写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノンRF600mm F11を使ってみました。≪進化するレポートVer.01≫

 キヤノンからEOS R5とEOS R6の発表に合わせて、“RF600mmF11 IS STM”と“RF800mmF11 IS STM”が発表され、7月下旬に発売が開始されました。実は当方すでにキヤノンミラーレスの「EOS R」と「EOS RP」を購入してきたので、「EOS R5」はスルーすると書いたのですが、わがスポンサー氏が長年続けてきたのに休むのは良くないというので「EOS R5」とRF15~35mm F2.8 L IS USMを求めてレポートしましたが、さらに「RF600mmF11」は面白そうだからこちらも使ってみてくださいというのです。ということで、「RF600mmF11」と「エクステンダーRF1.4」を注文したのですが、なかなかエクステンダーRF1.4が来ないので、しびれを切らしてということもありますが、あまり時間がかかると熱が冷めてしまうので、とりあえずレンズだけ引き取ってきました。

 そこで600mmF11を手にしたので、進化するレポートとしてアップしました。ご覧ください。

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≪EOS R5ボディに装着したRF600mmF11 IS STM≫ まずはボディであるEOS R5に取り付けてみました。このレンズのテクニカルな面は後述しますが、沈鏡胴を採用していて小型・軽量なのです。写真は撮影状態、つまり沈胴を引伸ばして撮影状態にあります。この状態で手に持って構えてみるとハンドリングも良く、何を撮ろうかと考えました。

■超望遠で何を撮ろうかな

 この時点で考えていた被写体は、動くもの、ステージ、花などを思いながら、外観写真と「何を撮るかな?600mmF11」と書きFaceBookに載せると、瞬時に「とりあえず月を」撮ったらと返信が、ある写真大学のS先生から返事をいただきました。なるほどです、その日は中秋の名月の翌日10月2日なのです。 早速、あれこれ設定を考え、わが家のベランダから撮影したのが下の写真です。この時期は、アマチュアから専門家まで多くの方が月の写真をアップしているので、皆さんのと比較してみると、かなりベテランの方が撮影したのに近い月の画像が1発目から撮影できたのです。これは驚きでした。実際下に載せた写真は、2回目に撮影した結果ですが、大きく変わるところはありません。先生に提案をいただいてからわずか5分ぐらい後のことでした。

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中秋の名月+1日≫ CAF、マニュアル露出、F11・1/2000秒、ISO 1000、AWB、手持ち撮影、レタッチソフトによるプラス側にトーンカーブ補正。最初は、CAF、絞り優先AEで、ISO-AUTO、-3EV露出補正で撮影しましたが、露出はオーバーでした。このためトーンカーブ補正で上に掲載したのと同じように見れるようにしましたが、もともとオーバーオーバー気味の画像を適正にするためにトーンカーブ補正を行うと、場合によっては白飛びする部分もでてくるだろうと、2度目の撮影では露出設定をすべてマニュアルにして、わずかにアンダーになるように露出を与えたのが上の写真で、オーバー側にトーンカーブ補正してあります。

 この月が撮像素子に写る大きさは、焦点距離600mmだと直径約6mmに写るので、同じ焦点距離ならAPS-C、マイクロ4/3、1型でもみな同じですから、撮像素子の寸法が小さくなるにつれて、徐々に周辺の黒いスペースが消えていくというわけです。ただ、エクステンダーを使って焦点距離を変えると、1.4倍のエクステンダーでは840mmで8.4mm、2倍のエクステンダーでは1200mmとなり月は撮像素子に直径12mmの寸法で結像することになります。合焦点までの距離はExifには4294967295mとでました。中秋の名月の場合は地球から月まで約40万kmとされていますから、測定誤差の範囲かわかりませんが、昨今のカメラはすごいとなります。せっかくですから、今回の作例には合焦ポイントまでの撮影距離データをすべて掲載することにしました。

 さてこの月の写真が、カメラを構えファインダーをのぞいて押すだけで簡単に写ったのは驚異です。まさにこれがF11という暗いレンズであり、ファインダーは暗さを感じさせなく、AFに連動し、高感度に強いデジタルのミラーレス一眼ならではのことであり、さらにレンズ側とボディ側の協調により5段もの手振れ補正効果を得られるというEOS R5とRF600mmF11 IS STMでの成果であるわけです。どうしてCAF(コンティニュアスAF)モードで撮影したかというと、手持ち撮影で600mmという焦点距離では、手振れ補正が働くこととは別にして、たぶん小刻みに揺れているだろうと考えたからで、ONE SHOOT AFでは決められないと思ったからです。なお撮影はカラーで、ホワイトバランスはAUTOにしての撮影であって、モノクロ変換はしていません。

■小型・軽量の超望遠

 月の撮影が大変うまくいったことに気をよくして、実は翌日に朝から20分ほど屋外で撮影してみましたが、あっという間に面白い写真が複数枚撮れてしまいました。それをまず紹介したいのですが、ここはやはりどのような技術でこのようなレンズが製品化されたのか考えてみました。まずこのレンズは、鏡胴を沈胴式にして、光学系には2つの回折格子を密着させたDOレンズを使い色収差をはじめとした諸収差を補正すると同時に小型化を図っているのです。下には、従来のEFレンズとRF600mmF11の重量・寸法比較を示していますが、沈鏡胴とDOレンズの採用、さらには最大口径がF11であることに加え、鏡胴のエンジニアプラスチック化を大胆に進めたためだと思うのです。DOレンズは、かつては高級品でレンズ鏡胴前部に緑色の線を入れて、他レンズとの差別化を図っていましたが、このレンズでは線を省いていますが、それだけ回折格子を用いたレンズが一般化したということなのでしょう。

