写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

曽根陽一さん写真展より

 写真家の曽根陽一さんが「Naked Flower」−花の極私的エロス−というタイトルで銀座三愛ビルのリコーのリングキューブで5月2日から13日まで写真展をひらいているという案内をいただいたので見に行ってきました。曽根さんと知り合ったのは、遠い昔、当時月刊カメラマンの編集長であった三留さんがぜひよろしくと、何度か夜の新橋で紹介してくれたのが最初でした。それ以降、ロシアカメラやさまざまな縁で何度かおつきあい願ってきました。

 今回の写真は、リコーのGRデジタルを使って日中シンクロして撮影したというものですが、「Naked Flower」−花の極私的エロス−というタイトルの“Naked Flowerは裸の花”とでも訳すのでしょうか、それぞれが日中の炎天下に撮られたとは思えないほどなかなか妖艶な感じの写真ばかり60点です。僕は、曽根さんに作品を解説してもらいながら、「それぞれに力が入っていますが、マクロをお得意としたレンズシャッター式コンパクトのGRデジタルの機能を存分に活かした表現ですね」とかいいながら見て歩いたのですが、興味あることを聞きました。なんでも今回展示の作品60点すべてにリコーにより価格が付けられ、プライスリストが配布されているというのです。そうですか、これはおもしろいということで、曽根さんお気に入りの作品の前で記念写真を撮らせてもらいました。さらに、その記念写真に写っているプライスリストの一部を縮小コピーして掲載してみました。それによりますと、左の写真2枚が各20万円で、右の写真が40万円なのです。一般写真ギャラリーでの作品展で、価格がついているのは特に目新しいことではありませんが、メーカーギャラリーで各作品にチャリティーでなく、価格を付けたのは新しい動きだと思うのです。ちなみにリングキューブの価格は、半切相当の10万円からで、全紙相当の20万円、倍全相当が40万円といった感じでしょうか。リコーは、国内外のアートギャラリーが写真作品を販売するフォトフェア「Tokyo Photo」に過去2回ほどリングキューブとして参加しているので、その延長線上にある動きかも知れません。メーカーギャラリーでの展示作品販売、今後どのように展開されていくのでしょうか。興味は尽きません。