タムロンは、従来からのSPシリーズを刷新する、2本の単焦点レンズを開発し、9月28日から発売すると発表しました。新SPレンズは“SP35mmF1.8Di Vc USD(Model F012)”と“SP45mmF1.8Di Vc USD(Model F013)”です。この新シリーズレンズの特徴は、外観デザイン、機能、操作性を全面的に刷新したというもので、最近のタムロンレンズの新製品はマクロレンズを除き、すべてがズームレンズであったのに対し、単焦点として、手ブレ補正機構を組み込み、鏡胴には金属を採用するなど、高画素時代に向けた、高品質な仕上げとなっています。今回の発表は、タムロンとしては久々に外部で新製品発表会を行なったことになりますが、会場には、日本のマスコミのほかに、中国からの写真家やマスコミも多数集い、昨今の世相を反映した国際的な発表会でした。
<発表会で開発の背景を述べる上席執行役員の千代田路子氏>
<製品について語る商品企画部長の佐藤浩司氏>
<デザイン開発について語るtakram design engineering 代表の田川欣哉氏。デザインの特徴はマウント基部のエンジニアリングと呼ばれる梨地金色部分のカーブ。レンズ先端部分もカーブをもち、レンズキャップやフード(花形、2本に共通)と一体化した線が作られている。この時期からTAMRONのロゴも文字間隔が広まり新しくなった>
<SP35mmF1.8の外観とカットモデル。9群10枚構成、フローティング機構内蔵、超音波モーター内蔵、手ブレ補正機構内蔵、防汚コート、簡易防滴機構、最短撮影距離20cm(最大撮影倍率 1:2.5)>
<SP45mmF1.8の外観とカットモデル。8群10枚構成、フローティング機構内蔵、超音波モーター内蔵、手ブレ補正機構内蔵、防汚コート、簡易防滴機構、最短撮影距離29cm(最大撮影倍率 1:3.4)>
<SP35mmF1.8とSP45mmF1.8のMTF曲線とレンズ構成図。GMはガラスモールド非球面、LDはLow Dispersion(異常低分散)ガラス、XLDはExtra Low Dispersionガラス>
価格はどちらも90,000円、マウントはニコン、キヤノン、ソニーの一眼レフ用。ソニー用はボディ側に手ブレ補正機構が入っているので、レンズ側の手ブレ補正機構は省略されます。
<SP45mmF1.8・ニコンD810:絞り開放の試写結果です。絞り優先AE、F1.8・1/125秒、ISO100、AWB。単焦点大口径レンズのポイントは絞り開放の描写で、周辺光量落ちがなく、画面全域にわたるムラのない高解像性能とアウトフォーカス部のボケ味などが重要視されます。Webページの都合で画素等倍では見ることができませんが、合焦ポイントはしっかりと解像しており、ボケも他のカットなど複数を見てもクセのない描写を示していました>
すでに単焦点標準域高価格分野では、AF-Sニッコール58mmF1.4G、シグマ35mm F1.4 DG アートライン、 HSMシグマ50mmF1.4 DG HSM アートラインなどが先行していましたが、タムロンがSP35mmF1.8とSP45mmF1.8をもって参入することにより新たな展開を迎えることになります。
今回のタムロン新SPシリーズは、専業メーカーとしていかに特徴をもたせようかとして、手ブレ補正機構の組み込み、マクロレンズにも迫る最短撮影距離の設定、さらに焦点距離35mm、45mmと最大口径比1:1.8と手堅いところで堅実にまとめ上げているのがタムロンらしい物づくりだと思いました。キヤノンは新光学素子を採用したEF35mmF1.4 LII USMを開発して、2015年10月中旬から発売するとしていますが、すでに発売されているニッコールを含めて、カメラメーカーの高価格帯レンズとどのように競っていくのか、今後はさらに新SPシリーズをズームにも展開するようなので、大いに興味があるところです。