写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ハービー・山口さんと笹本恒子さん

 2011年度日本写真協会賞の作家賞を受賞したハービー・山口さんと功労賞を受賞した笹本恒子さんの受賞祝賀写真展が東京・目黒の『ギャラーリーコスモス』で7月24日まで開かれています。ハービー・山口さんは1950年生まれ、大学を卒業してから渡英して10年間をイギリスで過ごし、帰国してからミュージシャンなどを撮影するかたわら人々に希望を与える写真を撮りたいと、主に若者をテーマに撮影するのをライフワークとしています。一方、笹本恒子さんは1914年生まれで96歳。日本人最初の女性報道写真家で、昨年秋にもニューヨークに出向き、現地の日本人女性を取材するなど、今も現役の写真家です。
 写真展開催にあたり、「話題騒然!! 96歳にしていまだ写真を撮り続ける、その感性と健康の秘密が今夜、解き明かされる」、と題した“ハービー&恒子のトークショー”が7月13日に開かれたので、写真展を見て、トークショーも聞いてきましたので簡単に報告しましょう。

 当日は、ハービー・山口さんが聞き手に回り、笹本さんの健康の秘訣と写真との関わりを聞き出すことに終始しましたが、予定の時間をオーバーして聞くことができました。もともとハービーさんはディスクジョッキーもこなすほどにトークのベテランですが、当日は女性であり大大先輩を前にしたせいでしょうか、今までになく緊張してあがっていた感じです。それによると、笹本さんは、25歳ぐらいまでが一番物事を吸収できた、25歳で撮影の世界に入った、ライカDIIIを杉並の地所を売って買った、80歳まではテニスをしていた、もともと低血圧だったけど毎日170ccポリフェノールの多い赤ワインを飲まれ、肉食もOK、などなど楽しい話題を聞き出しましたが、トークショー最後の質問では、翌日、ハービーさんにCDのジャケットを撮影してもらうという歌手の由紀さおりさんが、飛び入りで質問というようなハプニングもありました。由紀さんは、お二人はこれからどのような写真を撮っていきたいのですか?という質問で、ハービーさんは今までと変わらずに人々に希望を与える写真を、笹本さんは今までは有名な人を多く撮ってきたが、これからは無名でも一生懸命いい仕事をしている人を撮りたいと、抱負を語りました。笹本さんは終始にこやかに、素晴らしいお二人のトークショーでした。