一方、MCでは、やはり14段まで認識できますが、カラーもそうですがどちらもうなって見ていると15段を認識できます。このあたりが目視の限界ですが、モニターなどによっても変わる要素もあります。ただ、私は同じモニターで一貫して見ていますので、それなりの変化は認識することはできます。

《FMとDM》左:フラットモノクローム。右:ディープトーンモノクローム。フラットモノクロームは色の再現はMCと同じだが、グレースケールはB(16)まで識別できるので調子を軟調化させてるようで、まさにフラットモノクロームです。ディープトーンモノクロームでは、カラーチャートのシアンが黒く落ち込んで、さらにイエローがス抜けのようになり、上段の薄い部分ではイエロー・レッド・マゼンタが同じように再現されて分離して見えません。階調としては、グレースケールの15段まで認識できます。色をいじっているのはディープトーンモノクロームだけで、青空を黒く落とし込みたいようなときに設定すると良いと考えられます。いずれも私が勝手に考え出した識別法による判断であることをご理解ください。

■とにかくよく写るけれど

 今回使用したニコンZfは、Zレンズとの組み合わせで、大変よく写ることは確かです。発色も良く、同じミラーレスでもZ7時代とは明らかに異なる色傾向です。これは、たぶんZfc以来の処理エンジンを発展させて搭載しているからだろうと考えるわけですが、その一方で、再三書いているようにプログラムの組み方が従来の考え方では理解できない挙動を示すのです。おかしいおかしいと思って、Zfではボディ側に手振れ補正機構を組み込んだからだととも考えましたが、ボディ内に手振れ補正機構のないZfcの時のレポートを見てみると、私はやはり同じようなことをつぶやいているのです。ZfcからAEのプログラムを組む人間が、それとも露出に対するニコンの考え方が変わったのでしょうか、機会があればニコンの開発担当の方に聞いてみたいのです。プログラムの組み方は長年培ってきた各社のノウハウの積み重ねだと思うのですが、こういうプログラムを組むと、写真教室の先生方は困るのでしょうね。

≪機械式レリーズを装着とスペシャルエディションレンズについて≫ 左:やっていいとかいけないとか書かかれていなかったで、あえてやってみました。もちろんシャッターは切れませんが、レリーズ穴を突き抜けるというようなことも通常の押し込み圧ではありませんでした。本来はソフトレリーズシャッターをねじ込む穴ですが、本当に機械式シャッターレリーズが使えればマニアックなユーザーは喜んだのかもしれません。

 そこでもう1つ。右:スペシャルエディションのニッコールZレンズは“ニコン FM2発売当時のマニュアルフォーカスレンズに『インスパイア』された『ヘリテージデザイン』のフルサイズ対応の小型・軽量単焦点レンズ”ということですが、ここまでボディデザインをFM2時代にこだわるなら、レンズにも絞り環を付けるぐらいの勢いが欲しかったです。使い勝手がよくなることは言うまでもなく、FM2時代の『インスパイア』された『ヘリテージデザイン』のMFレンズをうたうなら、ぜひということです。写真はシグマfpと同時に発売された手動絞りリングのついた45mmF2.8 DG DNコンテンポラリーレンズですが、このようになるとキャッチフレーズにより近づくと思うのです。同様な絞り環機構はソニーの一部レンズにも採用されているので、ないものねだりではありません。

 さて、いよいよこのレポートの締めとなりますが、Zf、2本のZレンズを購入して最初に向かったのは、販売店近くの写真機(ギャラリー)居酒屋なのです。ここで多くの人たちは、発売初日に集い開封の儀と称して皆で発売を祝い、カメラを開封し愛でるのです。この場で不思議なことが起きました。開封してバッテリーを入れてもうんともすんとも言わないのです。その場には午前中にZfを手にした知人がいましたので、その方のPD対応バッテリーを借りて、はやる気持ちを抑えて、ある程度充電して数値がでたときに電源スイッチをONにしてシャッターを切ったのですが、カラーモードなのにモノクロになり、さらに5コマ/秒のH連写で切れてしまうのです。そこで、電池を抜いてやり直し、さらにその方のバッテリーを接続して長時間放置して充電したら普通に動くようになったのです。以後暴走は起きなく問題なく作動していますが、いわゆるこれが世間で騒がれた暴走だったようです。

