機会あってソニーNEX-7を使ってみました。もともとミラーレス機として、NEX-5を使ったことはあるのですが、最新モデルのNEX-7は、2430万画素と高画素であること、XGA有機液晶EVF内蔵など興味あるスペックですので、その実力のほどはと気になっていました。標準ズームの18〜55mmF3.5-5.6が付いた状態で実際に使ってみると、手ぶれ補正のOSS(OpticalSteadyShot)も良く効き、ごくごく自然に違和感なく撮影ができました。それというのもAFがコントラスト検出方式のはずなのに、認識率、スピードなどでかなり進化した感じがするのです。そもそも今回の本来の使用目的は、最近流行りのマウントアダプターを使ってライカレンズのような古い完全マニュアルフォーカスレンズを付けたときに、どんな描写特性を示すだろうかというのが最大の注目点だったのですが、少しばかりわき道にそれて“LA-EA2”というAFマウントアダプターを使ってびっくりしました。
このマウントアダプターは、旧ミノルタ時代からのα用レンズを含めて最新ソニーαレンズも同じようにAFを含めて機能させて撮影できるというものなのです。こう書くと簡単ですが、αマウントレンズは、絞り作動は機械的なレバー式、AFは機械的なカプラー回転方式なのです。これに対して、NEXは完全な電子マウント方式なわけですから、“LA-EA2”マウントアダプターを介することにより、完全電子マウントのNEXカメラが機械制御のカメラに大変身するというのですから驚きです。しかもそのAFはソニー独自のトランスルーセントミラー技術による位相差検出AFなわけですから、より高速なAFが可能ということになります。
そこで早速用意したのが、ミノルタAFズーム35〜105mmF3.5-4.5です。このレンズ、1985年のミノルタα-7000システムが発売された時の標準ズームですが、複合非球面レンズを使いマクロ機構付きと当時は技術的にもかなり意欲的でした。このアダプターが登場するまで僕のストックルームでα-9とともに眠っていたのですが、約30年経ったこの時期一気に再登場というわけです。このレンズは金物の仕上げも高級感あり、NEX-7にLA-EA2を介して装着しましたが、トータルバランスも良くなかなかいい感じです。さらに電源を入れて、シャッターボタン半押しでびっくりしました。同じ位相差検出方式でも、かつてのαのAFのように緩慢さはなく、かなりクイックな感じで“ジィッ・ジィッ”とピントが合うのです。しかもピントが合うポイントは、しっかりとフレーム表示されるわけで、最新の一眼レフと同じです。
※上の写真で一番左はAFズーム35〜105mmF3.5-4.5レンズのマウント部、中はマウントアダプターLA-EA2のαレンズ側マウント部、いちばん右は、LA-EA2のNEXボディ側のマウント部です。機械的な動作がすべて電気的な信号に切り替わり、カメラと交換レンズが制御されるのです。
早速、近所の菖蒲園に持参して試写してみました。結果は、かなり良好でフォーカスポイントがというか、ピントを合わせたいところが中央でなくても、ワイドAFのためにズバリそちらでピント合わせするのが不思議というか、まるでコントラストAFで画像認識しているような感じで結構使えるのです。作例画像もVGAではわかりにくいかもしれませんが、合焦点は十分なAF精度を持っています。また撮影後のデータは、Exifから、撮影レンズ焦点距離、撮影感度、シャッター速度、絞り値などが記録されているのも普通でした。良く写るのでびっくりしましたが、ここまで“良くやるなというのが正直な印象”でもあります。ソニーのこだわりにはびっくりです。
さて、最新のデジタルカメラ技術の解説セミナーが、ビックサイトPHOTONEXT会期中の6月26日に日本写真学会の主催で行われます。富士フイルムがX-Pro1、ニコンがD800とD800E、キヤノンがEOS 5D Mark IIIについてそれぞれ技術者が解説します。僕は、そのなかで「ミラーレスカメラでオールドレンズを楽しむ」というテーマでしんがりにお話をしますが、オールドレンズを楽しむ歴史的経緯と、アマチュアが各社ミラーレス機でどれだけ楽しんでいるか、数多くの実例写真をお見せするほか、APS-C判最新ミラーレス機の実力をズバリ実写比較検討したプリントを持参して披露します。平日で有料ですが、興味ある方はぜひおいでください。高画素タイプの効果は?、光学ローパスフィルター有無の画質比較、X-Transはベイヤーを超えたか、ダイナミックレンジ比較など、新しい発見があるかもしれません。なお、会場が広いので予約なくても当日の申し込みでも良いそうです。