写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ソニーFE 12-24mm F4 Gを使ってみました

 ソニーからFE 12〜24mmF4Gが7月7日に発売されました。実はこのレンズ発売前から、小型・軽量で描写が素晴らしいと裏でささやかれていまして、早速それを信じて入手した次第です。ところで、前回α9の時には、カールツァイスのBatis2/25(ZEISS Distagon25mmF2 T*)を使いましたが、F2という大口径ながら描写はシャープで、画像平坦性はすこぶる良好で、ディストーションを感じさせないことから近接のポートレイトにも使えると、後に続いたYさんは大満足です。

≪α7Rに装着されたFE 12〜24mmF4G。レンズキャップは昔のような厚みのある樹脂製のカブセ式。つまりフードは組込み式で固着されているのです≫
 ソニーFE 12〜24mmF4Gは2倍ズームですが、Batis2/25と焦点距離的にはオーバーラップしないということで、ここにあるわけですが、同好サイトで簡単に描写を報告したところ、α9でなく、α7RIIでもなく、α7Rでの描写を、それも画面周辺での描写を重点的に見て欲しいと、写友のWさんはいうのです。なるほど、すでにα7シリーズユーザーは多いのですが、初期7RのCMOS撮像素子は通常タイプでしたが、α9とα7RIIは裏面照射タイプなのです。この裏面照射タイプは、周辺光量の低下が少ない、高感度が得られやすいなどのメリットがあるのですが、最初期型のα7Rを所有しているユーザーにとっては、周辺光量の低下が7Rではどの程度か知りたいというのです。そして、もしそのあたりがクリアされていれば、自分も後に続きたいというのです。確かにその通りなのです。フルサイズミラーレスアルファーシリーズの新型が現れるたびに新型を求められるのは一部の人でしょうし、場合によってはα7Rの発色が好きだという人もいるのです。ということで、今回はソニーFE 12〜24mmF4Gレンズを、α7RIIとα7Rで撮り比べて、画面周辺の画像を見ることに主眼をおくことにしました。

≪α7RII・FE 12〜24mmF4G、焦点距離12mm≫ 絞りF4・1/640秒、ISO100、三脚使用、AWB。裏面照射タイプの7RIIは、絞り開放でも左上青空にビネッティングの影響はでていません。撮影は、東京小金井市にある江戸東京たてもの園の「常盤台写真場」。昭和12年に建造され、自然光を採り入れた写真館ならではの大きな採光窓が北側にあります。このほか、絞り、焦点距離を変えて7Rと同じようにα7RIIでも撮影しましたが、VGAサイズでは大きく変化はありませんので掲載は省略しました。

≪α7R・FE 12〜24mmF4G、焦点距離12mm≫絞りF4・1/1000秒、ISO100、三脚使用、AWB。普通照射タイプのCMOSを使った7Rでは、絞り開放では、周辺にビネッティングの影響で光量の低下が起きています。同じレンズでも、撮像素子の違いによりこれだけ変化がでるわけで、フィルム時代にはすべてレンズの性能として背負わされていました。この低下が許容できるかどうかは、ユーザー自身の考え方であるわけです。光学性能として、この焦点距離ということでは、立派なものだと考えます。

≪α7R・FE 12〜24mmF4G、焦点距離12mm≫ 絞りF5.6・1/500秒、ISO100、AWB、三脚使用。周辺光量の低下はが目立つかどうかは、露出レベルの違いによっても、大きく異なりますが、7Rボディでも、わずか1段F5.6に絞り込んだだけでビネッティングの影響での光量低下は目立たなくなってきました。FE 12〜24mmF4Gは、絞り効果がかなり立ち上がりの早いレンズです。この後、絞りF8、絞りF11と変化させて撮影しましたが、F8になればさらに目立たないというか、なくなったといってもいいくらいです。

≪α7R・FE 12〜24mmF4G、焦点距離24mm≫ 絞りF4・1/1000秒、ISO100、AWB。テレ側24mmの描写です。実はこのポジションでの撮影は、アイレベルで建物の天地がすべて収まるような場所を設定し、最広角の12mmも、α7RIIも同じ位置から三脚を立てて撮影しました。画質的にはまったく問題なく、長焦点側24mmですから周辺光量の低下もまったく感じられません。

≪α7R・FE 12〜24mmF4G、焦点距離12mm≫ 絞りF5.6・1/60秒、ISO125、AWB、手持ち撮影。常盤台写真場のスタジオです。左側には北側から自然光を採り入れる、スラント含めた大きな窓があります。

≪α7R・FE 12〜24mmF4G、焦点距離24mm≫絞りF5.6・1/60秒、ISO4000、AWB。写真場の入り口に置いてあった黒電話をクローズアップ。F5.6と絞られていますが、適度に背後はボケています。たぶん問題なくポートレイトにも使えるでしょう。

≪Fカメラで入手後はトキノン50mmF1.4でディナー兼試写です。α7RII・FE 12〜24mmF4G、焦点距離12mm/24mm≫ 絞りF4・1/60秒、ISO10000、AWB、手持ち撮影。最初の1枚目と2枚目。左側は焦点距離12mm、右側は24mmです。α7RIIで自動的にISO感度10000まで上がっていますが、特に違和感ない描写です。

ソニーEマウントの超広角領域は激戦区
 今回の報告では、各カットを画素等倍まで拡大するようなことはやめました。特に意味はありませんが、見る主眼を周辺光量の低下の部分に置きましたが、レンズとしての光学性能は十分に高いのです。
 ソニーのミラーレスフルサイズ用の広角レンズは、このレンズに引き続き8月にはソニーはFE16〜35mmF2.8Gを市場投入します。またツァイスも、すでに紹介したBatis2/25に加えBatis2.8/18を発売していますし、コシナフォクトレンダー・ヘリアー10mmF4.5、12mmF4.5、15mmF4.5を、ケンコー・トキナートキナーFirin20mmF2をだしていて、さらに中国メーカーもという具合に激戦区となりつつあります。