 ニコン製品に妙に詳しいIT技術者によると、Zfはバッテリー0で出荷されるということで、電圧が不安定だと暴走することがあるけれど、充電がしっかりとされていればそのようなことは起きないというのです。これは、ちょっと理解できますが、今までは30%ぐらい充電された状態で出荷されるのが各社のやり方だと聞いていましたし、さらに完全に放電されゼロにするとバッテリーにむりがかかるとも聞いていましたので、どうなのでしょうか。私は、ある程度電圧が低下すると、制限をかけてストップさせているのではないかと思いますが、これもニコンの技術者に聞いてみなくては真偽のほどはわかりません。ただはっきり言えることは、出荷時にはCタイプのUSBコード(UC-E25)はついていても充電器はついていないのです。したがってZfを購入してもPD(パワーデリバリー)対応の充電器か充電バッテリーがないと充電できないのです。Zfのカタログには、別売のバッテリーチャージャーMH-34か、ACアダプターEH-8P(USBケーブルUC-E25併用)または本体充電ACアダプターEH7Pが「撮影をもっと楽しくするアクセサリー」として紹介されていますが、簡単にいえばPD対応の充電器がないと充電できないのです。

ニコンZfの取説の充電に関するページ》使う前にはフル充電してくださいとは取説には書いてありますが、フル充電の充電時間は2時間40分だそうですが、Zfを購入したユーザーが早くシャッターを切ってみたいと考えるのは致し方ないことであり、このあたりをどのように折り合いつけるかは難しいと思うのです。取扱説明書は、A6判・1色で中綴じ16ページ仕上げですが、他社がペラ1枚折畳みというようなところもあるので、立派なものです。

 つまり、もしAPS-CのZfcを使っていて良いからと、グレードアップしてフルサイズのZfをいきなり買っても同じようにそのままでは使えないのです。Zfcの時は、簡単にいえば100円ショップの充電器や車やホテル、新幹線のUSB端子からも充電できましたが、Zfではそうはいかないということです。

 もともとニコンキヤノンはフルサイズミラーレス機を発売した時からこのような対応でしたが、Zfcになったらそのような制限がなくなり良かったと思ったら、また後戻りしたのです。このあたり家電系ですとソニーパナソニックもOKなので、技術というか考え方が異なるようです。ついでに言うならば、ZfのバッテリーはEN-EL15Cで、Z7の時のEN-EL15bバッテリーは電流値は違いますが、どちらも互換があり使うことはできました。ただしZ7で使えたサードパーティのROWA社の互換品は、Zfでは使えなくなったのでセキュリティーが高くなったようです。このあたり、記録メディアやインクジェットプリンターの互換インク、果ては車のバッテリーやタイヤなどとの関係などと照らし合わせて考えると難しい問題です。

 ニコンZfcが2021年7月23日に発売されて好評をもって迎えられ、さらに2023年10月に発売されたニコンZfも発売日に予約した人は納品は5月だといわれたそうで、来年の中ごろまで受注を抱えるほどに好調なのですが、最も気になるのは、ニコンFM2の時代というと、すでに50年以上前のデザインなのです。当時、20歳だった若者はすでに70歳になっているわけです。事実、私の周辺でZfを購入したのはすでにリタイアした人とか寸前の人が多く、その余裕で購入している人が多いのですが、2013年11月に発売されたニコンDf以来、過去の一眼レフスタイルをデザインともども踏襲して、Zfのカタログを見ると若者向けに仕立て上げられていますが、実際このまま売れ筋として若い人たちに受け入れられるのかというのも、大いなる興味です。

 私自身は「写真は、つねに時代の最先端技術を採り入れて撮影領域を拡大してきた」というように認識してきましたが、カメラとレンズの中身は最先端でも、カメラデザインは50年前にとどまっていて良いのかというのが素朴な疑問です。もちろんZ9、Z5、Z7Ⅱなどの存在はわかっていますが、どちらがニコンのカメラに対するハウスデザインなのでしょうか。このあたりはお客さんが購入という形で答えを出していくのでしょうか、それともカメラを作る側のニコンが新しい方向を生み出していくのかはわかりませんが、時間が経つと明らかになってくるでしょう。 (^^)/

 

 

エルノスター8.5cmF1.8を使ってみました

 写真に関係したブログをやっているとさまざまな出会いがあります。先日、写真の大先輩で朝日新聞社OBの柳沢保正さんから「エルノスター8.5cmF1.8」を手渡されました。聞くところによると、私が2014年7月の“写真にこだわる”のブログで「エルノスター10cmF2レンズをライカMで使う」と題して使用記を紹介したところ、柳沢さんの知り合いがその記事を読んで、ぜひ私に使って欲しいとご自身が所有のオリジナルのエルノスター8.5cmF1.8を手加工でソニーEマウント用にして、柳沢さんに託したというのです。その方がどなたかは柳沢さんは教えてくれませんが、せっかく期待されたのだからと簡単ながらレポートしてみました。

