写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「ニコンレンズ→ソニーボディ」 ユニバーサルマウント時代の到来か

 ユニバーサルマウントとは少しオーバーですが、フランジバックの短いミラーレス機の登場により、各種マウントアダプターが用意され、古典レンズが注目されだしたのは、「パナソニックG1」の発売された2008年からのことでした。以来、APS-C判、フルサイズと大型撮像素子に向けて数々のマウントアダプターが登場しましたが、最近では中判ミラーレスの「フジフイルムGFX 50S」用のマウントアダプターがカメラ発売後約1週間でサードパーティーにより試作発表され、さらには過去の中判AFカメラのコンタックス645交換レンズ用のGFX 50SマウントアダプターがAF対応で発売されるなど、ますますオーバーヒート気味な気配を見せています。
 もともとマウントアダプターは、基本的にはマニュアルで対応していたのですが、最近ではAFにも対応して登場してきたことです。古くはソニーが2012年のNEX時代に“マウントアダプターLA-EA2”を発売したのが最初です。αマウントレンズは、絞り作動は機械的なレバー式、AFは機械的なカプラー回転方式なのです。これに対して、NEXは完全な電子マウント方式なわけですからその機械的な動作をすべて電子マウントへ変換するという優れものです。さらに最近では「マウントアダプターLA-EA4」のようにミノルタα時代の交換レンズを含むソニーAマウントレンズを、ソニーのフルサイズミラーレス機用のFEマウントに対応するものも発売されています。これらはすべてソニー間機種の互換を測ろうというものですが、中国製には『コンタックス645AFレンズ⇒キヤノンEFボディへのAF対応マウントアダプター』もありました。
 また最近では、シグマのキヤノンEFマウントとシグマSAマウントの交換レンズをソニーα7・α9シリーズにAF対応するマウントアダプター「シグマMC-11」が発売されました。これらシグマMC-11とコンタックス645レンズ用AF対応マウントコンバーターは基本的に完全電子マウント同士だから可能となるのです。もちろんソニーのように絞りレバー、AFカプラー動作を完全電子マウント情報化することも可能なのですが、ソニーとまでいかなくても、最近はニコンペンタックスも完全電子マウント化したシリーズをだすようになり、やがてはこれらの社の交換レンズとミラーレス機がAE・AF対応で相乗りができるのではと考えていましたが、焦点工房から「Commlite CM-ENF-E1-PRO」というニコンソニー用のAE・AF対応のマウントコンバーターが発売されたので、さっそく使ってみることにしました。

≪左:Commlite CM-ENF-E1-PRO、右:CM-ENF-E1-PROをα7RIIに装着。電子接点が8カ所と絞り羽根動作用レバーはついているが、AFカプラーはついていない≫

≪今回、動作確認したニコンマウントAFレンズ。左から、AF-Sニッコール24〜120mmF3.5-4.5G(絞りのみレーバー作動)、AF-Sニッコール24〜70mmF2.8E ED VR(完全電子マウント)、シグマArtライン50mmF1.4(絞りのみレーバー作動)≫
 最初は初期のAFカプラー付きの交換レンズを用意して、Commlite CM-ENF-E1マントアダプターを介してソニーα7IIに装着しましたが、ピントだけうんともすんともいわないのです。すぐに、AFは電子接点だけになったAF-S以降のレンズだけだけが対応することがわかりました。つまりレンズ駆動元をボディ内でなく、レンズ内駆動とし、絞り羽根の駆動は、機械的なボディ側のレバー式とレンズ内の電子駆動式なら対応するのです。このあたりは、すでにタムロン、シグマも絞り羽根を電子制御式としたニコンFマウントの完全電子マウント方式の交換レンズを発売していますが、これからは純正、交換レンズメーカー製とも完全電子マウントの交換レンズが徐々に増えてくると思うのです。
 さて実際に使ったレンズでは、AF動作、AF確度はどうだろうかということになりますが、そのあたりは特に目立つことではありません。AF精度は合焦してピントが合うという点では、特に問題はありませんでした。この点に関しては、AF追随のスピード感も含めて、ピント精度に関しては原理的にはピントが合ったらシャッターが切れるわけですから、特に違和感なく使えました。唯一、ポートレイトなどで有効な瞳AFの機能は3本とも使えませんでしたが、このあたりはレンズ側の問題というよりは、事実上Commlite CM-ENF-E1マントアダプターの側に原因がありそうですので、いずれファームウエアのアップで可能となればいいわけで、大いに期待したい部分です。とはいっても、同じサードパーティソニーFEマウントの「サムヤン35mmF2.8」では瞳AFが使えるのですから、やはりマウントアダプター側の問題なのでしょう。
 この種のマウントアダプターでは、ミノルタα時代のレンズをソニーαFEと同様に使えるようにした「マウントアダプターLA-EA4」と、戦前からのライカレンズをソニーαシリーズでAF撮影を可能とした「Techart」のマウントアダプターが僕の考える最高傑作だと思うのです。まさに完全電子マウントの恩恵といえるわけです。余談ですが、今回の確認撮影は写真仲間のHさんと行いましたが、一番古いAF-Sニッコール24〜120mmF3.5-4.5Gでα7RIIのシャッターを切った後、「オッ輝いて見える!。そうなんだよね、いつもそう思うの」となりましたが、クラシックレンズ装着の割合が高いからそのように感じたのでしょうか。 (^_-)-☆