写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

シグマ20~200㎜F3.5-6.3DGを使ってみました

 私の知る限りスチル用高倍率ズームの先行機種は、1992年発売のタムロンAF28~200㎜F3.8-5.6だったと記憶してます。あれから33年経ったいま、各社から高倍率ズームは当たり前のように発売されていますが、わがスポンサー氏は最近シグマの高倍率ズームがお気に入りで、5月には「シグマ16~300mmF3.5-6.7DC OSコンテンポラリー」を購入したのに、この9月には「シグマ20~200㎜F3.5-6.3DGコンテンポラリー」を購入しました。発売から、実使用でスポンサー氏が海外撮影に行くまでの限られた時間に撮影して、レポートを仕上げるというのが私の役割で、お互いの役割分担なのです。ということでシグマ20~200㎜F3.5-6.3DGの使用レポートです。

シグマ20~200㎜F3.5-6.3DGはソニーα9Ⅲボディで使ってみました

《超広角20㎜時と200㎜時の鏡胴の伸び》マウント基準面から、20㎜で117㎜、200㎜で187㎜の長さがある。実際は、フードが加わるのでもう少し長くなる。右:ズームリングのロック機構とAF・MFの切替えSW。ズーミングは回転方式で、複雑なカム機構のおかげでしょうかやや硬めですが、鏡胴の自然落下はありませんでした。

《レンズ前面の銘板》今までのシグマレンズもそうだったのかもしれませんが、レンズ前面の銘板の文字は黒地の中に黒い文字でプリントされていて、近接時の文字の映り込みを避けるためでしょうが、心憎い配慮です。

●さまざまな場面で撮影しました

 いつものように、実写してみました。なお今回はカメラでなく、レンズ単体の使用記となりますので、定例の英国大使館正面玄関のカットはありません。

《早朝窓の外は晴天》焦点距離:20㎜、F8・1/250秒、ISO-Auto250、-0.7EV。使用ボディはソニーα9Ⅲですが、20㎜最広角でもディストーションはあまり感じません。このボディでは、そのままでレンズ歪曲補正がONとなるようです。同じソニーのα7RⅣだとレンズ補正で歪曲はOFFとなっていて、最新のα7RⅤやα1Ⅱなどの最新機種では自動でONになるようですが、使うボディによってはOFFになっているのもあるようですから、歪曲が気になる人はあらかじめチェックが必要です。なおLマウントアライアンスのボディではレンズ補正ONが基準です(鳥取皆生温泉

《上田正治写真美術館から見た大山》焦点距離:32㎜、F8・1/640秒、ISO-Auto250。美術館入口の塀を入れて撮りましたが、直線性が良いのがわかります。これで3回目の訪問ですが、ここまで青空だったのは初です。(鳥取伯耆町) 注)11月26日~30日までJCIIクラブ25で開かれる「かもめの会写真展」には、シグマ20~200㎜レンズを使った伯耆富士(大山)のバリエーションをA3ノビに引伸ばしてお見せします。ここ数年の間で新しいレンズで写真展に出展するのは初です。

《塩谷定好写真記念館を望む》焦点距離:20㎜、F7.1・1/125秒、ISO-Auto250。VPKによるフード外し、デフォルメした海の写真など、芸術写真、モダンフォトグラフィーとして新興写真の写真家として近年注目を集めている塩谷定好写真記念館が最近再開されたと聞き訪れました。廻船問屋の家に生まれた塩谷は、自宅を写真館として改造しました。かつてこの自宅前は海だったということで、道は狭いですが、その感じを写すのには20㎜の画角はちょうどよかったのです(鳥取琴浦町

《洋上の風力発電焦点距離:200㎜、F8・1/1000秒、ISO-Auto250。鳥取をドライブしていると洋上で風力発電している風景を見かけます。荒波の向こうをゆっくりと回る風車を200㎜の望遠側で引張って狙ってみました。この大きさからでも、はるかかなたの風車を見ると微細な描写がうかがえます。

《魔女の花子》焦点距離:200㎜、F6.3・1/2500秒、ISO-Auto640、+1EV。最望遠の200㎜で撮影しましたが、近接撮影であったので、背後の路面と植栽のボケ具合を見るとムラなく描写されています(鳥取境港市 水木しげるロード

《白いダリヤ》焦点距離:20㎜、F8・1/1000秒、ISO-Auto250。関東地方にしては久しぶりの青空でした。空の青さに加え、花が白いからでしょうか、背後の樹木のつぶれが気になります。これはボディ側の問題でしょうが(群馬・安中市