≪写真1≫ソニーα7RⅣに装着されたエルノスター8.5cmF1.8。写真は撮影にあたって不要光を排除するために、むりやりフードをビニールテープで取り付けてあります。(長野県池田町にて)以下、画像はクリックすると大きくして見れます。

 レンズ前枠銘板には「Ernemann Anastigmat ”ERNOSTAR” 1:1,8. F=8.5cm D.R.P.」と刻まれています。この“エルノスター8.5cmF1.8”は、1924~26(大正13-15)年に独エルネマン社より発売された「エルマノックス(ERMANOX)」についていたレンズで、レンズは非交換式ですが100mmF2も85mmF1.8も同じ仕様のボディで使われていたようです。このような記述は何かあいまいですが、実は私のところには過去の100mmF2はライカMマウント(距離計非連動)に、85mmF1.8はソニーEマウントにそれぞれが加工されてきたのです。元のエルマノックスボディ(写真2)は、100mmF2付で119×110×98mmぐらいの寸法ですが、見るからに大口径レンズが主体のカメラだということがわかります。画面サイズ4.5×6cmのアトム判乾板を使い、当時は大口径レンズであるエルネマンのエルノスターレンズを装着して補助光としてのマグネシウムも焚かずに“見えるものなら何でも写せます”とのキャッチフレーズで登場したのです。

 この辺りに関しては当時の写真家、ドイツのフォトジャーナリストであるエーリッヒ・ザルモン(Erich Salomon 、1886-1944年)が1920年代にヨーロッパ各国の議会内に入り込み、山高帽の中にカメラを隠して撮影したとされますが、より小型の85mmF1.8でもなかなかの容積と重さであり、使用した乾板の感度は今よりも格段に低かったであろうことなどから、当時の写真家の苦労がしのばれますが、補助光源なしの撮影ではエルマックスボディと大口径エルノスターレンズの果たした役割は大きかったのです。

≪写真2≫ 左:エルマノックス(100mmF2付)早田カメラより、中:エーリッヒ・ザルモンのエルマノックスによる隠し撮り。右:あそこにザルモンがきているぞと指さすフランスのアリステード・ブリアン外相(1931年)ウイキペディアより。

 レンズ設計者はエルネマン社のL.ベルテレ(Ludwing Bertele)で、F2の後に、F2.7、F1.9、今回のF1.8、F1.5などが設計されました。エルネマン社がツァイスに合併された後は、大口径レンズとして名高いツァイスの「ゾナー50mmF1.5」までベルテレは発展させています。

■100mmF2での実写結果を念頭に置き、85mmF1.8で撮影

 ところで前回の100mmF2のときは、6枚構成か4枚構成かと悩みましたが、結局実測してわかったことは4枚構成であったことです。これは参考にした文献による違いと、特許番号と焦点距離F値などによる相違からあれこれ悩んだわけですが、今回は最初から4枚構成らしいということで、撮影を開始しました。前回の撮影結果からおさらいすると、反射光が入り込まない近距離やステージのように周囲が暗いところだと良い結果がでて、屋外無限遠の風景だとハデにゴーストやフレアがでてしまうのです。

 これは簡単に考えれば、レンズ表面に不要な光が届かないようにすればよいのですが、エルノスターレンズにはフードを付けるスペースがないのです。当時のレンズはノンコーティングで、それだけ表面の反射は高いはずなのです。そこで今回の85mmF1.8では、あれこれ考えむりやりフードを取り付けてみました(写真3)

≪写真3≫ 左:フードを付けた状態。右:フードとエルノスターレンズ。フードは49mmΦのネジが切ってありますが、レンズ鏡胴最前部にピッタリ合うものがなく、前後をひっくり返した状態で、ビニールテープでぐるぐると巻き付けて固着しました。結果は、以下の作例をご覧いただければおわかりいただけると思いますが、効果は抜群でした。

 この状態で、あれこれと撮って見ようと考えました。100mmF2の時は、常磐ハワイアンセンターのスポットライトを浴びたフラダンス嬢がうまく撮れたので、同じような状況を考えましたが、身近で思いついたのは写真スタジオでのポートレイト撮影です。結果は素晴らしくよく、85mmF1.8の絞り開放F1.8でも解像力は恐ろしく高いのです。まさかこれが100年前の大口径レンズとは考えられないほどの画質です。さらにストロボ光とマッチングが良く、発色が素晴らしく良好なのです。エルノスター85mmF1.8だからということだけでなく、同時に撮影したテッサー15cmF4.5も絞り開放でやはり高解像で高演色の色再現を示したのです。つまり、ストロボ光との相性が良いのです。どちらも1920年代のレンズであって、コーティングはまったくなされていなく、デジタルの撮像素子(今回はCMOS)との相性が良いのです。これは、カラーフィルムでも同様な効果が得られるのではないかと考えますが、この辺りはこのブログで目指すところではありませんので、どなたかその方面の専門家にご意見をお伺いしたいものです。

