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写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

カール・ツァイス ミラーレス用交換レンズを発売

 カール・ツァイス社は、AF・AEに完全連動するソニーNEXシリーズのEマウントと富士フイルムXシリーズのXマウント用の交換レンズの第1弾として、ミラーレス用交換レンズTuit(トゥイート)シリーズのディスタゴン12mmF2.8とプラーナー32mmF1.8の2種を6月1日から発売すると、5月15日に発表しました。価格は、ソニー、富士用とも同価格で、ディスタゴンは126,200円(税込)、プラーナーは94,600円(税込)。いずれもAPS-C判ですので、35mm判換算でディスタゴン12mmは18mm相当、プラーナー32mmは50mm相当の画角となります。主な特徴は、以下の通り。

 光学系でカール・ツァイスらしい一番の特長は、プラナー非球面レンズを使っていないことで、これによりきれいなボケ味が得られることが想像されます。ディスタゴンの非球面レンズは、前から3枚目、後ろから3枚目の緑色の部分の2枚です。外観デザインは、新たにデザインされたということですが、個人的には2002年に富士フイルムとの共同開発で発売された「ハッセルブラッドHシステム」の交換レンズと似た感じがします。

 写真左)ディスタゴン12mmF2.8を装着したソニーNEX。写真右)プラーナー32mmF1.8を装着したフジフイルムX-Pro1。発表会当日は、富士フイルムソニーの担当者が登壇し、ツァイスレンズの発表・発売を歓迎する挨拶を述べ、さらに自社の交換レンズラインナップとの位置付けを解説しました。

 昨年9月フォトキナで発表され、ソニーのNEXシリーズをベースにしたスエーデン・ハッセルブラッド社の「ルナ」もカール・ツァイス社レンズ使用となり、この発表会の席上で6月20日に東京で発売開始されるとハッセルブラッドジャパンの担当者から発表されました。フォトキナでは、約5,000€と発表されていましたが、日本円ではこの時期のレートから63万円ぐらいだそうです。写真右)発売時の化粧箱は、ライカのような引き出し式ですが、素材はカーボンで、まるで漆のような感じに塗装されています。

 写真左)レンズは、ソニー、フジ、ハッセル用いずれも日本製と記されていました。写真中)ハッセルブラッドルナのグリップ下部にはMADE IN SWEDENと記されています。写真右)ルナを構えてみました。僕には少し大きい感じですが、重くは感じません。
 なお、トゥイートはラテン語で鳥を意味するそうで、カール・ツァイス社は、これからもラテン語の別名鳥シリーズレンズを市場投入するとのことです。カール・ツァイスレンズの採用は、ソニーにおいてはビデオカメラ時代からのものであり、ハッセルブラッド社とカール・ツァイス社はVシリーズ以来、富士フイルムハッセルブラッド社は35mmパノラマのX-PAN、645判のH1以来というわけで、それぞれ関係は深いわけです。これによりHシリーズの後継機はカール・ツァイスレンズがつくことも十分に予想されます。また、昨年フォトキナ時のハッセルブラッドソニーのニュースレリーズによると、提携はミラーレスのルナだけでなく、さらなる拡大の可能性も予告されていました。今回の発表は、タムロンやシグマがソニーのEマウントへ参画するのとは少し違う気がします。ブランドビジネスの展開はいかにというところでしょう。そして、同じカール・ツァイスレンズを作るコシナはどのような立ち位置なのかなど、大いに気になる部分です。発表会並びに仕様の詳細はこちらをご覧ください。