写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

大判用デジタルバック

 クラシック大判カメラや新・平成写真師心得帳などで知られる柳沢保正さんから相談があると連絡を頂きました。お会いすると、ドキュメント用のフラットベッドスキャナーを改造し、大判カメラに装着して、スキャニングタイプのデジタルカメラとして写真を撮ったから見て欲しいというのです。それによると、キャプチャー画像はまだまだ不完全で、どうしてもスキャニングラインがでる、ゴーストがでるというのです。これをフラットベッドスキャナーメーカーの技術屋さんに聞いて何とかできないかというのです。しかし、それはフラットベッドスキャナー本来の使い方の範囲を超えているので、メーカーさんからは協力を得られませんよと伝えました(1万円ぐらいでA4判のスキャンタイプ・デジタルカメラバックを作られたらメーカーさんもたまりませんよね!)。当日、何んと現物を持参しているので、撮影してくれるというのです。

 さっそく見せてもらいました。左は、すでに製造中止となったフラットベッドスキャナーである「CanoScan LiDE 40」を改造したデジタルカメラバックを、手にした柳沢さんです。このキヤノスキャンLiDEシリーズは、コンタクトイメージセンサーという独特な機構を採用し大変薄型で、電源はUSBバスパワー駆動であるためにパソコンから電源を供給することができるので、写真右のように屋外での使用が可能です。

 上はテストに撮影してもらった画像です。グレースケール、3508×2552=8.54Mピクセルのデータです。ご覧になってお分かりのように、A4判丸丸が写るわけでなく左右に余分な部分ができます。左の黒い部分が柳沢さんがいうゴーストで、右側がプレスキャンの露光調整時の副露光による感光の部分だろうと思います。それでもまずまずの画像が撮れていますが、拡大するとスキャニングラインやムラが目立ちます。このデジタルバックは柳沢さんの知人が作ってくれたそうで、柳沢さんは技術的な細かいことはわからないそうです。それでも何とか、テスト撮影画面にあるようなノイズを消したいというわけです。それでも柳沢さんは、このスリット式デジタルカメラに新しい表現手段を見つけたというのです。それによると露光時間約10秒強の間に被写体が動くとおもしろい写真が撮れるというのです。なるほど、被写体がスキャン方向に動けば上体が流れるように、逆方向に歩けば後ろ向きにというように、奇想天外な写真が撮れるというのです。ま、このあたりに関しては、いまから30年以上前、フィルムカメラの時代にもスリットカメラとしていろいろチャレンジされましたが、現在は残っているのは列車のスリット写真ぐらいで、歪んだ像より、むしろ正しく写る撮影技術が一部に残っているわけです。それでも、柳沢さんはこのあたりをいろいろ記していますが、とうとう「ひも宇宙」とかいう写真技法を見つけてきて、これを大判写真でやりたいというのです。どなたか、技術的にサポートしようというボランティアの方はいませんか?  (#^.^#)

 *さっそくいくつか追加情報を頂きました。
 ■http://d.hatena.ne.jp/YAKU/20110315/1300163092
 ■http://www.betterlight.com/mcphoto.html
 ■http://d.hatena.ne.jp/YAKU/20110306/1299411669
 ■http://d.hatena.ne.jp/ilovephoto/20110905/1315183453