写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ソニーα1を使ってみました(Final ver. 4)

 ソニーのいわゆるフラッグシップ機「ソニーα1」が去る1月27日に発表され、3月19日に発売が開始されました。発表後に関係者から話を聞くと、高価であるためにどれだけの反響があるかと心配していたところ、2月2日に予約が開始されると、考えていた以上にオファーがあったというのです。この発表のタイミングは2月25日(木)~ 2月28日(日)に開催されたCP+2021に合わせてのことでした。

 さっそく発売日にいつもの販売店より入手ましたが、まず開梱にあたり化粧箱を見て非常に簡素なことに驚くのですが、このあたりはライカや昨今の高スペックの中国製レンズなどとは全く思想が異なるのです。プロ用というものは箱ではなく、カメラ本体そのもので勝負をかけていくのだと理解しました。

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 ≪ゾナーFE35mmF2.8ZAをつけたソニーα1≫ そこで、姿写真を撮るのに発売初期の標準レンズを装着してみました。これを見てわかることは、銘板のαと1が金色なのです。やはりデザインとしては金色は豪華なのです。このあたり金の色付けは中国あたりで好まれるのではと思うのです。この他に、今までのαシリーズと何が違うかわかったらあなたは立派なソニーユーザーです。

 その違いとは、カメラ前面に新たに「可視光+IRセンサー」が搭載されたことです。従来機だとレンズマウント左上のセンサー窓は透明の1つでしたが、新たに乳白色の測光窓の右側に設けられたのです。ソニーによると各種光源下でも、より正確なホワイトバランスが得られるように進化したというのですが、赤外反射光は被写体色に依存しないので、黄色など反射率の高い被写体が多くの面積を占めていても露出に影響されることが少なくなるというメリットもあるはずです。

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≪α1の化粧箱と取扱説明書≫ 取扱説明書を見てもう一度びっくりしました。α7RⅣの時には259ページ(10.4mm)あったのが、α1では146ページ(5.8mm)しかないのです。なぜ少なくなったのかは箱を開けたばかりではわかりませんが、基本的にはコストダウンなのでしょう。フラッグシップ機で80万円以上と高価で機能が多いだろうと思うのに不思議です。ちなみにα7RⅣの取説では背にα7RⅣと入っているのに、α1は背文字なしなのです。印刷を少しでもかじっているとわかるのですが、5.8mmというのは十分に背文字は入りますし、コストには響くようなことではありません。カメラ全体として、外観や握った感じは従来機と大きく変わった所はありませんが、フラッグシップ機としてαシリーズナンバー1の実力は、設定によって各種機能をフルに引き出すことにより実感できるのだろうと思うのです。これから先は、まずはじっくりと取説を読みながら、さまざまな機能を試してみることにします。

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用意したソニー純正レンズ4本≫ 左から、FE70~200mmF2.8 GM OSS、FE70~200mmF4 G OSS、ボディについたゾナーT*FE35mmF2.8ZA、バリオテッサーT*FE16~35mmF4 ZA OSS

 実は最初はFE70~200mmF2.8GM OSSを除いた純正の3本だけでテストをやろうと思っていましたが、30コマ/秒までに連動するレンズは23本と限定されているのです。その関係を調べてみますと、20コマ/秒にまでに連動するレンズも4本あり、その他のEマウントレンズは15コマ/秒にしか連動しないというのです。今回使用するにあたって、それぞれのレンズは最新ファームアップを済ませコマ数アップなどを図りましたが、みごと3本とも15コマ/秒にしか連動しないというのです。もともと私の撮影には30コマ/秒は必要ないのですが、とはいってもカメラの機能を十分に引き出せないのはショックでした。つまり最初からα1の機能はフルに引き出せないことがわかってしまったのです。ところがありがたいことに、写真仲間が30コマ/秒に機能するFE70~200mmF2.8GM OSSの長期貸し出しを申し出てくれたのです。もともとカメラとレンズはわがスポンサー氏の提供でしたが、さらに仲間がレンズを貸してくれて純正で30コマ/秒をテストして欲しいというのです。そこでいろいろと考え、α1の実力を私なりに引き出してみようと考えたのです。

■撮影する前に

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トップカバーを背面上部から見ると≫ 操作にあたっては、ざっと取扱説明書は読みましたが、普通の使い方しか書いてありませんでした。とはいっても、カメラトップカバーを構える状態で見ると、かなりのモードが電源を入れなくてもそのままの状態で設定を見ることができるのです。もちろん背面の液晶ディスプレーで設定や確認をする部分は当然あるのですが、基本的なカメラの使い方がわかっていれば、特に問題なく初期設定のままで撮影できるのです。撮影モード切替え、AFモード、MF等押しながら操作するロック機構がついていて不用意に動かないようにとの配慮からであることはわかりますが、露出補正のダイヤルのロック機構だけは1回押してクリック付きのフリーになり、もう一度押すとロックされるというような、慣れると心憎い気配りだと感心しました。この露出補正ダイヤルのロック機構は手元にある7RⅣと同じですが、左肩部のモード切替は2重になっているなど、スペックには表れないが、操作系部材としてはお金がかけられているだろうことはよくわかります。

