写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「CP+2011」 祭りの後


国内最大級の写真・カメラの祭典である「CP+2011」が2月9日から12日まで、パシフィコ横浜で開かれました。会期中は雪がちらつく日もありましたが、事務局の発表では、延べ49,368名の入場者を得たと言うことですから、なかなかの入りのようでした。僕自身は、初日のパネルディスカッションのコーディネーターを仰せつかったこと、毎日会場にいるとさまざまな人に会えるので、1日も欠かさず、開館から閉館まで詰めていた関係もあり、こちらのブログ更新も「祭りの後」ということでご勘弁いただきましょう。さて、今年の傾向はどんな感じかと言うことですが、新製品としては昨年9月のフォトキナ、今年1月のCESの範囲から大きく抜き出たものはなかったように思います。
そのような中でも、僕的に注目したのは、レンズ交換式デジタルカメラの交換レンズマウントの仲間作りが、水面下で進んでいたのが、一気にこの時期表に吹き出したということです。マイクロフォーサーズグループが、従来からのオリンパスパナソニックに加え、交換レンズメーカーとしてコシナフォクトレンダーが参加していたのに対し、シュナイダーとカール・ツァイスが新たに加わったのです(ちなみにマイクロフォーサーズフォーサーズと撮像素子は同じでも、その他マウント寸法形状などの規格は異なるわけでして、別規格となるわけです。したがってシグマはフォーサーズには賛同していてもマイクロフォーサーズには参加していません)。一方、ソニーのNEX用のEマウントには賛同メーカーとしてカール・ツァイスコシナ、シグマ、タムロンが加わったのです。ソニーEマウントの無償技術供与は4月1日からとされていますが、すでにシグマ30mmF2.8、タムロン18-270mmが参考展示されていました。シュナイダーとカール・ツァイスがこの分野に顔出したのは、明らかにHD動画を意識したことであるわけですが、すでにソニーではNEX-VG10パナソニックではAG-AF105をそれぞれのマウントを採用した業務用専用機として発売しているわけですから、両社の今後の展開が見物です。会場内で気になったのは、この手のミラーレス機やハデなペンタックスのカラーボディを持っている人がかなり目についたことです(もちろんキヤノンニコンの普通の一眼レフを持っている人は多いのですが)。カメラを持参したら何かをもらえたようで、とくにオリンパスペンが多かったです。
そしてなによりも目についたのが、カメラを持った女性客が例年に増して多かったのです。これは、開催に合わせてテレビ、新聞などが「カメラ女子」というような形での紹介が多かったことに加え、かなりの社が女性層をターゲットに商品開発を行っていることも影響ありそうです。

さらにもうひとつ気になったのが、プリントでなくディスプレーで写真を見せようとしている社が多くなったことです。ざっと見た感じでは、そのようななかでもペンタックスが645Dで、富士フイルムがFinepixX100で大型プリントを見せていたのと、シグマがオーソドックスに、カシオが絵画的に大型プリントを見せていたのと、パナソニックレンチキュラー式の3Dプリントをさりげなく置いてあったのが印象的でした。
ところで、今回の展示に合わせて「電子カメラ誕生30周年記念展」と称して、日本カメラ博物館では1981年に発表されたアナログ記録のマビカ試作機から最新のモデルまでを展示しましたが、今までになく反響を呼びました。特にマビカ試作機は、表にでたのは初めてとあって、会場内のコンパニオン嬢以上に熱く多くのシャッターが切られました。
次回は2012年2月9日(木)〜2月12日(日)にCP+2012がパシフィコ横浜にて開催される予定だそうです。