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写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

パナソニック新しいイメージセンサー技術を開発

 1月8日から開かれたPMA@CES、1月31日から開催されたCP+2013がやっと終えた翌日の4日に、まだ個人的にはこれらイベントの総括もできていないのに、放っておくことができないイメージセンサーの新技術が発表されたので簡単に紹介しましょう。
 パナソニックがこのたび開発したのは、いままでのデジタルカメラなどに用いられるイメージセンサー(シグマのFOVEONを除く)のほとんどがカラーフィルターを使用し色分光を行ってきたのに対し、光の波の性質(光波)を使って撮像素子に入射する光を色ごとに分離できる独自の「マイクロ分光素子」(回折格子)を考案・開発し、イメージセンサーに適用することで高感度なカラー撮影を実現することに成功したというのです。このマイクロ分光素子は、光の回折現象を微細な領域で制御するにより、カラーフィルターを使用しない色配置が可能となるというのです。その比較原理図をパナソニックのニュースレリーズから引用し、以下に示します。

 つまり、一例として、光を原色、補色に分離する構造を使う場合、白+赤、白−赤、白+青、白−青の4つの色の画素が得られ、演算処理により解像度を損ねることなく通常のカラー画像に変換できるというわけです。これによりカラーフィルターを使用する従来の方式と比べ、約2倍の高感度化が実現できるのです。このマイクロ分光素子は、従来のイメージセンサーにおけるカラーフィルターの置換えとして設計ができ、CCDやCMOSなどイメージセンサーの種類に依存せず適用が可能で、従来の半導体バイスの製造で用いられてきた無機材料や加工プロセスを使ってこのイメージセンサーを作製できるのです。
 パナソニックによると、イメージセンサーデジタルカメラのキーデバイスとして、スマートフォン、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラなどのデジタル映像機器や、車載、オフィスなどのセキュリティ用途、医療現場など、さまざまな分野で使用されていて、特に機器の小型化と高い解像度を必要とする場合、マイクロ分光素子の技術により、イメージセンサーの種類にかかわらず、明るい画像信号を得ることが可能とされています。パナソニックでは、すでに裏面照射型高感度MOSセンサーの採用により高感度化を達成しているわけですが、マイクロ分光素子技術の採用はイメージセンサーの種類にかかわらないということから、マイクロ4/3のイメージセンサーにもし採用されれば、高感度だけでなく、その原理からして解像感が増す可能性が大なわけです。ところで今回の発表はR&D本部、つまり研究開発本部から行われたわけですから、商品化はまだ未定ということになります。ここはぜひ早期の商品化を期待したいものです。