写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ミラーレスでなく「ノンレフレックス」

 カメラ映像機器工業会(CIPA)は、「レンズ交換式」デジタルカメラ機種の多様化が進み、同市場の著しい成長に拍車をかけている。このため「レンズ交換式」デジタルカメラを「一眼レフ」と「ノンレフレックス」の 2 区分に大別して実績を捉えることとし、成長分野の調査充実を図るというニュースレリーズを去る2月9日に発表しました。この「ノンレフレックス」には、いわゆる「ミラーレス」、「コンパクトシステムカメラ」、レンズ交換式のレンジファインダーカメラ(エプソンR-D1xなど)、カメラユニット交換式(リコーGXR)等を計上するというものです。ただしこれはあくまでもCIPAが毎月発表している生産統計上の分類であって、各社の呼んでいる「マイクロ一眼」なども含めて、加盟各社はこの範疇に入るカメラをノンレフレックスに統一しなくてはならないというような強制力をもっているわけではなさそうです。
 それにしても、今回定まった“ノンフレックス”がミラーレスとどう違うのかというのは別にして、過去にもいろいろ話題となりました。本ブログでも2010年の3月には“どう呼ぶの?各誌のこだわり”と題してカメラ雑誌の呼び方を調べ、CP+2010での話題を加えて紹介しました。ちょうど2010年の2月に発売された韓国サムスンのNX-10は、APS-C判ミラーレス機の最初でしたが、その時期サムスンはハイブリッドカメラと呼んでいました。ただ、その年の9月のフォトキナではミラーレス機と呼んでいたので、世界的にミラーレス一眼で統一かとも思ったのです。このころ僕の関心事は、ライブビューであることがひとつでした。たとえば、ライカM9エプソンR-D1xにはライブビューの機構はないのです。もしここに背面液晶やEVFによるライブビューが入ればどうなるだろうといつも考えていたわけです。ただしこの辺りは時間の問題で、やがてライブビューになることは間違いないでしょう。

 そしてもうひとつ、ソニーのα65とα77の存在です。このカメラ、ソニーミノルタ以来のα交換レンズを使う一眼レフカメラと同じように位置づけていますが、僕はトランスルーセントミラーと一眼レフのミラーとは異なると思うのです。トランスルーセントミラーは、ペンタ部に置かれたAFのための位相差検出センサーへ光線を導くものであって、撮像(結像)や電子ビューファインダー(EVF)に関係する光線を導くものではないわけですから、一眼レフとはまた別なものだと思うし、むしろ僕としてはミラーレス(ノンフレックス)一眼だと思うわけです。これは一眼レフがミラーレスの上位に位置するというのは固定概念にしばられているわけで、むしろ今後ライブビューがより発展し、さまざまな効果画面や多重露光のプレビューがリアルタイムでできるなどEVFの進歩と画像処理速度と能力の向上など、発展の余地は十分にあるわけですから、少し見方を変えても良いのではないかと思います。事実、APS-C判ながらソニーα77は、毎秒12コマの連写機能で高級一眼レフ並みのことを手軽な中級機で達成しているのだから立派なものです。この辺りはすばらしいもので、僕も旧モデルα55に500mmズームを付けて走ってくる電車を手持ち撮影でバシバシ写せたときは驚きでした。この時期発表されたオリンパスOM-Dは一眼レフと同様にデザインされたファインダーを覗いて写真を撮ることを重視して、EVFのファインダー光学系に力を入れて設計したそうです。たしかにフランジバックは違いますが、同じようにソニーα65、α77はこれからの可能性を含めて堂々とミラーレス宣言をしても良いのではないかと思う次第です。CIPAは、このカメラを「一眼レフ」と「ノンレフレックス」のどちらに分類するのでしょうか?

ソニーα55タムロンSP AF200〜500mmF5/6.3ズーム、「連続撮影優先AE」モード、手持ち撮影