■まずは撮影してみました

 使わないでカメラをああだこうだというのも変なので、まずはお決まりの晴天下の英国大使館正面玄関を撮影してみました。いままでソニーαシリーズカメラを使ったことがあるためにここまでの、最初の日付けセット、撮影モード設定(絞り優先AE)、AF設定(スポット測距)などは、取扱説明書を読まなくても可能でした(当たり前か)。

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英国大使館正面玄関≫ ゾナーFE35mmF2.8ZA、絞り優先AE、F5.6・1/640秒、ISO-AUTO100、AWB、ピントは屋根中央下エンブレムに合わせた、手持ち撮影、AM10:30≫ この場所は昔から同じようにして撮影してます。レンズは同じですが、最初のα7Rだと発色傾向がまったく違いますが、α7RⅡから現在に続くこのような色再現の感じになりました。解像的にはα1の5050万画素の描写でありそれ以外の何物でもないため画素等倍画像は省略します。(2021.03.23)

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モクレンの花≫ ゾナーFE35mmF2.8ZA、プログラムAE、F8・1/320秒、ISO-AUTO100、AWB。英国大使館の側道に咲いていたモクレンです。中央の花にピントを合わせて押すだけの写真ですが、拡大が左右640ピクセルではわかりませんが花びらの質感も細かくでています。(2021.03.23)

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千鳥ヶ淵≫ ゾナーFE35mmF2.8ZA、プログラムAE、F5.6・1/200秒、ISO-AUTO100、AWB。サクラが満開の時のカットです。夕暮れで光線状態にムラがありますが、特別に露出補正がなくても破綻なく撮影できました。撮影は17:20頃ですが、この日は強風で営業終了になっても戻れないボートがハウスまで曳航されていましたが、なぜか楽しそうでした。(2021.03.26)

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写真展会場にて≫ ゾナーFE35mmF2.8ZA、プログラムAE、F2.8・1/40秒、ISO-AUTO200、AWB。写真展会場でしたが、ホールそのものが古いせいかライティングは柔らかくて、露出補正がなくてもカラーバランス、露出もうまい具合に自然な感じで撮影できました。(2021.03.28)

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横浜・山手十番館≫ バリオテッサーFE16~35mmF4 ZA OSS焦点距離18mm、プログラムAE、F6.3・1/640秒、ISO-AUTO100、AWB。道路対岸からの撮影ですが、超広角特有のうわすぼまりの写真となりましたが、オートバイが入り込みアイポイントはうまく分散しました。お店は定休日でしたが、高画素であるために入り口ガラスドアの中の札から店名をしっかりと読むことができました。(2021.03.29)

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横浜・エリスマン邸にて≫ バリオテッサーFE16~35mmF4 ZA OSS焦点距離16mm、プログラムAE、F4・1/500秒、ISO-AUTO12800、+0.3EV補正、AWB。知人の写真展に行った時の地下にあるギャラリーですが人口光がどのように作用するか見てみました。こちらの床は絨毯であるためにうまく光を吸収しているようで、カラーバランスも良く再現されています。(2021.03.29)

 ソニーα1ならではの機能をチェックしてみました

●記録メディアが2種類2か所に挿せる

 α1は、記録メディアがSDカード(SDカード寸法のということで、アダプターを介したマイクロSDカードも含みます)とCFexpressタイプAが使え、それぞれがダブルスロットとなっているのが特徴です。これはSDカードよりもわずかに寸法の小さいCFexpressタイプAとの関係を巧みに利用したもので、ちょっとしたアイディア物です。

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≪記録メディアスロット部分≫ 左:蓋を開けると「CFexpressA/SD」とプリントされたSLOT 1と2が見える。SDカード2枚は軽く挿してあります。右:カード挿入口を上から見てみました。スロット1には、SDカードをしっかりと挿し込んであります。極めてわずかな隙間の間にSDカードかCFexpressタイプAを差し込めるという細かい仕組みです。これはカメラが電気的な処理能力部分だけではなく、微妙な機械細工もまだまだ大切だということを示す好例なのか、それとも記録メディアを企画・製造しカメラを作るメーカーとしてのうまみなのかは私にはわかりません。

 写真で見るとおわかりのようにSDカードスロットの脇にCFexpressタイプAのスロットがあるのです。つまり、SDカードの2枚かCFexpressタイプAの2枚をそれぞれ挿しこむことができるわけです。片方がSDカード、片方がCFexpressタイプAというような使い方もできるようですがバックアップのための同時記録を考えると、同じカードで同クラスの物を使うのが良いのでしょう。なおCFexpressには、タイプAのほかに、ニコンキヤノンパナソニックが使うタイプBがありますが、こちらは物理的に同サイズで別物のXQDカードもありますが、寸法としてはSDカードより大きくなります。さらに寸法の大きいCFexpressタイプCというのもあるようですが、カメラ用にはCFexpressタイプA、CFexpressタイプBが使われるわけですが、いずれもSDカードよりはCFexpressの方が書き込み速度が速いようですが、私としては特殊な撮影をするわけでないので市中価格のこなれている、SDカードで十分と考えています。