《白いヒマワリにミツバチ》焦点距離:200㎜、F8・1/250秒、ISO-Auto250。200㎜側の最短65㎝でマクロ的にミツバチを狙ってみました(群馬・安中市

《銀杏並木》焦点距離:200㎜、F6.3・1/250秒、ISO-Auto250、+0.7EV。イチョウの葉がが黄葉していると聞き訪れましたが東京の神宮よりは木が若いので、遠くから200㎜の圧縮効果を期待して撮りました。銀杏の実も落ちてましたが、小ぶりでした(埼玉・秩父市ミューズパーク)

《左甚五郎の彫った竜》焦点距離:140㎜、F6.3・1/160秒、ISO-Auto400。2年ほど前に改修してましたので、色鮮やかです(埼玉・秩父神社

《陸・海・空 自衛官募集》焦点距離:23㎜、F8・1/400秒、ISO-Auto、-0.7EV。独特なデザインと、色褪せた感じが良かったのですが、レベルを補正したら普通になりました。テープが残った部分もなかなか雰囲気ありました(埼玉・秩父市番場通り)

●高倍率ズームレンズは夢だった

 かつて、最初の高倍率ズームレンズが発売されたときに、“高倍率ズームは夢だった”タイトルというタイトルで記事を書いたことがあります。今回の20~200㎜ズームは、33年前と異なり、フィルムでなく、デジタル専用のレンズとして設計されています。今回はご近所でなくて、あえて旅行に帯同しました。そのメリット、さらに画質の向上は、素晴らしいものがありましたが、あと5年もすれば手振れ補正が入り、より望遠側に伸び、小型・軽量化されるのでしょうか。

 個人的にはぜひそうあって欲しいと思うのです。そんな要求を出すと、無茶言うな、技術がわかっていないと、いわれるかもしれませんが、スチルで高画質でここまで来たのですからより要求は高くなるの当然で、それに応えるのが開発技術者であると思うのです。既存の技術の上に企画したのではそのようなことはできないのです。

 ミラーレス一眼になって、さまざまなメリットがでてきました。しかし、その一方で、いわゆる準標準的な画角でパンケーキレンズはできていないし、名前はパンケーキでも焦点距離が超広角であったりと、まだまだです。これらを打ち破る技術開発は望めないのでしょうか、おおいに期待したいのです。

 さて今回は、レンズだけに言及するつもりでしたが、使ったボディに少し気になる部分がでてきました。ソニーα9Ⅲは、フルサイズで2400万画素のボディなのですが、島根県である名所を撮ろうと現地に出向いたら、望遠200㎜ではまったく足りないのです。そこでAPS-Cモードにすれば300㎜画角になるのではと思ったのですが、でも画素数が増えるのでなく、デジタルズーム的にクロップ撮影をするだけですので、画質的には変わらないのです。つまり、同じソニーならα7Rシリーズを使えば6100万画素となるわけで、トリミングしてもそれなりの画素数が期待できます。悔やんでも後の祭りということになりました。

江島大橋焦点距離:200㎜、F6.3・1/250秒、ISO-Auto320。α9Ⅲ(2400万画素)。200㎜でこのくらいですから視覚的にこの被写体を見つけるのは大変です(島根県

《トリミング後の江島大橋トリミングしてやっとこの大きさだから、高画素機ならと思うわけです

 もうひとつ、気になるのはグローバルシャッター機能のついたα9Ⅲですが、「写真にこだわる」レポート時にも書きましたが、何となくシャドーがつぶれ気味というかダイナミックレンジが狭いのではないかというのを再度実感しました。これに関しては、某ISO規格担当者から、そんなのでダイナミックレンジが測れるかと強い叱責を受けましたが、改めてその思いを強くしました。

 そして、わがスポンサー氏からは、近々フルサイズで1億画素機がでるはずだから、それを買えばだいたい完成の域に達するので、楽しみだと連絡を受けました。トリミングを前提としなければ、2400万画素でもA3ノビクラスは十分にカバーするでしょうが、1億画素となればレンズの焦点距離変化に加え、さらにクロップを前提とした新しい撮影法が生まれてくるのではないかと想像する次第です。

●終わりに

《レンズケース》シグマといえば、かつては、重々しい頑丈で立派なレンズケースが付属していましたが、今回からは右のような黒い袋が付属していました。布地には新しいシグマのロゴマークが黒光沢でプリントされています。必要以上の過大ケースも困りましたが、携帯性も良く、これで十分なのでしょう。昨今の時代に食品などは、小さい梱包になったり、量が減って、さらに値上げという状況ですが、レンズやカメラはそのような対応はできませんから、本体はあるレベルを保ちながら、パッケージや外装を簡略化して、コストダウンというのは当然のことですね。  (^^♪