写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ソニーα6700を使ってみました

 ソニーから約2600万画素の裏面照射型CMOSを採用したAPS-C判のミラーレス一眼のα6700が発売されました。このα6700は、2019年に発売されたα6500の後継機となるようですが、わがスポンサー氏がさっそく所望されましたので、さっそく高倍率ズームとされる「E18~135mm F3.5-5.6 OSS」キットレンズと、さらに同時発売の「ショットガンマイクロホンECM-M1」を発売日の7月28日に購入しましたので、とりあえずは使った印象を述べてみることにしましょう。

≪E18~135mm F3.5-5.6 OSSキットレンズを装着したソニーα6700≫ フードは同梱されていましたが、外観写真的にはレンズの顔を見せたかったので外しました。焦点距離18~135mmレンズは、ズーム倍率7.5倍で、APS-C判のα6700で使用するとライカ判フルサイズの約28~203mm相当の画角になります。

≪背面液晶は横に開いて見ることができ、完全に裏返して隠すこともできます≫ 動画専用機の高い性能を受け継いだ動画機能は4k出力も可能ということで、本機の注目点でもあります。

≪ショットガンマイクロホンECM-M1≫ 8つの収音モードを備えた世界初のオールラウンダー小型ショットガンマイクロホンとされ、マイク部は風防のモフモフを付ける前の状態で見ると、4つの穴の開いた部分がマイク部分で背面円盤を回転させて変えることで収音角度が変わるというソニー独自の形状をしています。カメラのアクセサリーシューに取り付けるとゴム状のもので支えられていて、ショックアブソーバーのような役割をもち、マイク部にカメラ本体からのショックが直接伝わらないようになっています。

■ご近所でスチルと動画を撮ってみました

 撮影は、いつものように英国大使館の正面玄関に始まるという形ではなく、ご近所で簡単に実写した報告です。

≪川越百万灯夏まつりにて・1≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離135mm、F5.6・1/250秒、ISO-Auto320、AWB)。キットレンズの望遠域を使い、お面のアップと背景のボケ具合を見てみました。解像感、発色、ボケ具合ともまったく問題ない描写です。古い町並みの残る川越ですが、鉄道は、JR、東武、西武と交差して東京都心部へのアクセスも良く、休日はふだんから観光客でにぎわいます。

≪川越百万灯夏まつりにて・2≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離18mm、F6.3・1/100秒、ISO-Auto100、AWB)。キットレンズの広角域を使い、よさこい踊りの旗振りを写してみました。ワイド端での撮影ですが、高くそびえる高層マンション、旗のポールなどを見る限り直線性も良く、歪曲収差も補正されていることがわかります。古い町並みと高層マンション、西日に輝く観客とカラーコーン、翻る大旗、いずれもバランスよい露出で撮れています。

渇水期の川の木≫  E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離18mm、F8・1/200秒、ISO-Auto100、AWB)。雨が降って増水したときは、川幅いっぱいに水が流れるのでしょうが、梅雨明けの川は増水期に流れた漂流物が、木に細かく絡まっているのが気になり、解像感を見るためにシャッターを切ってみました。画素等倍での解像感も良く、ハイライトからシャドーまでトビやツブレのない画像です。

≪米軍空中給油・輸送機KC-135≫ E18~135mm F3.5-5.6レンズ。撮影モード:プログラムAE焦点距離135mm、F8・1/400秒、ISO-Auto100、AWB)。川べりで撮影していたら遠くで轟音が遠ざかっていくのを見つけました。早く気づいていればもう少し大きく撮影できるのではと思いましたが、最望遠の135mmで2カット撮影しました。1カットめはピントはアマかったですが、2カット目は飛行機の形態認識AFが功を奏したのでしょうか、有効画素数2600万画素ですが拡大すると形態から機種名を判別できるまでの解像感がありました。

youtu.be

本川越から西武新宿へ向かう西武新宿線特急の小江戸号≫    E18~135mm F3.5-5.6レンズ。ショットガンマイクロホンECM-M1使用、撮影モード:AUTO、焦点距離135~18mm、AWB。今回初めてカメラの使用レポートに動画作例を入れてみました。はてなブログも使いだして長いですが、少しずつアップできるデータの条件が変わってきているようで、今回初めてYouTubeにアップした画像データを直接貼り付けられるようになったのです。

