ここに紹介するズノー50mmF1.8は1958年に発売された一眼レフ「Zunow」用に開発されたものです。一方、ニッコール50mmF1.8は1983年ごろの製品です。製造された時期は25年も違いますが、どちらも、焦点距離、開放F値、レンズ構成枚数が同じなのです。ズノー(Zunow)のレンズといえばキヤノン50mmF0.95と並び戦後日本の誇る大口径レンズの代名詞のようなレンズで、ライカスクリューマウントのタイプ“ズノー50mmF1.1”がよく知られています。ところがここで紹介するのは、一眼レフ用の標準レンズ50mmF1.8なのです。この“ズノー50mmF1.8”は、1958年にズノー光学工業が、製造した一眼レフカメラ「ズノー」に付いていたものです。標準レンズは58mmF1.2とこの標準50mmF1.8レンズの2種でしたが、50mmF1.8は、当時一眼レフ標準レンズの焦点距離は55mmとか58mmが主流であったのに対し、距離計連動機と同じ50mmとし、ボディは、今ではあたりまえとなっている完全自動絞りを初採用。またペンタプリズムの底面に曲率を持たせコンデンサーレンズの機能を加えてペンタプリズム頂部を低くくするなど、先進の技術が搭載された大変意欲的な一眼レフでした。その一方でカメラの外観、パッケージ、取扱説明書などのデザインを、GKインダストリアルデザイン研究所という外部デザイン事務所に依頼したのも新しい試みでした。そのズノーですが、発売とともにさまざまなトラブルに見舞われて、最終的に市場に出回った数は少ないのです。ところが僕の周りには、不思議とズノーを持っている人が複数いたのです。そのようなあるとき、クラシックレンズ遊び仲間のHさんが「ズノー50mmF1.8」をライカスクリューマウントレンズに改良したから使ってみませんかというのです。Hさんいわく、レンズだけを持っていたけど、ボディがなかったから距離計連動のライカスクリューマウントに改造しというのです。当然、ライカスクリューマウントならアダプターを使えばMマウントになるわけですから、複数のライカスクリューマウントの“ズノー50mmF1.1”を使った身としてはぜひ使わせてほしいとお願いしました。ズノーとニッコールの50mmF1.8は、光学スペック的にはかなり近似してますので、ライカMに装着して、それぞれの描写検討比較を行ってみました。掲載はいつものようにサーバー容量の関係から京都メディアジョイの「ライカに始まりライカに終わる」の第二十七回目の項に掲載しました。