●30コマ/秒の連写機能の検証(1)

 まず最初に試したのが30コマ/秒の連続撮影が可能な仕様です。ソニーの説明によると『AF-Cモード時の最高連写速度は、装着するレンズによって異なります。対応レンズは下表のとおりです。AF-S/DMF/MFモード時は装着するレンズに関わらず、最高30コマ/秒の連写速度に対応しています。』となっています。その点を加味して撮影しましたが、この撮影設定は特に難しいことはなく、ボディ左肩のドライブモードダイヤルを「連続のH+」、「AF-C」にして、シャッター速度優先AEにモードダイヤルをセットして、シャッター速度1/500秒に設定しました。ISO感度はAUTO。ドライブモード「連続のH+」は電子シャッターモードなので、これで30コマ/秒でるか試そうというわけです。交換レンズは30コマ/秒までに連動するレンズは純正のうち23本と限定されているのです。その関係を調べてみますと、20コマ/秒にまでに連動するレンズも4本あり、その他のEマウントレンズは15コマ/秒にしか連動しないというのです。

 そこで写真仲間から借りて、まずは30コマ/秒が保証されているFE70~200mmF2.8GM OSS(最新のファームウエアにアップしてあります)の連写性能をチェックしてみました。

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≪30コマ/秒検証の撮影セット≫ 記録モード: Jpeg Fine(50M)、シャッター速度優先AE、1/500秒・F2.8、ISO-AUTO1600、FE70~200mmF2.8、AWB。このテストは特に難しいことではなく、1秒ごとに表示が切替わるデジタル表示のタイマー(ここではスマートフォンのストップウォッチ)を連写すれば図れるわけですが、上記設定で簡単に30コマ/秒が測定できてしまいました。テスト撮影は、AFを連続とシングルと変えてやってみましたが、上記シーンでは結果は同じ30コマ/秒の撮影が可能でした。

f:id:ilovephoto:20210425152408j:plainFE70~200mmF2.8GM OSSレンズの30コマ/秒の各コマ≫ ここに写ったスマートフォンの画面を見ればお分かりのように、確実に1秒間の間に30コマ撮影できているのがわかります。各画面は、シャッターボタンを押してから放すまでまでの100コマぐらいの画像の中から、スタートがわかりやすいところを選びましたが、この場面ではスタートの10:01から一気に10:07に飛んでいるように見えますが、写真右下に示したように10:07の下に04がうっすらと見えているのです。つまり液晶表示と実写コマがうまく同期しなかったわけで、10:11の下には10:07が隠れているのが拡大すると確認できます。その後は撮影と、液晶時計表示がうまく同期し、1カットが0.03秒間隔で撮影できていることがわかります。ちなみに0.03×30で0.9秒となりますから、1秒に30コマ確実に撮れているのでした。なおスマホ画面の横じまの発生は、電子シャッターとの同期の問題であり、シャッター速度を遅くしたり、メカシャッターを使用することで消えるのかも知れないのですが、ここでは深追いしないことにしました。

●手元のAF・AE交換レンズも30コマ/秒に連動

 そこで念のためツァイス・ゾナーFE35mmF2.8ZAツァイス・バリオテッサーFE16~35mmF4 ZA OSSをで同じように試すと、この2本は公称15コマ/秒にしか連動しないというわけでしたが、2本とも30コマ/秒がでてしまいました。さらに手元にあったサムヤンAF35mmF2.8FEも同じように30コマ/秒が出たのです。

 なんでだろうと冷静に考えてみると、AFは「AF-C」であってもスマホは動かないので固定されている「AF-S」に等しく、さらに照明条件からするといずれも絞り値は開放状態でと考えたのですが、「連続のH+」は電子シャッターモードなので、これで30コマ/秒でるとも考えたのですが、実場面でも絞り込まれても実絞りAEとして連写されるのだから、AFを別とすれば30コマ/秒はでるのだろうと考えました。

 ここで思ったことは、ソニーはまじめに最悪の条件で最高コマ数を決めたのだろうか、それとも連写性能が落ちる在来レンズは、新しいGマスターレンズに買い替えなさいと単純にいいいたかったのかと考え込んでしまいました。CP+2021直前のソニーα1プロモーションYouTubeでは、ソニーの若い技術者と写真家2人が、α1の秒30コマ機能を生かすのは純正レンズだと口をそろえて最後まで連呼していましたが、あのシーンが妙に頭にこびりついていますが、あれは何だったのだろうかと思うのです。15コマ/秒、20コマ/秒連動レンズも純正であるわけですから、不思議な連呼でした。とはいっても私の写真撮影にはまったく別世界の秒30コマの連写機能でした。