≪作例1≫ LUNAさん。絞り開放F1.8・1/250秒、ISO100、Godoxストロボ同調、AWB。ライティングの関係から全体的にローキーな感じに仕上がっていますが、6100万画素の元画像を画素等倍まで拡大して見るとピントを合わせた左目のまつ毛がかなり解像しているのがわかります。約100年前のF1.8大口径エルノスターの実力は想像以上のものがありました。撮影後のデータはレタッチソフトでは一切いじっていませんが、ハイライトの肌の部分も飛ぶことなく、絶妙に調光されたライティングです。(ケンコー・トキナースタジオにて)

≪作例2≫ 柳沢保正さん。絞り開放F1.8・1/250秒、ISO Auto-160、AWB。蛍光灯下で、背景は映写スクリーンで、左右から北向きの窓から自然光が射し込んでいます。さすがこのシーンは撮りっぱなしというわけにはいかず、トーンカーブを少し持ち上げて顔を明るくしていますが、適度なシャープさの中に、人物ポートレイトらしい柔らかさが描出されています。(写真懇話会にて)

 さらに、自然光の元ではどうだろうかと、夏休みを兼ねて長野県の安曇野に出向き、自然光下での撮影を試みました。作例3~作例9までがそうですが、絞り開放F1.8の近接撮影、さらにはF5.6やF22に絞り込んでの無限遠の風景撮影などを行いましたが、にわか作りのフードの効果か、それともエルノスター8.5cmF1.8の実力かもたらしたものかはこの試用だけでは判断できませんが、良好な味のある写真を撮ることができました。

≪作例3≫ レストランのカウンターテーブルに置かれた陶器のリンゴ。絞り開放F1.8・1/30秒、ISO Auto-320、AWB。上の柳沢さんの場合と照明は同じ感じで、室内の光に背景から自然光が入り込み、柔らかな描写とボケを示してくれました。撮影は、エルノスター85mmF1.8のほぼ最短撮影距離の約32cm。この手の写真はあまり大きくプリントしないで、キャビネ判からA4ぐらいまでが良いかもしれません。また、グレイスケールデータにしてモノクロプリントも合いそうです。(長野県安曇野にて)

≪作例4≫ ガラスに入ったリンゴと水。絞り開放F1.8・1/30秒、ISO Auto-320、AWB。写真5とまったく同じ場面ですが、背景のボケが柔らかな丸になってくれたのがいい感じとなりました。(長野県安曇野にて)

≪作例5≫ 双体道祖神。絞り開放F1.8・1/250秒、ISO Auto-100、AWB。家陰に置かれた双体道祖神ですが、中央部が白など鮮やかに彩色されているために、露出がそちらに引っ張られて、周辺が暗くなりいい感じに撮影することができました。(長野県安曇野にて)

≪作例6≫ 彩色された3体の道祖神。絞り開放F1.8・1/2000秒、ISO Auto-100、AWB。こんな炎天下で絞り開放で撮るかという感じでしたが、背景の人家を目立た他さないようにとあえて絞り開放で撮影しました。(長野県安曇野にて)

≪作例7≫ 絞りF5.6・1/640秒、ISO Auto-100、AWB。さすが、無限遠北アルプスの風景を撮るのには絞り開放とはいかずF5.6に絞りました。これだけは最新レンズと同じというわけにはいきませんが、軟らかななかにも解像性は高いことはよくわかります。(長野県池田町にて)

≪作例8≫ 絞りF1.8・1/800秒、ISO Auto-100、AWB。作例7の丘の上の公園に行く途中で見つけたブドウ畑。背景には山並みが見えかつて訪れたフランスのブドウ畑を思い出しました。北海道の池田町のワイン農園は平地で行ったことはありましたが、長野県の池田町山麓にもワイン用ぶどう畑があるのを知ったのは初めてです。

 これら一連の撮影途中で面白いことを発見しました。撮影は基本的には絞り開放撮影で行ったのですが、絞りリングを開放から最小絞りに動かすと、それまでの円形絞りが崩れ一気に星形の絞り形となるのです。この形を活かすと、星形のボケが得られるのではといろいろと試しましたが、なかなかボケ像が星形とはなって表れてきません。頑張って撮影してみましたので写真10をご覧ください。いずれも手持ち撮影ですが、簡単に高感度が得られるデジタルそれもミラーレス時代ならではのメリットでしょう。

