写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「フォトキナ2012」に思うこと

 「フォトキナ2012」がドイツ・ケルンで9月18日から23日までの5日間にわたり開催されました。新製品は予想通りで、わずかにライカが数で勝負をかけて、話題を誘いましたが、注目はフルサイズでレンジファインダーを踏襲しライブビューの可能な「ライカM」です。価格は従来のM9の横滑りだそうですが、来春にも発売のようです。もう一つ話題はスエーデン・ハッセルブラッド社がソニーのNEXをベースに「ルナ」というカメラを発表しました。価格は50万円ぐらいだそうで、手作り感を持たせたところが特徴です。いずれにしても、歴史ある海外中判カメラメーカーが、日本の光学メーカーでなく家電メーカと手を組んだところが、時代の大きな流れを感じさせます。

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新製品の「ライカM」を手にして発表会で終始笑顔の絶えなかったライカカメラ社オーナーのDr.カウフマン氏。発表会は、18時に入場開始で、19時開演、新型が披露されたのは21:15、その後フォトキナ会場のホール1をすべて使った、会場をオープンさせましたが、発表会終了は午前2:00、これがドイツ式なのです。

 僕がフォトキナに初めて顔をだしたのは1980年のことでした。この時代は、いま振り返えると銀塩カメラシステムが最も華やかな時期でした。当然、僕は雑誌の取材で出向いたわけですが、カメラは発売されたばかりのペンタックスLXにトキナー35〜105mmズームレンズとペンタックスのクリップオンTTLストロボの組み合わせで臨みました。この組み合わせの素晴らしいのは、ズームのマクロ域でガラス越しでもズバリカメラなどをアップで撮影できたのです。マクロ域のピント合わせは直進のズームリングで行うのですが、レンズ先端にはラバーフードを取り付け、しっかりとショーウインドーに密着させ、絞り込んでストロボを発光させるのですから反射も防げ画質は素晴らしかったです。撮影は黒白フィルムのトライX、失敗は許されないのでキングのベルト式現像タンクと液体のHC-110現像液を持ちこんで、取材やパーティーから帰って夜中にホテルのバスルームで現像。しっかりと写っているのを確認してから次の日に臨むというわけです。ちょうどその時期から、プレスセンターに黒白フィルムの自動現像機によるサービスが開始されましたが、依頼するより自分でやった方が楽という感じでした。もちろんカラーも全盛な時代ですので、記念写真はコンパクトカメラでカラーというわけです。この年に発色現像方式モノクロフィルムのアグファパンバリオXL、イルフォードXP-1が発売されたと記憶しています。
 時代は変わり、現在は11倍ぐらいのズームレンズが付いた手のひらに載るほどのコンパクトカメラでマクロから望遠までカバーするのです。撮影後は画像データをEメールに添付して即日本へ送れ、帰国後は半切ぐらいまでカラーの引伸ばしプリントが家庭でできるのですから、技術の進歩は素晴らしいものがあります。この技術の進歩があるのが写真であるわけです。(*^_^*)