 なお、今回使ったメモリーカードは米国の通販サイトから買ったレキサー名の中国製128GのSDカードですが、もともとわずか300円強と安価なので面白半分に購入してみたものですが、連写の30コマ/秒はカメラ本体のバッファーメモリーに依存するので問題なく使うことができました。

●30コマ/秒の連写機能の検証(2)

カワセミの飛翔を30コマで狙う

 ストップウォッチでのテスト撮影がうまくいきましたので、次は実際のフィールドでの撮影をと考え、自宅からは2時間以上離れた東京葛飾区にある水元公園カワセミを撮ろうと向かいました。当日は撮影ポイントと時間に不案内であったために、写真愛好のHさんに同行願いました。初めて降り立ったJR金町駅からバスに乗り、下車後10分強歩いて目指す撮影ポイントへ9時過ぎに到着すると、ちょうどカワセミがおでましでした。

 当日私はなるべく軽装備でということで、α1ボディにFE70~200mmF4 G OSSレンズを持参したのですが、ところがカワセミをアップで狙うには望遠側200mmでは足らないので、Hさんの FE100~400mm F4.5-5.6 GM OSSとさらに1.4×と2.0×のテレコンバータまで拝借ました。なぜレンズまで借用かというとFE70~200mmF4 Gにはテレコンバータは装着できないのです。せっかく拝借していたFE70~200mmF2.8 GM OSSレンズを軽量化のために置いてきたのが悔やまれます。結局撮影は、Hさんのご厚意に甘えて以下の成果を得ました。

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≪α1にFE100~400mm F4.5-5.6 GM OSSテレコンバーター装着状態≫

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水元公園カワセミ・1a≫ FE100~400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter、合成焦点距離560mm、トラッキングAF、H+電子シャッターモード(30コマ/秒)、シャッター速度優先AE、F8・1/800秒、ISO-AUTO2500、手持ち撮影。ノートリミングの撮ったままの画像です。マスターレンズの400mmでは足りないので1.4倍テレコンバーターを付加して焦点距離は560mmです。シャッター速度1/800秒固定、開放絞りF8ということなので、事実上ISO感度可変のAEということになります。(2021.05.04)

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水元公園カワセミ・1b≫ ノートリミングでは、いまひとつ描写がわからないのでカワセミを主にぎりぎりまでトリミングしてみました。トラッキングAFでしたがカワセミの目にピントがきているし、くちばし、頭の羽、さらには止まっている枝の質感も十分に良くでています。1.4テレコンバーターを使用しているために絞り値F8は開放絞りですが、描写は十分です。

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水元公園カワセミ・2a≫ FE100~400mm F4.5-5.6 GM OSS + 1.4X Teleconverter、合成焦点距離560mm、トラッキングAF、H+電子シャッターモード(30コマ/秒)、シャッター速度優先AE、F8・1/800秒、ISO-AUTO1600、手持ち撮影。ノートリミングの撮ったままの画像です。カワセミの後ろ羽のブルーが美しいです。(2021.05.04)

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水元公園カワセミ・2b≫ 1のカワセミより撮影距離が遠いため、拡大率が高くなっていますが描写としては必要十分です。実はこの時、ソニーの専用テレコンバーター1.4×と2.0×もあったのですが、画質的には1.4×のほうがむりがないので1.4×を使いました。またAPS-C判のクロップ撮影という方法もありますが、こちらはトリミング画像と同じになるということで、フルサイズで撮影しています。

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カワセミの飛翔≫ 静止しているカワセミが何とか撮影できると、次は飛翔している姿を撮影してみたくなりました。というか静止のカワセミのベストを狙っていると、すぐに飛び立ってしまうのです。そこを追いかけようとシャッターを押し続けたのが上の2コマ目から8コマ目です。1コマ目は水元公園カワセミ・2a」の場面です。2枚目は少しフレーミングを変えて狙っていたら、飛び立とうとしたのでとっさにシャッターを切ったのですが、すでにカワセミは降下しています。このタイミングは私のレリーズへの反応と機械的なタイムラグが加味された結果でもありす。さらに下でホバリングして7枚目で左端に少し写り、8枚目で止まっていた止まり木しかないのです。AFは動体を追い続けるというトラッキングAFモードですが、ソニー独特の鳥の瞳認識に設定すればよかったのか不明ですが、木の枝にピントが合い続け、カワセミのピントはみごと外れたのです。その結果、飛翔のコマは私とソニーの名誉のためになるべく小さく載せた次第です(笑)。ただ露出結果とAF状態からすると30コマ/秒で切れていると考えられるので、2コマ目から8コマ目まで、1コマ間が約0.03秒ですから、7×0.03=0.21秒となり、約1/4秒間の出来事というわけです。この間のAF追随は、レンズの焦点距離、撮影距離、被写体となるカワセミの大きさなどで相対的に難しくなってくるわけで、もしこのような状態で最初から思ったように撮れるなら経験もプロ写真家もいらなくなるわけで、そこが写真の奥深いところで、楽しみだとつくづく思った次第です。

