写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

すさまじい「シグマfp」の反響

シグマが11日に発表した「シグマfp」へ、私が書いたFB記事への反響はすさまじいものでした。

私が書いたのは、

やるねシグマ。
エキサイティングだ。

との2行と、以下に示すような写真を4枚(ここでは3枚)載せただけでした。

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≪シグマのデジタルカメラは、今までは一貫してフォビオンイメージセンサーだったわけですが、今回ベイヤー配列センサーを使うということなのです。それぞれの違いは、色情報取り出し技術の違いであって、ここでは詳細を触れませんがベイヤー方式とは1974年にコダック社のBryce E Bayerさんが考え出したフィルター配列の方式です。フォビオンは独特の色づくりで、RGGBRと4画素の組み合わせから色情報を取り出すベイヤー方式とは異なり、1画素からRGB3色を取り出すために鮮鋭度が高いのが特長です。この方式が独自なために使いこなしは難しいのですが、色調を含め独特な再現であるだけにファンも少なくはありません。そしてこの「シグマfp」をFBに掲載したら、アクセス数161件、コメント75件(7月19日現在)と他社のフルサイズ機の発表をこの場に載せたときの数を大きく超えているのです、特にここ1か月の間では「ネオパンアクロス100Ⅱ」を載せたときもアクセス数が大幅にアップしたのですが、さらにそれを超えたのです。ところが、さらにこの「はてなブログ」のカウントターが、11日以降「シグマfp」への記述が一言もないのに、アクロスの時を3倍を超えたのです。これは、まずい、皆さん期待しているのだということで重い腰を上げて、「シグマfp」の記事を書くことになりました≫

 このベイヤー方式に関しては、数年前にこの関係のことを記述した私のブログを読んだアメリカ在住のBryce E Bayerさんのご子息であるDoug Bayerさんが、わが家は古くから“バイヤーと呼ばれていると発音記号までつけて知らせてきて、これからはバイヤーと呼んで欲しいというのでした。ところがDoug Bayerさんは、最近バイヤーでもベイヤーでも気にしないと、改めて私に知らせてきたのです。そこで今回後は、ベイヤーで通すことにしました。

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 ≪イメージャーサイズは35mm判フルサイズ、つまりライカ判です。2,430万画素の裏面照射型CMOSセンサー、マウントはライカカメラとパナソニックと3社協業のライカLマウントです。フルタイム電子シャッターということは、機械式シャッターが使われていないということで、常時サイレントシャッターとなるわけで、作動は、B.30~1/8000秒。どこのセンサーを使っているか明言されていませんが、世界で広く流通している社のものなら価格も抑えられ、安定した性能であると考えられます。写真はいずれも、約1時間にわたりステージ上で新製品を解説するシグマ・山木和人社長≫

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≪大きさ112.6×69.9×45.3mm、重さはバッテリー含めてボディ単体で442gということでこの時点で、世界最小・最軽量のフルサイズボディのだそうです。ボディに装着されているのは同時に発表された「45㎜F2.8DG DN|Contenporay」で、Lマウント、ソニーEマウント用が7月26日から75,000円で発売されます。このレンズ、鏡胴中央あたりに絞りリングがあり、1/3刻みで目盛りが振られ、最小絞りF32の隣に“A”ポジションがあります。この写真からはすべては見えませんが、カメラ保持用の吊り金具の取り付け位置が3カ所あり、それぞれが三脚ネジ穴となっていることです。さらに放熱用の溝穴がボディ本体と背面液晶の間に組み込まれていて、このカメラの性格を大きく表しているようです。なお今回の発表会で触ったfpのボディはシリアルナンバー585と586でした。いずれも量産試作の段階でしょうが、物理的な部分の仕上げというよりファーム的な仕上げの段階に入っているなという感じでした

 このボディを見た人からはさまざまな印象が発言されました。①ローライ35に似ている、下面にストロボのホットシューが付いているのだろうか、②GoProをレンズ交換式にしたものではないだろうかという考えが、第1声として聞こえてきました。どちらの考えも確かにそうかもということになりますが、この2つの考え方が「シグマfp」の性格を現わしていることなのです。つまり、①のローライ35的と見た人はスチル派であり、②のGoPro的と見た人はシネ派だと私は思ったのです。

