写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ライカM9で軟調描写を楽しむ

デジタルで現代のベス単フード外しの描写に挑戦しましたが、かなり自分の描いていたイメージに近いものが撮れて満足しています。そういう時は勢いで、一気に類似した部分の描写も確認してみたくなるものです。
ということで、ライカでの軟調描写に挑戦してみました。ライカ用の軟調描写レンズとしては「タンバール90mmF2.2」が有名ですが、何分にも稀少で高価であることから僕の手元にはありません。そこで用意できたのが1932年に発売された「ヘクトール73mmF1.9」です。そもそもライカ軟調描写に関しては、さる6月30日にライカカメラ社のオーナーであるDr.カウフマン氏が、JCII講演会での席上、熱烈なクラシックカメラ愛好家・大坂純史さんの“タンバールは作らないのですか?”という質問に答えて、デジタルではタンバールの描写は再現できないというような発言をしたことも、ライカM9軟調描写を試してみようと考えた理由のひとつです。
さて結果のほうはどうでしょう。ベス単のフード外しがもともとカメラ(レンズ)のもつ光学性能に対し、フード(絞り)を取り外すことにより、故意に画質を劣化させた独特の描写特性を楽しむというものでしたが、ヘクトール軟調描写は、レンズ性能そのもので軟調な描写をするというもので、タンバールのように周辺の光量だけを使う特殊フィルターが用意されているというものとも違うものです。その描写結果は、いつものことですが京都メディアジョイのサイトにアップしました。ぜひ、ごらんください。