北山公園のカワセミを狙う

  水元公園カワセミ撮影に満足して、休日の日曜日に地元東村山市の北山公園にFE70~200mmF4 Gを持ってカワセミの撮影に再チャレンジしました。200mmでは少し足りないのでAPS-Cモードにして300mm相当画角で狙ってみました。

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≪北山公園のカワセミ FE70~200mmF4 G、焦点距離200mm、APS-Cモード:300mm相当画角、トラッキングAF、H+電子シャッターモード設定(30コマ/秒)、シャッター速度優先AE、5.6・1/640秒、ISO-AUTO100、手持ち撮影。この場で愕然としたことが発生しました。写真に見るように背景のヨシにピントが行ってしまうのです、さまざまAFモードで試しましたが結果は同じでした。水元公園は背景の樹木まで距離があるからよかったのでしょうが、北山公園ではわずか1mぐらい背後にヨシが生えているので、どうしても背景にピントが合ってしまうのです。これは背景のほうがコントラストが高いためそちらにAFが合焦してしまうようですが、これは一般的にはコントラスト検出AFなら納得できますが、位相差検出AFは前後のピントも検出でき、手前の被写体に優先してピントが合うようにプログラムされているはずなのです。さらにカワセミをトラッキングAFで捕まえて画面を上下左右に動かすとカワセミの場所にフォーカスポイントが固定されたまま動くから、AFはカワセミをとらえているはずですが、背後にピントが来るという不思議もあります。そういえばサッカーの試合でもAFがつらかったというのと符合します。そこで、たくさんシャッター切れば少しぐらいはカワセミにピントが来るだろうと思ったのですが、約1,000カット切ってみごとすべてが背景にきてました。もっとカワセミと背景の分離が高まるように焦点距離を上げればいいのかもしれませんが不思議でした。(20210509)
30コマ/秒設定でサッカーを撮る

 プロ用というとスポーツ写真でどうかとなります。この場面を押さえるのは私のレベルでは不可能だと思っていて、知人のテニスのサービスの場面をと考えていましたが、運よく知り合いのスポーツカメラマンから、サッカーの場面でボールが最新ミラーレス機の電子シャッターモードで撮影するとおかしく歪むから見て欲しいと連絡がありました。

 さっそくボールが歪んだ写真を見せてもらいましたが、これは渡りに船だとばかりに、もしこれをソニーα1の積層型CMOSで撮影したらどうだろうかと考え、実際の試合場面で使ってもらいました。以下、その結果をご覧ください。

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≪サッカー、横浜FC×湘南ベルマーレ戦・1≫ 焦点距離200mm、トラッキングAF、H+電子シャッターモード(30コマ/秒設定)、シャッター速度優先AE、F4・1/640秒、ISO-AUTO320、手持ち撮影、横浜の三ツ沢球技場で行われたサッカーの試合ですが、ヘディング直前の瞬間でボールはほとんど歪んでいません。ここには示しませんが積層型CMOSならではのことで、従来型の撮像素子では電子シャッター使用時には、ローリングシャッター現象によりボールが変形して写ります。撮影:ヤナガワゴーッ!(20210505)

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≪サッカー、横浜FC×湘南ベルマーレ戦・2≫ 焦点距離200mm、トラッキングAF、H+電子シャッターモード(30コマ/秒設定)、シャッター速度優先AE、F4・1/5000秒、ISO-AUTO2500、手持ち撮影、横浜の三ツ沢球技場で行われたサッカーの試合ですが、ボールはほとんど歪んでいませんが、ヘディングの瞬間はコマ間に入ってしまいました。これが他機種だと?というのはこの場では避けますが、次項の走行する車の形状をご覧いただければと思います。撮影:ヤナガワゴーッ!(20210505)

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≪サッカー、横浜FC×湘南ベルマーレ戦・2のヘディングの連写コマ≫ 左から、ボールが見えないところが①、右上にわずかにボールが顔だしたのが②、ヘディング直前が③、頭ではじき出したのが④、ボールが上に跳ねたのが⑤、ボールが見えなくなったのが⑥というわけですが、この間はどのくらいの時間だったのでしょうか? 人間の動きはほとんど同じ位置で、ボールだけ動いてますが、露出・AFは固定状態だとすると、30コマ/秒設定だと、最速約0.2秒ぐらいの間のできごとになるのでしょうか?。この一連の場面でもズバリ額にあたった瞬間は撮れていないわけですから、60コマ/秒ぐらいの連写可能なボディが欲しくなるのでしょう。なお、撮影したヤナガワさんによると設定したモードが悪いのかAFの合焦率が低いので苦労したというのです。