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≪さらにトップカバーのCINE・STILL切替スイッチの左右配置を見たときに、シネがメインにあるいった人がいましたが、私から見るとスチルがメインポジションにあると考えるわけで、このどちらともとれる操作部材の配置がこのカメラの性格そのものだと思うわけです≫

 なお、会場にあった45㎜F2.8付きボディをマニュアルフォーカスで操作し、背面のボタンを押し込むと、4倍、8倍と拡大表示されましたので、ライカM⇒ライカLマウントアダプターを使えば、クラシックライカレンズもイメージャーが裏面照射タイプCMOSであることも手伝って、大いに期待できます。

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≪スチルの場合は、2,430万画素フルサイズということでだいたいのことはわかるのですが、シネの場合は上の写真に示されていることがすべてを物語るのです。ここではあえてそれ以上の解説を避けまが、実は私はスチルカメラ派なのです。このfpのカメラの作りを見ると、これからはそうはいかなく、しっかりとシネの事にも理解を深めなくてはいけないぞと思うわけです≫

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≪スチルではフルサイズに対しAPS-Cサイズがあるのに対し、シネではフルサイズのfpは7種類のフォーマットをカバーするので、さまざまなフォーマットに合わせて設定すれば、さまざまなアングルやシーンを確認できるディレクターズビューとして使えることになるそうです≫

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ヒートシンクの効果を示すボディ本体の放熱分布のサーマル画像

 もう1つ私が注目したのは、この画面を見せながら山木社長はシグマfp”の3Dデータをサードパーティーに提供するといったことです。昨今の情勢からすると、富士フイルムがGFXシリーズをシステムアップするときに中国のマウントアダプターメーカーを巻き込んだのと同じように、1社でシステムを組み上げていくのは、開発力、時間的にも難しく、いかに周辺機器メーカーを抱き込むか、仲間づくりが大切なわけです。

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≪日本での発表は7月11日でしたが、翌12日には中国北京で発表会が開かれました。その時の画像ですが、日本の発表会では日本のパスポートとの大きさ比較でしたが、北京での発表は中国のパスポートを使うなど芸が細かいです。右の写真からわかるようにすでに中国企業とのマウントアダプターのコラボはできているようで、今後はライカLマウントアダプターの価格が日本のカメラ並みになるかどうかも普及への足掛かりとなります(画像は焦点工房のページからもらいました)≫

 今回のfp発表時のメーキング映像を見ていると、なんとなく制作は中国のプロダクションで行われているのだろうと思わせます。それは2018年の「ニコンZシリーズ」の発表時もそうでしたし、加えて「キヤノンEOS R」の中国での先行発売、さらには2017年4月の北京でのChina P&Eでの「ソニーα9」の世界に先駆けた実機によるタッチ&トライの実施など、例をあげればたくさんあります。これらは、明らかに中国がカメラや交換レンズなど製造の国から市場として大きく育ってきていることを意味しているのではないでしょうか。

 ■終わりに

 シグマは、この時期交換レンズを前掲の45㎜F2.8DG DN|Contenporayに加え、35㎜F1.2 DG DN | Art(Lマウント、ソニーEマウントを7月26日、190,000円)、14~24㎜F2.8 DG DN|Art(Lマウント、ソニーEマウントを8月下旬に190,000円)を発売します。これらライカLマウント、ソニーEマウント交換レンズの発売は、アライアンスグループ、さらにはソニーにとっても仲間づくりという視点からは大きな援軍ということには間違いないと考えるのです。そして、今回のfpボディに発表は、アライアンスグループにとっては、ライカという敷居を下げることができる材料となるかどうか? 価格を含めて、今秋発売までの大きな楽しみとなるわけです。

 さらには、Lマウントのフォビオンフルサイズセンサーボディを待つユーザーもいることをお忘れなくと、お願いします。