写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

シグマdpクアトロの目指すところ

 シグマは年末の12月25日にすでに発売されているdp1クアトロ、dp2クアトロ向けのシステムアクセサリーとして「LCDビューファインダーLVF-01」を発売しました。25日といえばクリスマス。その前日のクリスマスイブ24日には、やはりニコンがDf発売1周年記念限定モデルとして「ニコンDfブラックGold Edition」を発売していますが、シグマもニコンも年末にに発売して、お正月にじっくり楽しんでもらおうというわけなのでしょう。

 さてシグマの「LCDビューファインダーLVF-01」は、2014年の9月にドイツで開かれたフォトキナで参考展示されていたものですが、dpクアトロファンにとっては待望久しかったわけです。LVF-01は、カメラの液晶モニタ部分に装着して外光をカットし、液晶モニタを内蔵ルーペで2.5倍に拡大するためピントの確認が容易に行えるというものです。かなりしっかりとした金属製の造りで、取り付けは三脚穴にねじ込んで行いますが、ぴったと嵌合するあたりは気持ちいいです。取り付ける前に裏側からのぞいて見ますと大型のレンズが組み込まれていて、いかにもよく見えるといった感じで、視度補正機構も内蔵してしており、取り付けてのぞいたときの視認性も良好です。さて、このビューファインダー、実は最初のモデルdp2クアトロが発売された時には影も形もありませんでした。発表当時、アクセサリーシューの奥をのぞき込んでもEVF用の電気接点がなく、用意されていたのは外付け式の光学ファインダーだけでした。当時は、へーそんなものかなと軽く考えていましたが、フォトキナでビューファインダーLVF-01を見てその理由がはっきりしたのです。

≪ファインダーのアイピース側から見る。アイピースの口、アイピースキャップ、カメラとの嵌合部などはアルミ製、何でも内製化するシグマらしい仕上げです。アイピースの口にはピントルーペの視度補正(−2.0〜+1.0 Dp)のためのヘリコイドが組み込まれていて、大きな回転角と適度な粘りは最近のAFレンズ時代には忘れられていた感触で、気持ちいいのです。ファインダーはカメラに取り付けたまま、左へスライドさせることにより嵌合基部を残して簡単に取り外しが可能となります。≫
 ボディに装着して、ファインダーをのぞいてみると、背面液晶のドットの1粒ずつが見え、ファインダー視野全体が、裸眼でも、僕のようにメガネをかけた状態でも欠けることなく大きく見えます。しかしそれにしてもその大きさです。dp2クアトロがでた当初に僕は、形状と画質から中判カメラだと書きましたが、ますますその様相を呈してきました。フィルム時代の写真の画質はのカメラの画面サイズに依存していました。デジタルになるとさまざまな小型化への努力がなされてきましたが、画質の決定要素に画素数が入り込んできました。コンパクトカメラでも高画素なら大きくプリントできるのですが、シグマdpクアトロではその逆を行ったのです。当初は、デザインからだけの指向かと思っていましたが、ビューファインダーLVF-01の登場でますますデザインを超えたところでのdpシリーズの存在が見えてきたのです。つまりdpシリーズは中判であり、カメラを持つこと、写真を撮ることに、撮影者へ1つの労働を課するのです。もちろん、小型・軽量で高画質いうカメラを望むのが大半のユーザーであると思うのですが、その一方で、現在でもフィルムカメラの8×10大判を振り回す人もいるわけですから、持ち歩くことそのものが負荷がかかることであり、まったく現代のカメラ技術の進化に逆行しているわけですが、さまざまなカメラが発売されている中で、こういうカメラの存在もありなのでしょう。一眼レフ、コンパクトカメラ、いずれもカメラデザインとしてはフィルムカメラの延長線上にあったわけですが、ビューファインダーLVF-01をdpクアトロに組み付けたときに、デジタルならではの新しいカメラスタイルが見えてきた気がしたのです。高画素タイプになると、一眼レフではカメラ自身が起こすカメラブレが画質に及ぼす影響は大です。その点において、レンズシャッターはリーフシャッターとも呼ばれますが、その動作は静かなものです。このあたりも画質に大きな影響を与える部分ですが、dpクアトロシリーズが特異な外観を採用したのとは無関係ではないはずです。ビューファインダーLVF-01を装着して実際カメラを構えてみると、横位置・縦位置ともしっかりとしたホールディングが可能でした。
 さて写した感じはどうでしょう。VGAサイズですが、dp1クアトロとdp2クアトロの作例を1点ずつ掲載です。この時期は年末年始のためにMJのサーバーというか、作業をする方がお休みのため、年が明けて時間ができたら、作例を増やしてアップすることにしましょう。何しろ高画質カメラは拡大して初めて実力がわかるのですから。

≪シグマdp1クアトロ:19mmF2.8≫35mm判28mm相当画角。F5.6・1/320秒、ISO100。愛知県常滑にて。

≪シグマdp2クアトロ:30mmF2.8≫35mm判45mm相当画角。F5.6・1/160秒、ISO100。愛知県内海にて。
 なお、シグマdpシリーズがなぜ高画質なのかに関しては、すでにメディアジョイのサーバーに「シグマdp2クアトロ」としてレポートしてありますので、ぜひご覧ください。