≪写真4≫ エルノスター85mmF1.8を正面から見たところ。左:絞り開放F1.8、中:絞りF5.6、右:絞りF22。F22は絞りの形が星型、さすがエルネマンの星だと喜んで撮影してみたのが以下のカットです。

≪作例9≫ 左:絞り開放F1.8の後ボケ(1/200秒。ISO100)、右:絞りF22(1/30秒、ISO320)の後ボケ。それらしい形がでるところを探した結果ですが、星型というよりは金平糖型という感じで少しがっかり。(長野県安曇野にて)

≪写真5≫ エルノスター85mmF1.8とMDロッコール85mmF1.7(5群6枚構成、1987年発売)の大きさ比較をしてみました。MDロッコールの方は、ソニーEマウント用にマウントアダプターを介してフランジバックをそろえてあります。エルノスター左は、∞位置にセットしてありますが、その位置よりさらに5mm行き過ぎたところが停止位置で、距離目盛は131ft~最短4ftまで目盛ってありますが、ヘリコイドはオーバーInf位置から40ftまでで7.1mm伸び、オーバーInf位置から最短の32cmまでは17.5mm伸び(エルノスター右)ます。つまり最短目盛の40ft(約122cm)よりさらに伸び、約32cmまで近接できるのはすごいです。これはエルマノックスが、ピントグラスにて直視する焦点合わせ方式だからできる方式であって、最新のミラーレス機で実絞り画像を拡大してEVFで直接ピント合わせできることから可能になったわけで、100年前の大口径レンズを活かして撮影できるのも、カメラ技術の進歩としてありがたいものです。なお、エルマノックスの乾板画面サイズは4.5×6cmのアトム判ということで、ミラーレスのフルサイズ機でライカ判にトリミングしているわけで、プリント時の拡大率から言うとご立派というほかありません。一部は、A3ノビにプリントしてみましたが、レンズのイメージサイズの中心部だけ使ったとはいえ、作例写真でもお分かりのように、画面全体にわたって破綻はありませんでした。

■エルノスター100mmF2と85mm1.8の描写は異なるのか

 今回のレポートは柳沢保正さんから手渡された「エルノスター85mmF1.8」でしたが、柳沢さんによるとレンズのオーナーさんは「エルノスター100mmF2」も所有しているそうで、撮り比べて見ると85mmの方が画質が良いのはなぜだろうかというのです。2本のエルノスターを同時に、同じ被写体で試していないので、必ずしもそうだと言いきれませんが、改めてエルノスター100mmF2の時の写真を引き出して見ると、なるほどなという感じもしますが、無限遠の風景写真で派手にでまくった、ゴースト・フレアのような場合は、今回の85mmF1.8のような効果的なフードを装着すると解決しそうです。

 では、レンズ構成はどうなっているのだろうかと、改めて見ますと、100mmF2は4枚ですが、85mmF1.8は3群6枚となっています。製造時期からすると、85mmF1.8のほうが後なので、画質は向上しても当然だと考えられます。

≪図1≫ 左:エルノスターF1.8(最新寫眞科學大系7、寫眞光学、1935年、誠文堂新光社より)、右:F2のレンズ構成(写真技術講座1、カメラ及びレンズ、1955年、共立出版より)。このレンズ構成に関しては、前回100mmF2の時に文献によって構成枚数が異なり迷いましたが、今回は上記の図面を持って構成図としました。この点に関して、FBで疑問を投げかけたら、学生時代の後輩でもあるNHさんが、特許からあたり、光線追跡や収差特性まで分析してくれたので、詳しいことはそちらを参照ください。参照先は、はてなブログペンタックスレンズ研究会」で“2つのErnostarレンズの特許について”と題して考察されていますので、ぜひご覧ください。

 参考までに、エルノスター100mmF2での写真を紹介します。

≪作例10≫ エルノスター100mmF2の写り。左:フラダンス。F2・1/1000秒、-1.3EV、ISO2500、AWB、このような条件では素晴らしい結果を示します。右:千曲川長野盆地。F5.6・1/60秒、ISO200、AWB、これは今回のようにフードを取り付ければ、たぶんゴースト・フレアのない写真になったと思います。エルノスター100mmF2の詳細報告は京都MJのHP、ライカに始まりライカで終わるの第二十二回「エルノスター10cmF2レンズをライカMで使う」に掲載されています。このサイトでは、それぞれの作例を画素等倍まで拡大できますので、ぜひご覧ください。

≪謝辞≫ 今回のエルノスター85mmF1.8およびテッサー150mmF3.5のスタジオ撮影にああたっては、ケンコー・トキナーの田原栄一さん、写真家Laskey先生、モデル LUNAさんに多大なるお世話になったことを厚く感謝申し上げます。