●サイレントシャッター時のローリングシャッター現象

 ソニーα1の最大の特長は、裏面照射構造でメモリー内蔵積層型CMOSイメージセンサーを採用したことで、センサーからの高速読み出し、大容量バッファメモリーと画像処理エンジンの高速処理などにより、約5,000万と高画素ながら、電子シャッターでも動体歪みを抑えた静止画撮影が可能になったり、30コマ/秒の撮影ができ、1/400秒のストロボシンクロ、電子シャッターでのストロボ同調が可能になったなどの特長があるのですが、ここでは「アンチディストーションシャッター」と呼ばれるサイレントシャッター時の歪み(ローリングシャッター現象)を見てみました。撮影は従来と同じで、公道を走行する車をねらい、脇から撮影するわけですが、今回は30コマ/秒の連写機能を使ったために簡単に撮影することができました。

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≪ローリングシャッター現象≫ 左:α1、焦点距離35mm、F5.6・1/500秒、ISO-AUTO100、右:他機種、焦点距離35mm、F4・1/160秒、ISO-AUTO100。裏面照射構造でメモリー内蔵積層型CMOSイメージセンサーのα1の優位さがわかる写真ですが、このような場面でサイレントな電子シャッターを切るか、という疑問もありますが、ソニのサイレントの作例はプロゴルファーのスイング場面でしたので納得できる設定でした。ただし人工照明下の舞台や室内競技の場面ではどうかなどが考えらえます。どちらの機種もC-AFで、左は連写、右はシングル撮影ですが、右のほうがAF追随は良いようです。

フリッカーレス撮影と高分解シャッター

 実は最近、最も気になっているのが電子シャッターとフリッカーとの関係です。この問題は昨年末に舞台写真家協会の方々からテーマをもらい、自分なりに考えていたことと照らし合わせたのですが、意外と奥が深く、現場の多くのカメラマン氏はかなり困惑しているというわけです。

 これは、照明光源との適合性の問題であり、明滅(点滅)する蛍光灯やLED照明に関係することで、従来からの電球などの連続光では問題にならなかった部分ですが、いずれもカメラメーカーとしては何らかの手を打たなくてはならなかったわけです。

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≪蛍光灯照明のとあるギャラリーにて≫ 20013年にライカM(Typ240)をぶら下げて、知人の写真展に行ったときに横縞の入った写真が撮れました。この時ライカカメラ社の開発担当者に撮影結果を見せて聞くと、シャッター速度をもっと下げて撮影してください、動画も試してくださいということでした。ここのギャラリーは白壁でかなり明るいのですが、もう一度再現してみようと2000年の11月に「α7RⅡ」を持参して再現できるかと撮影したのが上の写真で、いわゆるこれが蛍光灯照明のフリッカー現象というわけです。この時は、このような現象がでることを期待して行ったので、これ以上の撮影はしませんでしたが、撮影メニューの中にフリッカーレス撮影というモードがあり、そこに設定すればこのような光源ムラはでません。今回の撮影ではフリッカーレス撮影はα7RⅡ、α7RⅣでも試しましたが、いずれも大きなムラは消えました。ここではα1の場合を紹介します。

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フリッカーレス撮影設定≫ メニュー画面の中から「シャッター/サイレント」を選び→「フリッカーレス撮影」を入にします。以下に、「入」にしない場合と、した場合を蛍光灯照明下で比較撮影しました。フリッカーレス撮影モードになっていて、フリッカーの発生している条件下でフリッカーレス機構が機能するとファインダー内に「Flicker」と表示がなされます。

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≪α1における直管蛍光灯下におけるフリッカーレス撮影、左:切、右:入、ゾナー35mm、F2.8・1/500秒、ISO-AUTO2000、AWB≫ 背景は白の模造紙ですが、露出補正をしていないので18%グレーのようになるのはかなり正しい露出結果といえます。フリッカーレス撮影切はさまざまなモードで行いましたが、シャッター速度が遅いと発生しにくく、高速ほど出るような印象があります。ここに掲載したのはわりとおとなしいものです。

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≪参考までに:α7RⅣにおける直管蛍光灯下における撮影、左:通常モード、右:サイレントモード、ゾナー35mm、F2.8・1/500秒、ISO-AUTO2000、AWB≫ 背景は白の模造紙で、サイレントモードの時のムラの出方が特徴的です。もちろん、この状態で「フリッカーレス撮影・入」にすれば、α1の右側作例と同様にきれいに撮影できることは、いうまでもありませんが、電子シャッター時にムラがでないのはα1ならではの機能です。

●高分解シャッター機能

 α1で新たに設けられた機能が「高分解シャッター」です。これはLED光源の明滅現象による画面ムラ発生に対する解決のための機能だというのです。下の写真をご覧ください、舞台での撮影でサイレントシャッターで撮影したら黒い幕やシャドーの部分にR.G.B.のストライプ模様が入ってしまったのです。この解決法としては、サイレントでなく、メカシャッターモードで撮影すればよいのですが、サイレントつまりシャッター音を出せない舞台などでは困りもので、撮影は本番前の最終稽古でやっておき、本当の舞台ではサイレントモードで間に合わせで撮っておくという話を左下の作例をお借りした人から聞いてますが、デジタルカメラの残された課題だったのかもしれません。

