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ニコン、米国でニコン1のデザイン特許権等侵害訴訟を提起

 株式会社ニコンおよびNikon Inc.(米国ニューヨーク州)は、2013年10月11日(米国東部時間)、Sakar International, Inc.(米国ニュージャージー州)に対し、レンズ交換式アドバンストカメラ「Nikon 1(ワン)」のデザイン特許権を侵害したという訴訟をニューヨーク州南部連邦地方裁判所に提起したと10月15日に発表しました。 ニコンはこの訴訟において、ニコン保有するデザイン特許権等に基づき、Sakar社によるPolaroidブランドのデジタルカメラPolaroid iM1836」の製造販売の差止を求めています。デザイン特許権(Design Patent)とは、日本における意匠権に相当し、ニコンは、他社製品との差別化を図るデザインの創生、およびデザイン模倣の抑止に取り組んでいる。 今回の件については、かねてより交渉による解決を図るべくSakar社と協議を行ってきたが、解決するに至らず、やむを得ず訴訟を提起することにしたというのです。

 Sakar(サカール)社は、2013年1月にラスベガスで開催されたPMA@CESの会場にて、ポラロイドブランドのブースとサカール社のブースの2カ所にてノンレフレックス方式の「ポラロイド iM1836」とマイクロフォーサーズ規格とされる「ポラロイド iM1030/iM1232」を発表していましたが、稼動する実機は「iM1836」だけでした。ニコン1の発売は2011年9月21日でしたので、明らかに先行しているわけですが、PMA@CESの会場で発表されたPolaroid iM1836を見た日本のマスコミは、少なからずニコン1のデザインに近似しているという印象をもったようです。右上の写真は、同じPMA@CES2013の会場のニコンブースにて撮影した「Nikon 1 J3」です。現在、ニコン1は、J3、S1、V2、AW1とシリーズ展開されていますが、素人的にはJシリーズがその訴訟の対象になるのかなと考えるわけですが、どの範囲なのかはニコンへ直接聞いてみないとわかりません。上の写真左はポラロイド、コダック、ビビター、ハーローキティなどのアイテムを紹介するサカール社のブース。写真右は、独自に設けられたポラロイドブランドのブースで「Polaroid iM1836」のアンドロイドOSの解説を行っているところ。

 この「iM 1836」アンドロイド4.0 (JellyBean)OSを搭載したレンズ交換式で、10〜30mmのズーム他、245mm望遠、50mmのPrimeと3本の交換レンズがあります。このカメラの面白いのは、イメージセンサーが交換レンズの中に組み込まれていることで、10〜30mmズームには1型の撮像素子が使われているのです。したがってボディとレンズを切り離した時に、レンズ後部ガラス、撮像素子のように見えるのはすべてダミーであり、レンズボディ間の信号やり取りのために設けられている電気接点は26個もあるのです。さらにマイクロフォーサーズの交換レンズが使用できるようになるマウントアダプターも用意されというのです。なお、ここで紹介したボディはPMA@CES 2013のときの情報ですが、その後のサカール社のホームページでは同じ「ポラロイド iM1836」でもグリップ部がなくなりよりフラットなボディへと変更されていました。
 ニコンはすでに知られている部分として、シグマとのと特許係争に、このたびのサカール社とのデザイン特許権係争を加わえ、「守りのニコンから、攻めのニコンへ」という姿勢をより明らかにしたわけです。業界スズメとしては、その結末は大いに気になります。