久しぶりの青空に恵まれた3月3日、豊島区染井霊園にある日本における写真師の始祖“下岡蓮杖”のお墓参りにいってきました。主催は「下岡蓮杖を偲ぶ会」(代表 成瀬正和さん)で、僕をこのような会に誘ったのは写真業界の大先輩である佐藤智英さんです。おつきあいはもうかれこれ40年にもなりますが、佐藤さんは元日本ポラロイドでOEMを担当されて来られた方で、知る人ぞ知る業界の名物男です。午前11時少し前、JR巣鴨駅改札で佐藤さんと待ち合わせて、歩いて5分ほどで霊園に到着。偲ぶ会に参加の方々は、予め決められた霊園入り口のお茶屋さんに集合、そこで皆でそろってお墓まで行きました。集まったメンバーは20数人、下岡蓮杖が写真師であったことから、営業写真館関係の方が多かったようですが、古写真研究家、写真好きの方、下岡蓮杖親族関係の方と多彩で、写真には関係なくとも集うのは自由だそうで、毎年同じ日の同じ時間に集合して、今年で97回を数えるというのですから歴史もあります。お墓に着くと、お花をそえ、皆それぞれ思いをもって焼香して合掌。その焼香場面とポーズをとって1枚ずつ写真を幹事さんが撮影してくれるあたりは、さすが写真師のお墓参りです。各人の焼香が終えると、参加者全員で記念写真を撮影というわけで、終始和気藹々としたなかに進行しました。墓参が終了すると、白山道りをはさんだ巣鴨とげぬき地蔵の近くのそば屋さんでお昼をとってそれぞれの自己紹介や蓮杖に関するお話しをして散会となりました。
僕のここでの発見は、墓前に絵の複写を持参されていた靖国神社の学芸員の方に聞いた、蓮杖は写真師であると同時に画家であったことです。上の絵画は1869(明治9)年に連杖が53歳の時に和紙に描いた『箱館戦争図巨大油絵』と名づけられた573×203cmのパノラマ画作品です。この作品は戊辰戦争の箱館陥落寸前の明治2年5月10日の場面だそうで、画面左に炎上する「五稜郭」、中央に官軍戦艦「朝陽」、右側に砲撃する幕府戦艦「幡龍」が描かれているとのことです。この絵画は浅草で開催された見せ物興行で展示された作品の1つで、その後靖国神社の遊就館に展示収蔵されていて、2009(平成21)年の靖国神社御創立140年記念大祭のときに修復され、改めて現在「遊就館」に展示されたとのことです。
この場でもうひとかた興味あるお話しを伺いました。佐藤さんの知人で、横浜の社団法人「進交会」の南信一郎さんという方にお会いしたのですが、再来年の2004年は下岡蓮杖生誕から150年だそうですが、それを記念して横浜の馬車道にある「下岡蓮杖記念碑」(写真左)をテーマにし一大イベントを行うというのです。何でも、そのときは写真業界の最大イベントである『CP+』も時を同じにして開催されるそうです。今年のCP+をどう乗り切るかなどと考えている僕ではありますが、写真業界のイベントは来年も再来年もしっかりとレールは敷かれているようです。
僕としては、まずは横浜での第1回を頑張ることが大切ですね。