写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ヘリアー ハイパーワイド10mmF5.6アスフェリカル

 コシナはこの5月に、現在市場にある35mmライカ判用では最も焦点距離が短い「ヘリアーのハイパーワイド10mmF5.6」を発売しました。超広角で画角130°というのは、実は僕にとってはまったくの未体験ゾーンで、ファインダーをのぞいて見るまではどのように写るかわかりませんでした。僕は、作例写真家ではありませんので、ここまで超広角なるとはたして使いこなせるか心配でしたが、使いこんでいくうちにどうにか、この種の広角レンズの活用法が見えてきました。使用にあたって最初に決断しなくてはならないのが、このレンズはライカMマウントかソニーEマウント用で提供されるので、どちらかを選ぶということです。もちろんそのどちらも専用マウントで、両方のボディを持っている人は、それぞれを購入できればベストなのですが、そうはいきません。そこでいままでだと、無条件でライカMマウントの方を選び、ライカM⇒ソニーEマウントにアダプターで変換してライカソニー両方のボディで使用というというわけですが、今回は少し事情が異なりました。

 そこで仕様の詳細を調べてみると、ライカソニー用のどちらも光学系は同じ10群13枚構成ですが、ソニーEマウント用には電子接点がついているのです。その内容は、Exif情報が撮影後のファイルに付加され、レンズ名、焦点距離、最大絞り値、設定絞り値がわかるのです。さらに調べてみると、レンズ情報を読み取って周辺光量や色収差、歪曲収差の補正を行うようなのです。またボディによっては、5軸の手ブレ補正機構にも連動するのです。とりあえずは、AFには連動しないコシナスタイルを踏襲しているのですが、撮影時の距離もわかるこの電子接点の有無は、基本的な光学性能を超えたところで写りに作用するのだろうと考えました。種々悩み、結果としてライカMとソニーα7シリーズの現状と将来を自分なりに考慮して、僕はソニーEマウント仕様を選びました。

絞り優先AE、F11・1/250秒、ISO1250、AWB、ソニーα7R≫10mmレンズに合う被写体はと考えていたら、老夫婦がゆっくりと芝生の庭園を横切り散歩している姿が目に入りました。10mm、画角130°という広角では建築物がとも思っていたのですが、でもこれだとばかりにシャッターを切った1枚です。結果としては、画面周辺は4隅に引っ張られたように撮れましたが、逆に写真として中心の老夫婦に視線が行くような流れができたのも超広角ならではの描写だと思うのです。大きく伸ばしてみるととってもいい感じになります。
  いずれにしましても、左右640ピクセルの画像では判断するのは難しいので、全撮影結果を画素等倍まで拡大して見られるようにと、いつものように「京都MJのサーバー」にアップしてありますので、詳細はそちらをぜひご覧ください。 (^_-)-☆