写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

50年の重み「K2写真研究室」

 だいぶ前のことになりますが、僕が最初に写真家の木村惠一さんとお会いしたときに、オフィスの名前がK2だったので、なぜK2なのかと思いましたが、そんな疑問は少し時間が経つことによりすぐ理解できました。K2とは、今から50年ほど前に日本大学芸術学部写真学科を卒業した木村惠一さんと熊切圭介さんが始めた写真事務所で、名字のアルファベットの頭文字をとってK2で、「K2写真研究室」だったのです。その木村惠一さんと熊切圭介さんがK2を設立してからこの時期に50年目を迎えたというのです。そして木村惠一さんが闘病生活から再起して、2011年の日本写真協会功労賞を受賞し、熊切圭介さんは10年間撮り続けてきた「運河」の写真集を平凡社から出版したということをかねて、祝う会が去る7月26日にウエスティンホテル東京で開かれました。当日は、関係者が250人ほど(僕のみた感じ)集いましたが、終始にこやかななかにゆっくりと歓談することができました。写真は、木村惠一さん(左)と熊切圭介さん(中)を前に挨拶をする日本写真家協会会長の田沼武能さん(右)です。ところでK2写真研究室ですが、地下鉄茗荷谷駅から徒歩で5分ぐらいの所のビルにありますが、お二人がこの場所に研究室を構えてから50年だというのです。つまり1回も事務所を移転していないというのです。このビルはチョットしたもので、外壁にはネットが被さり、狭い階段を歩いて登ると3階(多分、記憶です)に研究室はあるのですが、その階段の途中に絵が飾ってあったり、古い機械式のタイプライターがおいてあったりとか、いかにも歴史を感じさせる不思議なゾーンです。僕も以前、熊切圭介さんに1960年代の退色カラーリバーサルフィルムを拝借に行った時に、研究室内部を見せていただきましたが、フィルム保存庫、暗室、インクジェットプリンターありと、時代の移り変わりを感じました。なお、お二人は日大の写真学科でゼミを担当していたこともあったようで、当日は多くの業界関係者に加え華やいだ女性の卒業生もたくさんこられていました。そして、50年の重みのなかに、お二人のお人柄を感じさせるいい集いでした。これからもぜひ、先日の96歳いまだ現役写真家の笹本恒子さんに負けないように写真活動を末永く続けていただきたいものです。