写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「フォトキナ2012」より

 「フォトキナ2012」も終了しました。写真、とりわけカメラという視点では久しぶりに各社からさまざまな新製品がでて、活況を呈したことはおわかりいただけたと思います。そこでのできごと、新製品をここに紹介していくときりがありません。でも、なんとなくこのまま情報を眠らせてしまうのには惜しいので、もう少しだけフォトキナ関連の情報を掲載しましょう。

 上の写真は17日夜、ライカカメラ社での発表会のときのひとこまです。会場の“ホール1”は、5,000平米の内、3,000平米が写真展示に、2,000平米が新製品の展示に使われたそうです。写真展は世界各国の多くの写真家の作品が飾られましたが、ピューリッツア賞受賞フォトジャーナリストのニック・ウット(Nick Ut)氏とホルストFASS氏は“ライカホールの栄誉”としてたたえられました。ニック・ウット氏は、米国ロサンゼルス在住でベトナム戦争当時AP通信サイゴン支局の報道写真家でしたが、ナパーム弾爆撃から逃れる村人たちを撮影した「戦争の恐怖」と題した作品で、1973年にピューリッツァー賞を受賞しています。発表会には、当時6歳で撮影された少女キム・フック(Kim Phuc)さんとともに会場に現れました。現在キム・フックさんはカナダ在住だそうです。ニック・ウット氏にはライカカメラ社から記念にApoズミクロン50mm付きのライカモノクロームが贈呈されました。左がキム・フックさん、右がニック・ウット氏です。記念に贈呈されたモデルならシリアルナンバーは?と関係者に聞いたところ、わからないとのことでした。ちなみに日本人写真家では荒木経惟氏の作品が展示されていました。

 フルサイズ24MPのCMOSセンサー搭載「ライカM」にマウントアダプターを付けてライカRレンズユーザーをフォローするというのはやはりこういうことだったのです。レンジファインダー、ライブビュー、HD動画、外付けEVFなどが可能です。軍艦部シャッターボタン右は動画用のボタン。従来からのM9に相当するCCDイメージャーのモデルは、上蓋・底蓋の仕上げがダークなハンマートン処理のような感じに変更され、「ライカM-E」として普及価格で発売されるようです。また、Medium-format-minimum sizeとキャッチフレーズの「New Leica S」も新製品。

 ライカX2ポール・スミスモデル。イギリスを代表するデザイナーであるポール・スミス氏によるカラーモデルです。専用皮ケースとストラップにはPaul Smithのサインが型押しされています。配色はさすがという感じです。このほか色はいろいろの「ライカXアラカルトも」あります。

 ハッセルブラッド「ルナ」。完成品でなくプロトタイプとあちらこちらに書いてありましたが、ソニーNEX用のαEマウントであるところが最大の特徴です。1962年に宇宙飛行士ウオーター・シラーによってハッセルブラッド500Cを宇宙に持ち込んで撮影してから50周年で、1969年にNASAの月面探査機付きに着陸し、飛行士の足跡をハッセルブラッド500Cルナカメラで撮影したことから、ルナカメラという名が付いたようです。