写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

静と動の針穴写真

 日本針穴写真協会会長の田所さんから“田所美惠子針穴写真展『もう一つのパリ』”という写真展の案内をいただきました。東京・神楽坂アグネスホテル1階のティーラウンジにて、2013年5月1日(水)〜31日(金)まで、モノクロのオリジナルプリントが14点展示されているというので、さっそく出向いてきました。パリの静かな街角をしっとりした感じで写した黒白プリントで、さすが田所さんということで静の針穴写真を堪能してきました。せっかく、神楽坂のプチホテルでいい感じの写真を見たのだからということで、写真展(店)をもう一軒ハシゴすることにしました。ゆっくりと新宿にでて、ゴールデン街の「こどじ」に行きました。ドアを開けて、あれっ!と驚きました。ひょっとして、この一連の写真は針穴写真じゃないの?と聞くと、そうだというのです。作者は豊田秀一さん、タイトルは“0.2ミリ”(5月1日〜15日)となっていました。もともと“0.2ミリ”という題で写真展が開かれるのは知っていましたが、写真を見てタイトル“0.2ミリ”が針穴の直径であることがわかったのです。作者の豊田秀一さんに、0.3ミリなら針穴写真を連想できたのに!とかいってもあとの祭り、なにか連想ゲームみたいなタイトルでした。

 豊田秀一さん(写真中央)は某スポーツ新聞社の現役カメラマンで、現在は大阪に転勤してますが、写真展を開くためにリフレッシュ休暇を利用して、会期中の1週間はホテルに滞在し写真展会場に通い詰めるという熱心さなのです。しかしなんで、豊田さんが針穴写真をなぜ?と聞いたら、何でも有名な写真評論家のIさんが、『針穴写真は、みな同じで面白くないので見たくもない』とかいったそうで、『よしそれなら面白い針穴写真を撮ってやろう』と奮起した結果の写真展なのです。カメラはAパワー社で購入したゼロという木製のピンホールカメラとホルガというトイカメラピンホールカメラに改造したものを使用したそうです。いずれも120ブローニーフィルムを使用したところがポイントで、大きくプリントしても十分な画質が得られています。いずれも動いている感じが写されているのが、針穴写真らしからぬ写真であるわけです。豊田さんいわく、このような写真の撮影はこれで勘弁してほしいということだそうです。それくらいご苦労されたというわけですね。“静と動の針穴写真”お分かりいただけたでしょうか。まだまだ会期はあります。お時間よろしければ、覗いてみてください。  (-_-)/~~~!