写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

祝!「ニッコールレンズ 80年/8000万本達成」


 ニッコールレンズが、今年で発売から80周年を迎えたそうです。「NIKKORニッコール)」は、ニコン製写真用レンズのブランドで、「NIKKOR」という名称は、ニコン創業時の社名「日本光学工業株式会社」の略称であった「日光」の英文表記「NIKKO」に、当時写真レンズの名称の末尾によく使われていた「R」がつけられ誕生したというのです。またニコン(当時:日本光学工業)は、1959年に一眼レフカメラニコンF」を発売し、この「ニコンF」と同時に発売された「NIKKOR-S Auto 5cmF2」が、最初のニコン一眼レフカメラ用「NIKKOR」レンズで、さらに、2011年10月から発売を開始した「Nikon 1」用の交換レンズのラインナップ含め、2013年の6月中旬に総生産本数8,000万本を達成したというわけです。
 この達成記念は見逃すわけにはいきません。かといって、年と数の達成を単にお知らせするわけではおもしろくありません。そこで考えたのが右の写真です。ご存じ、田中長徳さんが右手に持っているのは、「AiズームニッコールED1200〜1700mm F5.6-8P(IF)」と左手に持っているのは「レフレックスニッコール2000mmF11」と超弩級望遠レンズなのです。そして重量はというと、ズームニッコールが16kg、レフレックスニッコールが17.5kgというわけで、総重量はなんと約33.5kgです。長徳さんは、大学を卒業したばかりのころはコマーシャル写真の助手をやっていたそうですが、当時車の撮影で、ウエイトをかけるために20kgのサンドバッグを両手に持ってスタジオの中を飛び回っていたという強者ですので、軽々と総重量33.5kgの2本を持ってにっこりほほ笑むあたりはさすがです。後ろで、これまたにっこり笑っているのは、札幌・イマイコレクションのオーナーである今井貞男さんで、今回はレフレックスニッコール2000mmF11がそろったということで、東京から好き者が10人ほど集ったのです。長徳さんが、2本の希少重量級ニッコール超望遠レンズを手に持つ、“祝!「ニッコールレンズ 80年/8000万本達成」”のスペシャルサプライズなのです。この僕はズームニッコールED1200〜1700mmを足元に置き、レフレックスニッコール2000mmを両手で抱え、写真を撮ってもらったのですが、ここまでにっこりはできませんでした。ちなみに長徳さんと僕は同い年なのですが、見た目と体力は違いました。

 このレンズ、どちらも受注生産品であり、あまり細かいことは紹介されていませんが、AiズームニッコールED1200〜1700mm F5.6-8P(IF)だけは、ニコンのWebサイトで細かく紹介されています。また、レフレックスニッコール2000mmF11は個人のサイトにあります。
【左:AiズームニッコールED1200〜1700mm F5.6-8P(IF)】レンズ構成:13群18枚、画角:2°〜1°30′、絞り羽根:9枚、最短撮影距離:10m、大きさ:237φ×888mm、重さ:16kg、製造:1993年、発売当時の価格:600万円(受注生産)【右:レフレックスニッコール2000mmF11】レンズ構成:5群5枚、画角:1°10′、絞り羽根:9枚、最短撮影距離:18m、重さ:17.5kg、製造・価格:初期型1970年(65万/80万円)、後期型1975年(90万円)
 ところでニコンの製造した最も古いレンズは「アニター(Anytar)」というレンズです。ニコンによると1930年代の製造で、焦点距離7.5cm、10.5cm、 10.7cm、12cm、15cm、18cm、36cmの7種類が確認されているそうです。そんな「アニターレンズ」を大事に箱の中に2本も入れて、いかがですかと見せる関西のMさん。超弩級望遠レンズ他、カメラからレンズ、アクセサリーを始めニコンとつけばヨウカンからセンベイまでを種々収集する今井さんもというわけで、ニコンファンには熱心なコレクターの方が多いのです。以上、ニッコールレンズ80周年・8000万本祝賀のブログ「写真にこだわる」のスペシャルサプライズでした。