写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

新緑といえば赤外線写真ですね

連日寒さが続きますが、もう春のはずです。そして世の中にはいろんな方がいらっしゃるのです。ここに紹介する写真は前回の“写真のプリント”で紹介した神原武昌さんが撮影したデジタルカメラでの赤外線写真です。神原さんからは『小生の生涯テーマの魚眼レンズで覗いた赤外の世界の拙作をいつかお送りいたします。本日撮影のホヤホヤの作品です。撮影地は横浜妙蓮寺近くの菊名池です。Nikon D40+Fisheye Nikkor10.5mmF2.8+Fuji IR76 filter使用。露光データは絞りF8、1〜2Sec。カンピュータと、試行錯誤の手探りで、レンズの無限大位置と、適正露出を探り出してマニュアル撮影してます。メーカーによって、無限遠が出る位置がそうとう違うようです。』とメッセージをいただいています。もともとフィルム時代は「サクラ赤外750」を愛用されていましたが、製造中止後は一時期ローライの赤外黒白フィルムを使われ、結局、こだわりというか、根性なのですね、ニコンD40を購入した後、APS-C判専用のフィッシュアイレンズも購入され、いつのまにかデジタルでの赤外線写真撮影法を確立されていました。


『池の底から春になると睡蓮の葉が伸びだして、どんどん広がります。モノクロ赤外(上)とカラー赤外(左下)で撮影したものをお送りしました』

『池畔の雑草が太陽光の赤外光を反射して、白く写ります(右)』
デジタル一眼レフカメラには、撮像素子の前にUV/IRカットフィルターが付いているので、赤外光はカットされているのでは?とお考えの方はなかなかの知識です。でもわずかな漏れがあるようですね(ニコンD40だけがというわけではありません、他のカメラも同様のようです。念のため)。そこを利用するために露光時間が1〜2秒かかるようです。僕の経験では、シグマの一眼レフSDシリーズはUV/IRカットフィルターを自分で簡単に取り外せるので、もっとハイスピードでの撮影ができ、手持ち撮影が可能です。富士のIR76フィルターはヨドバシで1,000円弱だったと思います。そしてフィルターをどこに付けるか?レンズの前に付ければいいのですが、IR76フィルターは波長760nm以上を透過するので、人間の目には見えませんので、ファインダー視野は暗黒です。一眼レフでなく、ライカを使ったらいいのではとも思うわけですが、それにしても、赤外域を利用すると焦点移動が発生するので補正を必要とするのは、フィルム時代も同じですね。