写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

カメラがついていれば!

 鉄道写真好きのKさんから「そろそろ誕生日だったっけ!」と連絡をいただきました。まだ早いよ、あと1ヵ月はあるよと伝えたのですが、なにやらプレゼントしたいからというのです。何ですか?と聞いても笑って、会ったときにというのです。それで通勤途中に、軽く会って、いただいたのがこの「GR DIGITAL Tシャツ」なのです。いつも品物を瞬時に手渡すのですが、これをわれわれはいつも“Touch and go”と称して、写真や秘密の書類をまるで麻薬の売人?のようにして、受け渡すのです。ところが、この日は白地に赤く「ビックロ」と書いてあるショッピング袋を手渡されたのです。あとでゆっくり開けてみてくださいといわれたのですが、とくにギフトラップされていたわけではないのでその場で開けてみたら、このTシャツが入っていたのです。市川さんに似合うよというのです。なるほど、“ビックカメラユニクロが一緒になると”こういう商品が生まれるのだなと妙に感心したのです。ただ、お互いの名誉のためにいいますが、われわれは互いの誕生日にプレゼントを交換し合う習慣はもともと全くないのです(笑)。たぶん僕がこのブログの8月16日ので、「カメラのおもちゃ」と称して、カメラ型のゼムクリップを紹介したのだからだろう?とか、僕がGRistとしてリコーのホームページに登場したのを知っているのだろうか?、フォトキナの会場でペンタックスリコーイメージングの赤羽昇社長にGRデジタル他、リコーのコンパクトを大事にして欲しいと直訴しにいったのが知れ渡ったのかと考えたのですが、とくにそんなことはなさそうで、Kさんは休日に新宿を歩いていてみつけ、単におもしろいので買ってくれたというのです。
 ただ、Kさんには申し訳ないのですが、実は僕はメーカー名や商品名の入っているものは身につけないというのが編集者時代からの見識というか知恵なのです。これはカメラも同じなのです。かつて編集者として駆け出しのころ、どんなカメラを持てばいいか柳谷次男さんという写真家先生に相談したところ、ライカを持てばいいというのです。それでライカM3の中古を1970年の暮れに購入したのです。ライカならどのようなメーカーにも問題なく入っていけるし、長く使ってもカメラとしての価値も下がらないからというのです。でもレンジファインダー機でカメラ各部の接写を行うことはできないのです。そこでやむなく考えついたのが、それぞれのメーカーのカメラを持てばいいということです。やはり、インタビューの時など、社長さんや事業部長さんから、口には出さなくてもぎょろりと見られるのは結構つらかったのです。フィルムカメラの時代は、ほとんどの社のものを持ち、他誌の編集者も借りにきたこともありました。でもデジタルの時代になって少し変わりました。取材のカメラは「ニコンクールピクス900」でずいぶんやりました。これを持ってどこの会社へも行くのですが、相手は何をやっているのだろうという感じでしたが、翌月になるとカメラ各部や記念写真がしっかりと印刷されているわけです。1998年のことで、まだ他社にはこのようなカメラはなかったのです。やがて、カメラ機材の接写がさらに効くというのでリコーのコンパクトカメラを使い出したわけですが、リコーなら他社もそう目くじらを立てないということもありました(これはリコーの社員も認めてる話です)。以上は、日常の記録カメラでして、趣味としては、各社の一眼レフをがんがん?振り回しています。
 時代は変わりました。それでもライカM3は、クラシックカメラの記事を作るのにはいまでも役立っています。これは柳谷先生のいうとおりでした。とはいっても写真を撮る道具としての価値はライカといえども日に日に遠のいていきます。やがて室内インテリアや文鎮と化すのでしょうか。悲しいけれどこれは現実なのです。デジタルになるとクラシックカメラへはなかなか仲間入りできません。ライカが、2006年に「M8」、2009年に「M9」、2013年に「M」というわけですが、デジタルライカは、フィルムカメラ時代のライカとは異なるわけです。この時期からライカカメラ社は、カメラのナンバー制をやめました。M9→M、M9→M-E、S2→S、X2→Xというわけです。まさかこれで終わりというわけはないわけで、この先どういう展開をするのでしょうか? 興味は尽きません。
 右上の写真は通勤電車のなかで見つけたカメラのビックバッチ。寝ていて起きたら目の前に巨大金色カメラが。ビックリして写真撮りました。

 恒例の写真展を新宿ゴールデン街「こどじ」で、16日から31日まで開きます。興味ある方は、こちらをご覧下さい。