 

 

ソニーα6700を使ってみました

 ソニーから約2600万画素の裏面照射型CMOSを採用したAPS-C判のミラーレス一眼のα6700が発売されました。このα6700は、2019年に発売されたα6500の後継機となるようですが、わがスポンサー氏がさっそく所望されましたので、さっそく高倍率ズームとされる「E18~135mm F3.5-5.6 OSS」キットレンズと、さらに同時発売の「ショットガンマイクロホンECM-M1」を発売日の7月28日に購入しましたので、とりあえずは使った印象を述べてみることにしましょう。

≪E18~135mm F3.5-5.6 OSSキットレンズを装着したソニーα6700≫ フードは同梱されていましたが、外観写真的にはレンズの顔を見せたかったので外しました。焦点距離18~135mmレンズは、ズーム倍率7.5倍で、APS-C判のα6700で使用するとライカ判フルサイズの約28~203mm相当の画角になります。

≪背面液晶は横に開いて見ることができ、完全に裏返して隠すこともできます≫ 動画専用機の高い性能を受け継いだ動画機能は4k出力も可能ということで、本機の注目点でもあります。

≪ショットガンマイクロホンECM-M1≫ 8つの収音モードを備えた世界初のオールラウンダー小型ショットガンマイクロホンとされ、マイク部は風防のモフモフを付ける前の状態で見ると、4つの穴の開いた部分がマイク部分で背面円盤を回転させて変えることで収音角度が変わるというソニー独自の形状をしています。カメラのアクセサリーシューに取り付けるとゴム状のもので支えられていて、ショックアブソーバーのような役割をもち、マイク部にカメラ本体からのショックが直接伝わらないようになっています。

■ご近所でスチルと動画を撮ってみました

 撮影は、いつものように英国大使館の正面玄関に始まるという形ではなく、ご近所で簡単に実写した報告です。

≪川越百万灯夏まつりにて・1≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離135mm、F5.6・1/250秒、ISO-Auto320、AWB)。キットレンズの望遠域を使い、お面のアップと背景のボケ具合を見てみました。解像感、発色、ボケ具合ともまったく問題ない描写です。古い町並みの残る川越ですが、鉄道は、JR、東武、西武と交差して東京都心部へのアクセスも良く、休日はふだんから観光客でにぎわいます。

≪川越百万灯夏まつりにて・2≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離18mm、F6.3・1/100秒、ISO-Auto100、AWB)。キットレンズの広角域を使い、よさこい踊りの旗振りを写してみました。ワイド端での撮影ですが、高くそびえる高層マンション、旗のポールなどを見る限り直線性も良く、歪曲収差も補正されていることがわかります。古い町並みと高層マンション、西日に輝く観客とカラーコーン、翻る大旗、いずれもバランスよい露出で撮れています。

渇水期の川の木≫  E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離18mm、F8・1/200秒、ISO-Auto100、AWB)。雨が降って増水したときは、川幅いっぱいに水が流れるのでしょうが、梅雨明けの川は増水期に流れた漂流物が、木に細かく絡まっているのが気になり、解像感を見るためにシャッターを切ってみました。画素等倍での解像感も良く、ハイライトからシャドーまでトビやツブレのない画像です。

≪米軍空中給油・輸送機KC-135≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離135mm、F8・1/400秒、ISO-Auto100、AWB)。川べりで撮影していたら遠くで轟音が遠ざかっていくのを見つけました。早く気づいていればもう少し大きく撮影できるのではと思いましたが、最望遠の135mmで2カット撮影しました。1カットめはピントはアマかったですが、2カット目は飛行機の形態認識AFが功を奏したのでしょうか、有効画素数2600万画素ですが拡大すると形態から機種名を判別できるまでの解像感がありました。

youtu.be

本川越から西武新宿へ向かう西武新宿線特急の小江戸号≫    E18~135mm F3.5-5.6レンズ。ショットガンマイクロホンECM-M1使用、撮影モード:AUTO、焦点距離135~18mm、AWB。今回初めてカメラの使用レポートに動画作例を入れてみました。はてなブログも使いだして長いですが、少しずつアップできるデータの条件が変わってきているようで、今回初めてYouTubeにアップした画像データを直接貼り付けられるようになったのです。