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≪LED光源とサイレントシャッター≫ 左はLED光源の明滅により発生したムラですが、ソニーの他機種を使っての発生です。よく見るとG.R.B.の順でGのみが幅広く、撮像素子のカラーフィルターのベイヤー配列そのもので上からG.G.R.B.であるように見ることができます。そこで今回の撮影では、その現象を再現させようと写真右のようにLEDランプの直線状のものと面状の物を準備していましたが、結果は蛍光灯照明のようにはうまくいかなく、このようなLED明滅によるムラを再現することはできませんでした。

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≪高分解シャッターとは≫ 高分解シャッターとは、LEDランプのように明滅の速度が速い発光体を使っていると発生するムラに対する解決策として発光の明滅サイクルとシャッター速度を同期させて、ムラを発生させないような仕掛けで、具体的には従来からのシャッター速度優先より細かな速度設定ができるようになっているのです。この効果を確かめようとしてLEDランプをわざわざ2種類用意したのですが、写真用では色温度を変えられるために複数の色LEDの組み合わせででき上っているために、色温度を変えてもそのようなムラは確認できませんでした。ウインドー照明、舞台照明などもっと現場で試すと良いのかもしれません。白バックのほか、黒バックでもやりましたが、実験は失敗、残念でした。この高分解シャッターの機能は、α1に加えα9Ⅱにもファームウェアアップで可能になったとされていますので、ソニーの積層型CMOSイメージャーだけに通じる技術かもしれません。

LED電球下での撮影では

 いよいよカメラをスポンサー氏のもとに渡す段になり、LED光源下での明滅ムラは確認できないなと考えていて、自分の部屋の照明光下でなんか変だなと思い種々撮影した結果が以下になります。最初はランダムに1カットずつ撮影していたのですが、時々暗いカットがでてくるのです。それでは、どのくらいのサイクルかと30コマ/秒で連写したのが以下です。大体、この条件下では、3コマで1サイクルを繰り返しています。

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≪LED電球下の露出≫ いずれのコマもゾナー35mm、F2.8・1/800秒、ISO-AUTO5000、AWB、で露出は同じですが、アンダーから始まり少し明るくなり、さらに明るくなり、暗くなるということを繰り返しているのです。ストップウオッチによると1コマ0.03秒でコマ間ですから、約0.09秒でさらに大まかに見ると0.1秒で明滅を繰り返していることになります。舞台写真を撮っている人はもしこのような照明条件だと大変だと思うわけです。ただこの露出のムラというかバラツキは背面液晶で見ていると明るく大変きれいに見えるのです。前回、Ver.2までに蛍光灯やLEDの明滅ムラことを書いたら、だからフィルムがいいのだという声がさっそく聞こえてきましたが、でもこのようなことをあえて露呈させていくことが次のカメラ開発につながると思いますし、少しでも第一線撮影現場のユーザーたちの声が届けばと思うし、私はその代弁者でありたいと思うわけです。

●レンズ交換時にシャッター幕が閉じてる機能

 実は今回私的に一番注目したのは、電源OFF時にシャッター幕が閉じる機能です。これは、レンズ交換時にホコリや雨や唾の水滴がつかないために大変安心感があるのですが、なぜかキヤノンの一部機種にしかついていないのが不思議でした。あるメーカーは「雨にシャッター幕面が濡れるより撮像素子前面が濡れたほうがいい」と解説したというのですが、使用者側としてはやはりシャッター幕が閉じていた方が絶対的に安心感があるのです。そんな話をあるカメラ技術者と話していたら、「我々はそんな柔なシャッター羽根は作ってこなかった」というし、さらに別の企業の技術者は、「それはまったくの詭弁であり、シャッター幕が閉じていた方がいいに決まっている」というのです(いずれもキヤノンの人ではありません)。

 α1の初期設定では、シャッター幕は電源OFFでも開いていて撮像素子が見えるのです。電源OFF時にシャッター幕が閉じる機能はオプションであり、この機能がメニュー画面のどこに入ってるかわからず設定するのに苦労しました。取扱説明書には書いてなく、ソニーのWebにもできるとは書いてあっても、設定はどのような名称で、メニューのどこにあるか書いてないのです。これには困りました、唯一YouTuberがα9Ⅱのこの部分を紹介しているのを見つけ、何とか設定しましたがこれは、せっかく搭載したのになるべく使わないようにというか、使わせないようにしているような不思議な機能なのです。

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≪電源OFF時のシャッター・閉の設定≫ 電源OFF時のシャッター・閉設定が、アンチダスト機能の中に入っているということは、シャッター閉じることでほこりなどを防ぐことを意味するわけですが、わかってしまえば理解できるのですが、階層も深い所にありわかりにくいのです

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≪左:初期設定は電源OFF時にシャッター幕が開いている。右:電源OFF時のシャッターを入にしてシャッターを閉じた状態≫

