写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

カメラバッテリーはやはり純正を?

 僕のご近所にいるInoさんが、浮かぬ顔してたずねてきました。なんでも、所有している“ライカM8”が具合が悪いというのです。それというのも、しっかりと時間かけてバッテリーを充電しても、カメラのインジケーターが3段階あるうちの1段目しか表示しないというのです。しかも、予備を含めた2つのバッテリーをフル充電して差し替えてもまったく同じ状態で、1段階目しか表示しないというのです。2つあるバッテリーで、1台のボディで不具合ならば、たしかにボディが具合悪いと考えるのが当然です。そこで、他のボディを使って調べてみたいというのです。さっそく身近にあった“ライカM9”にその2つのバッテリーを入れてみて、バッテリーチェッカーを作動させてみるとフル充電の状態でも、1個は40%弱、もうひとつは30%弱という値を示しました。その逆に、フル充電のM9用バッテリーをInoさんの“ライカM8”に装填して、インジケーターを見ると3段階フルの状態を示しました。つまり、予備を含めた2つのバッテリー(リチウム-イオン)がちょうど時を同じにしてダウンしたわけだったわけです。カメラボディのM8が問題ないと分かり、Inoさんは途端に笑顔となりましたが、一時期はボディをM9へと買い替えを覚悟していたようです。ちなみに、ライカM8のバッテリーチェックは、ボディ軍艦部左上に3段階表示で、M9のチェック表示は、背面INFOボタンを押すことにより背面液晶にバーグラフと%で数値表示されます。

 上の写真のうち左の2個がInoさんのバッテリーで、中古M8をeBayで購入した時にボディとバッテリーチャージャー、さらにこの2個のリチウム-イオンバッテリーが付いてきたのです。右の2個は、僕の手元にあったバッテリーです。いちばん右はM9ボディといっしょに購入したもの、その左はM8ボディとともに購入したもので、M8用は2006年12月、M9用は2009年10月に購入しています。つまり僕のM8用バッテリーは6年経っても問題ないわけです。ところがInoさんのは、2つともが寿命なのです。これはよく見ると、Inoさんのはどちらもライカカメラ社純正でないのです。おそらく前のオーナーがM9を購入し、M8を手放すときに手元に純正を残し、非純正のバッテリーを付けて売り出したと思うのです。一番右の純正はライカM用、右から2番目の純正はライカM8用となっていますが、いずれにも“LEICA CAMERA”と書かれ製品番号はどちらも“14464”と書かれています。ところが非純正はライカM8用と書いてあっても、LEICA CAMERAとは書かれていないのです。表示はこの程度の違いですが、寿命がこのように違うとやはりショックなわけです。結局、カメラ用バッテリーは純正をということになるのでしょうか。ただカメラ映像機器工業会などでいうリチウムイオンバッテリーは模造品が多いというように位置づけられていますが、今回の非純正バッテリーは互換製品とでもいうのでしょうか。左から2個目だけは“OEGE ENERGY”という会社で販売されているので、サイトで調べてみるとM8/M9用が1個税込みで20ユーロで販売されているのです。日本では、純正が12,000円以上で販売されているわけですが、最近100円ショップで販売されている単3型アルカリ電池などと似ているなと思うのです。見た目はきれいで、国産品と同じように見えるのですが寿命がかなり短いのです。思わず、笑ってしまいましたが、安いのを必要に応じて何度も取り替えて使うのと、高いものでもしっかりと長く使えるのとどちらがいいのかなと、考えてしまいました。