 撮影意図は特にありませんでしたが、遠方に小江戸号が見えだしたときにフルサイズ200mm相当画角の135mmで撮影をスタートさせ、近くに来たらワイド側28mm相当画角の18mmにズームしてぐっと引き寄せようと考えましたが、列車が接近しズームリングを回転しだしたら、回転リングが重く、動きがぎくしゃくして画面が乱れてしまいました。もちろん駅のホームで三脚を使う気はまったくないし、ご法度であることは百も承知です。望遠側からワイドへズームしようとしたときに、ズームリングが重くて、回転で映像が乱れてしまったのは想定外のことでした。α6700ボディと新型ショットガンマイクロホンとともに発売されたキットズームレンズとしては画質と音声は十分でも、動画でカメラを使うという意味では、ズームリングの摺動性の重さはバランスを欠いたお粗末なキットレンズだと思った次第です。これからの写真というかカメラが、映像の世界において、スチルと動画の共生は明日の姿のように言われていますが、ハードとしてのカメラとレンズは同じでも、使うということで、バランスを欠いたのは残念です。単に高倍率ズームという焦点距離や価格でセットレンズとして組んだのでしょうか。

 私は、フィルムカメラの時代から手振れさせないで手持ちで撮影することは大切だと思い、ブレないようなカメラ保持法は会得しているつもりでしたが、技術の進歩でレンズに手振れ補正が入り、さらにカメラボディに手振れ補正が入り、加えてレンズとボディの協調手振れ補正が入ったことを見てきて、大変喜ばしいことだと思う反面、このようなレンズが組み合わされたのは、撮影するということより、高倍率ズームと価格というところだけでセットを組んだのでしょうか、不思議です。

■いろいろ思うことありでした

 わがスポンサー氏は、私を通して2月にもソニーFX30+EPZ 10-20mmF4G+DJI RS 3 Miniを買いましたが、その時は私も少し試そうと手を出しましたが、ジンバルのDJI RS 3 Miniのセットアップにお手上げでした。今回のα6700は、スチル主体のカメラで動画も撮れる(いまや、あたりまえ)ということで手出ししました。

 ところで、今回の使用にあたって驚いたことは、レンズキットの箱を開いて見ると1枚の折りたたまれた紙だけで、かつてのような取扱説明書がないのです。バッテリーの入れ方と最初のセットアップ(指紋認証と日時の設定など)は記されていますが、最初からバッテリー充電用のACアダプターと接続コードが同梱されていないのです。そこでまずはバッテリーを充電ということで、ボディに接続して見ると充電が開始されないのです。不思議なことに一連のα7シリーズやFX30など過去に一貫して充電できてきた、充電器とUSBケーブルの組み合わせではできないのです。あれこれ試すと、他社カメラのPD対応の充電器とPD対応の充電器では使えるのです。そこで7年ぐらい前に購入したソニー製のワイヤレスポータブルスピーカーの充電器を使うと可能だったのです。PD対応だと急速充電できるのですが、私としては寝る前に充電開始し、朝起きたら完了しているというゆっくりとした充電の方が発熱の問題なども考えると好みなのです。取り扱い説明には一般の充電アダプターとも書いてありましたが、コードは他社のでしたが充電可能でした。不思議その2です。

 というわけで、ネット上のSNSやYouTuberの皆さんは、何を言ってるかなと調べたら、なんと充電器と充電コードが同梱されていないので、中古で売るとき欠品扱いにならないからうれしいとか、α6700のYouTube画面を開いたら、いきなりYouTuberの方がすごいカメラがでたとオープニングメッセージを声高らかに言ってるのです。何がすごいのかわかりませんが、私はその先を見る気がしませんでした。最近デジタルカメラを作る多くの企業は紙媒体への広告出稿を行わなく、積極的なのは唯一キヤノンだけというのも寂しい限りです。今日のいま物が売れればいいということなのでしょうか、ユーチューバーのカウント数がどれだけ売り上げにつながるのでしょうか?これも不思議です。

 最後についでだから、書いてしまいましょう。ネット上では発売と同時に1万円のキャッシュバックキャンペーンを開始していますが、前回のFX30+EPZ 10-20mmF4Gの時には発売日から1週間後から購入した人が対象となり、悔しい思いをしました。発売初日から1週間以内に購入するお客は無視というのも強気です。今回のα6700では『α6700購入者限定レンズキャッシュバックキャンペーンでは、キャンペーン期間(購入期間)内にα6700と対象レンズを同時購入し、当社指定の手続きに従い応募期間内に不備なくご応募されたお客様に¥10,000をもれなくキャッシュバックいたします。』ということですが、今回は発売日からキャンペーン対象となりますが、6700ボディのみ、もしくは高倍率ズームレンズキットに加え、フルサイズのG、GMクラスなどのレンズを同時購入した人を対象とするとされていて、なかなか対象にならないような巧妙な条件なのです。