 やっとのことで探し当てた設定法は、メニュー画面の「セットアップオプション⑫」→「アンチダスト」→「センサークリーニング」→「電源OFF時のシャッター」でセットできますが、なぜ常時このような設定になっているのかわかりませんが、サイレントモードでは電源OFF時のシャッター幕閉の機能は使えないので、おそらくそのあたりが関係しているのではと考えました。さらに不思議なことは、この機能を働かせて、電源をOFFにしてからシャッター幕が閉じるまで5秒弱かかるのです。これから先はあくまでも個人的な推測でしかないのですが、いずれはファームウェアのアップデートでこれらの問題を含めて、α1の機能をさらに高めていくのではないかと思ったのです。だから紙の取扱説明書などには明記せず、Web取扱説明書への依存を高めているのではないかと考えました。この「電源OFF時のシャッター・閉」機能の使い方としては、一番最初に電源OFF時のシャッターを「入」にしておき、サイレントモードを設定すると自動的に「入」機能は解除され、通常の撮影モードに戻すと「入」に戻るので、この使い方がすこぶる便利です。ただ、どうしてこのような初期設定にしたかは不明で、「入」の状態を初期設定としていれば、サイレントシャッター時は「電源OFF時のシャッター・閉」機能は働かないとアナウンスすればいいのにと思った次第ですが、メニュー階層の深さ、OFF後シャッター幕が閉じるのに約5秒近くかかることなどを含めてこれからだなと思いました。

●240fpsのファインダーフレームレート

 α1のEVFファインダーは約944万ドットの有機LEDが使用され、「240fpsのファインダーフレームレート」の表示が可能とあります。フレームレートが高ければ動きのある被写体に対してスムーズなファインダー描写が望めるということになりますが、解像が低くなり消費電力も高くなるとされています。設定はセットアップメニューから選びます。

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≪ファインダーフレームレートの設定≫ 設定は、標準(60fps)・高速(120fps)、より高速(240fps)と変更可能で、デフォルトは高速(120fps)になっています。ここでより高速にすると撮影画角が狭くなるとされていますが、確認には至りませんでした。ちなみにα7RⅣの場合は標準(60fps)・高速(120fps)の2種で、デフォルトは標準の60fpsにセットされています。α1でもユーザーによっては撮影目的に応じて「標準・60fps」に設定するのが推奨されています。

 ■終わりに

 以上で、ソニーα1の使用レポートを終えることにします。ソニーのキャッチフレーズは『THE ONE 新次元へ』ですが、今回注目したことは、α1は何をもってミラーレスαシリーズの1番なのかということ、新次元というのは何をもってか、ということになりました。この点に関しては、すでにご覧になっておわかりのように裏面照射構造でメモリー内蔵積層型CMOSイメージセンサー採用の功績が大だと思うのです。なお、すでに同種のセンサーを搭載した機種としてα9Ⅱがありますが、α1ではさらに機能を高め、240fpsのファインダーフレームレート、電源OFF時のシャッター閉、高分解シャッター、1/400秒のストロボシンクロなどを搭載して№1としたようですが、どこまでこれだけの機能が実用的なのかと考えると、少なくとも私のようなレベルでは使いこなしはできないだろうと考えてしまいました。とはいっても、歪みのない30コマ/秒の画像は魅力だし、操作系では、基本的な設定はすべて電源のON・OFFに関係なく目視できるのは、プロ用、特に業務で撮影するカメラマンにとっては大切な仕様です。

 このほかせっかくだから私がソニーのミラーレス機で高く評価でる部分を紹介すると、バッテリーの充電がUSBタイプAの電源ソースからタイプCでできるのが大変好感をもってる部分です。USBタイプA経由なら、スマホ・携帯用の変圧アダプター、車、新幹線、飛行機、ホテルなどで充電できるのは便利この上なく、機種ごとに充電アダプターを持ち歩く必要もないのです。ちなみにフルサイズミラーレス機で同様にUSBタイプA経由で充電できるのはパナソニック、シグマであり、他社は対応しないというのは残念ですが、今回のソニーα1もニコンキヤノンと同様に専用充電器かUSB-PD対応機からしか充電できないようになったのです。これは大変残念なことです。

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 最後に、ソニーに加え、ニコンキヤノンのミラーレスのフラッグシップ機であろう最高級機の写真と概要を掲載しました。これを見てお分かりのように、いずれも積層型CMOSイメージセンサーを採用していることです。これから先のプロ用機は積層型CMOSイメージセンサーを搭載するのがまるで条件のように見えるのです。

 つまりこれがソニーα1のキャッチフレーズである“新次元へ”の意味なのでしょう。さらに付け加えるなら、ソニーのα1はニコンキヤノンとは異なり、小型のままプロ用機としたところが注目点です。追い上げるニコンキヤノンが最終的にどのような機能を付加させてくるかはわかりませんが、各社とも新時代を迎えるのは明らかなわけで、カメラ技術の進歩はまだまだ進歩をとげるわけです。 (^^)/