 撮影意図は特にありませんでしたが、遠方に小江戸号が見えだしたときにフルサイズ200mm相当画角の135mmで撮影をスタートさせ、近くに来たらワイド側28mm相当画角の18mmにズームしてぐっと引き寄せようと考えましたが、列車が接近しズームリングを回転しだしたら、回転リングが重く、動きがぎくしゃくして画面が乱れてしまいました。もちろん駅のホームで三脚を使う気はまったくないし、ご法度であることは百も承知です。望遠側からワイドへズームしようとしたときに、ズームリングが重くて、回転で映像が乱れてしまったのは想定外のことでした。α6700ボディと新型ショットガンマイクロホンとともに発売されたキットズームレンズとしては画質と音声は十分でも、動画でカメラを使うという意味では、ズームリングの摺動性の重さはバランスを欠いたお粗末なキットレンズだと思った次第です。これからの写真というかカメラが、映像の世界において、スチルと動画の共生は明日の姿のように言われていますが、ハードとしてのカメラとレンズは同じでも、使うということで、バランスを欠いたのは残念です。単に高倍率ズームという焦点距離や価格でセットレンズとして組んだのでしょうか。

 私は、フィルムカメラの時代から手振れさせないで手持ちで撮影することは大切だと思い、ブレないようなカメラ保持法は会得しているつもりでしたが、技術の進歩でレンズに手振れ補正が入り、さらにカメラボディに手振れ補正が入り、加えてレンズとボディの協調手振れ補正が入ったことを見てきて、大変喜ばしいことだと思う反面、このようなレンズが組み合わされたのは、撮影するということより、高倍率ズームと価格というところだけでセットを組んだのでしょうか、不思議です。

■いろいろ思うことありでした

 わがスポンサー氏は、私を通して2月にもソニーFX30+EPZ 10-20mmF4G+DJI RS 3 Miniを買いましたが、その時は私も少し試そうと手を出しましたが、ジンバルのDJI RS 3 Miniのセットアップにお手上げでした。今回のα6700は、スチル主体のカメラで動画も撮れる(いまや、あたりまえ)ということで手出ししました。

 ところで、今回の使用にあたって驚いたことは、レンズキットの箱を開いて見ると1枚の折りたたまれた紙だけで、かつてのような取扱説明書がないのです。バッテリーの入れ方と最初のセットアップ(指紋認証と日時の設定など)は記されていますが、最初からバッテリー充電用のACアダプターと接続コードが同梱されていないのです。そこでまずはバッテリーを充電ということで、ボディに接続して見ると充電が開始されないのです。不思議なことに一連のα7シリーズやFX30など過去に一貫して充電できてきた、充電器とUSBケーブルの組み合わせではできないのです。あれこれ試すと、他社カメラのPD対応の充電器とPD対応の充電器では使えるのです。そこで7年ぐらい前に購入したソニー製のワイヤレスポータブルスピーカーの充電器を使うと可能だったのです。PD対応だと急速充電できるのですが、私としては寝る前に充電開始し、朝起きたら完了しているというゆっくりとした充電の方が発熱の問題なども考えると好みなのです。取り扱い説明には一般の充電アダプターとも書いてありましたが、コードは他社のでしたが充電可能でした。不思議その2です。

 というわけで、ネット上のSNSやYouTuberの皆さんは、何を言ってるかなと調べたら、なんと充電器と充電コードが同梱されていないので、中古で売るとき欠品扱いにならないからうれしいとか、α6700のYouTube画面を開いたら、いきなりYouTuberの方がすごいカメラがでたとオープニングメッセージを声高らかに言ってるのです。何がすごいのかわかりませんが、私はその先を見る気がしませんでした。最近デジタルカメラを作る多くの企業は紙媒体への広告出稿を行わなく、積極的なのは唯一キヤノンだけというのも寂しい限りです。今日のいま物が売れればいいということなのでしょうか、ユーチューバーのカウント数がどれだけ売り上げにつながるのでしょうか?これも不思議です。

 最後についでだから、書いてしまいましょう。ネット上では発売と同時に1万円のキャッシュバックキャンペーンを開始していますが、前回のFX30+EPZ 10-20mmF4Gの時には発売日から1週間後から購入した人が対象となり、悔しい思いをしました。発売初日から1週間以内に購入するお客は無視というのも強気です。今回のα6700では『α6700購入者限定レンズキャッシュバックキャンペーンでは、キャンペーン期間(購入期間)内にα6700と対象レンズを同時購入し、当社指定の手続きに従い応募期間内に不備なくご応募されたお客様に¥10,000をもれなくキャッシュバックいたします。』ということですが、今回は発売日からキャンペーン対象となりますが、6700ボディのみ、もしくは高倍率ズームレンズキットに加え、フルサイズのG、GMクラスなどのレンズを同時購入した人を対象とするとされていて、なかなか対象にならないような巧妙な条件なのです。

 実は、α6700を手にしたときは、デジタルの場合にはもちろんイメージャーのサイズも大切ですが、APS-C判で2600万画素あれば通常の写真撮影的には必要十分ということは良く知られたことです。よく写って当たり前の時代、これからは小型・軽量化を目指した、APS-C判の時代がいよいよやってくるのかなと期待していたのですが、やはりソニーの場合にはフルサイズのミラーレス一眼がこれからも主流かなと思いました。 (^_-)-☆