 実は、α6700を手にしたときは、デジタルの場合にはもちろんイメージャーのサイズも大切ですが、APS-C判で2600万画素あれば通常の写真撮影的には必要十分ということは良く知られたことです。よく写って当たり前の時代、これからは小型・軽量化を目指した、APS-C判の時代がいよいよやってくるのかなと期待していたのですが、やはりソニーの場合にはフルサイズのミラーレス一眼がこれからも主流かなと思いました。 (^_-)-☆

 

 

 

フィルムの時代が残したもの

 かつての仕事の関係でしょうか、私の所にはいろいろな写真の貴重な資料が集まってきます。いつもカメラやレンズの話がメインになっていますが、たまにはフィルムというか銀塩写真をテーマにして書いてみようと思いました。下の写真をご覧ください。

≪表紙はビニール引き、シアン、マゼンタ、グリーンと分冊になっている≫

日→英/独/仏/西 5ヵ国語 写真関連用語集(改訂第2版)、1992年9月発刊

英→日/独/仏/西 5ヵ国語 写真関連用語集(改訂第2版)、1992年9月発刊

日→英/独/仏/西 5ヵ国語 写真関連用語集Ⅱ(第1版)、1994年4月発刊

 3冊とも富士写真フイルム営業技術の方がまとめた社員向けの5ヵ国語対応用語集で、1990年代の後半に私の所に、1冊の本にならないだろうかと相談に持ち込まれたのです。内容的に専門的すぎるということから本にはならなりませんでしたが、その時の検討材料としていただいたものを持っていたのです。

 いずれも読んで字のごとくで、「英語→日/独/仏/西」「日→英/独/仏/西」と写真関連用語をそれぞれ5ヵ国ではどのように表すかという用語集なのです。10.5×18.5cm判の体裁ですが、上からシアン色表紙158頁、マゼンタ色表紙150頁、グリーン表紙166頁、発行年月からすると上記2冊を出して、まとめあげたのがグリーンの3冊目ということなのでしょう。その内容の一部を以下に載せましたが、もともと写真が戦後はアメリカのイーストマン・コダック社が出したレポートなどが多く、それを翻訳するだけでも解説や本が成立した時期もあったわけですが、1990年代になると日本発の感光材料技術が世界を席巻するようになり、世界各地で働く富士写真フイルムの社員にとっては、英語から日本語への翻訳ではなく、日本語から英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語で感光材料の高度な技術や微妙な違いを伝える必要がでてきた時代だと考えるわけです。

≪本文ページの一部≫

≪本文ページの一部≫

 

■日/英 写真関連・感覚用語集(改訂新版・総合合冊版)、A5判・403頁

 こちらも、2003年に当時の富士写真フイルム株式会社営業技術部が発行したもので、私と同年だったOBの方が、面白いものあるからあげるよと言われ、2023年にもらったものです。発刊当時は、社名にまだ“写真”がついていましたが、2006年には「富士フイルム」に変わっているのです。

≪表紙はビニールになっていてハンドブックとして手元に置くことが前提だったのでしょう≫

 A5判403頁。日/英感覚用語集を手にしたときに、あれっと思ったのは上の3冊の用語集との類似性でした。よくよく調べてみてわかったことは、営業技術部のIさんが一貫してこれらの用語集をまとめられたことがわかります。それも、単なる化学的なテクニカルタームだけでなく、時間を重ねることによりフィルムやプリントの再現性だけでなく、写真にまつわる感覚的な部分まで英語化されているのが素晴らしいのです。

 ただ、2003年というと、カメラがフィルムとデジタルの生産が逆転した翌年であり、その後写真はいっ気にデジタル化へ向かうというわけですが、このような用語辞典を活用された時期には、世界に向けて富士のフィルムが攻勢をかけていたのだと思うわけです。

≪本文ページの一部≫

≪本文ページの一部≫

 時代も変わり、PCやスマホで数10か国語に翻訳できるソフトの活用が日常的になり、スマホでの音声入力、さらにはカメラで撮影した画面文字のOCRによる文字認識・抽出、さらに多国籍言語への翻訳・音声出力など、あっという間にできてしまう現代は、素晴らしい時代といえます。かつて海外旅行に行くときは、5ヵ国語対応JTBの旅行会話集や、小型の三省堂「ジェム英和・和英辞典」などを持参することによりそれなりに役立ちましたが、昨今ではスマホ1台の持参で相互通訳までできる時代ですから時代は大きく変わったというわけです。

 なお、これら4冊の写真関連用語集は、私の手元に置いてあっても宝の持ち腐れとなりますので、先人の方々のご苦労を未来に残すために、JCIIライブラリーに蔵書として寄贈してありますので、興味ある方はご覧ください。 (^_-)-☆