 この結果、RF600mmF11単体で約930g(800mmF11は1,260g)という軽量を達成して、バッテリー、カードを含めたボディの重さ約740gを加えても1.7kg未満となり、私でも首からさげて歩くのは特に苦になることはありませんでした。実際は同様の重さのカメラを2台首からさげて歩き回りました。このレンズのもう少し詳細な技術に関しては、発表の時に書きましたのでそちらをご覧ください

 

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 ≪EF600mmF4とRF600mmF4の比較とDOレンズの配置≫  800mmF11のレンズ構成は、DOレンズの前に凸レンズを配置した形で焦点距離を増しています。それぞれのレンズに×1.4のエクステンダーを付ければ840mmF16、1020mmF16、×2のエクステンダーを装着すれば、1200mmF22、1600mmF22となりそれでもAFが働くというのです。注文して未着の×1.4エクステンダーの到着が待ち遠しいです。なお、この時期ネット上の安値実勢価格でRF600mmF11が96,000円、RF800mmF11が112,000円、×1.4エクステンダーが63,000円、×2エクステンダーが74,000円強です。

 ■いつもの英国大使館とランダムな撮影

  薄日のさす朝でしたが、それでも十分とさっそく屋外に引っ張り出してみました。最初に向かったのはいつもの英国大使館です。撮影位置は鉄柱のバリケードがあるので毎回定位置ですが、いつもなら快晴の日の朝10時15分ごろ、35mm焦点距離レンズをF5.6に絞って、正面玄関屋根近くにある紋章にピントを合わせての撮影となりますので、画角比較をされたい方は「キヤノンEOS R5を使ってみました」をご覧ください。

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≪英国大使館エンブレム≫ F11・1/640秒、ISO-AUTO 3200、AWB、手持ち撮影、合焦点まで33.2m。いつもなら画素等倍に拡大しての画面ですが、ノートリミングでこの大きさですから、さすが600mmの画角、4500万画素の質感です。当然のことですが、このF11という開放値の描写も十分満足できるものです。

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≪Snap Back Photo≫ CAF、  F11・1/640秒、ISO-AUTO 1250、AWB、手持ち撮影、合焦点まで107m。道を歩く女性の後ろ姿が素敵だったので、だいぶ先まで歩いていくのを見届けてシャッターを切りました。もちろんAFはコンティニュアスなので、女性の姿を追い続けています。手前の歩道の障害物、奥の歩道の木々や歩いてくる男性などが、圧縮感とともに程よくボケていて狙った女性を浮き立てていますます。

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≪走る自転車≫ CAF、  F11・1/800秒、ISO-AUTO 1600、AWB、手持ち撮影、合焦点まで23.2m。ゆるやかな坂を下ってくる自転車を狙ってみました。撮影距離からするとしっかりと自転車を漕ぐ、こちらに来る人物を面白いほど追いかけています。

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≪走行する車≫ CAF、  F11・1/800秒、ISO-AUTO 1250、AWB、手持ち撮影、合焦点まで206m。遠距離を走行する車を狙ってみました。狙ったのは中央の白いミニバン。走行をしっかり追いかけていますが、運転手の顔も反射がなければ識別できるほどのAF追随能力です。動いている被写体を何のためらいもなくシャッターが切れるのは、すっごく楽しいです。

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≪大輪のダリア≫ CAF、  F11・1/400秒、ISO-AUTO 12800、AWB、手持ち撮影、合焦点まで4.3m。近接での描写を試してみました。F11という明るさだと、この程度の大きさの花だと手前から花芯までピントが合うのはなかなかいい。シャープさも必要十分だと思います。

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彼岸花 CAF、  F11・1/640秒、ISO-AUTO 8000、AWB、手持ち撮影、合焦点まで13.9m。中距離にある彼岸花の群生を撮影しました。この感じからすると600mmF11というレンズでも深度は浅いように感じました。計算すると、この距離だと29cmぐらいが深度です。

■楽しくカジュアルに使いこなせる超望遠レンズ

 今回の撮影はここまでにします。後は、×1.4エクステンダーが来てからのお楽しみとします。従来600mmクラスの超望遠レンズでの撮影には三脚は必須だったわけですが、少なくともこのレベルの撮影が散歩的なぶらぶら歩きで気楽に撮れてしまうのですから、楽しいです。

 そもそも焦点距離600mmか800mmか、エクステンダーは×1.4か、×2.0かとその選択に悩むわけですが、600mmを使って思ったことは、何でも大きければいいということではなく、しっかりとした撮影ターゲットが決まっている以外は、これ以上は長くても、倍率が高くても使う頻度が少なくなるような気がするのです。ちなみに、ちょうどこの時期に北海道鶴居村でタンチョウ撮っているKさんに問い合わせると、撮影距離からすると焦点距離600mmぐらいがちょうどいいということでした。

 次回は、×1.4エクステンダーが来た時点で、新たな被写体にチャレンジしてみます。

2020/10/8 (^^♪