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写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「すばる望遠鏡」の広視野化にキヤノンが貢献

 キヤノンは、最大視野角を従来比約3倍に拡大した補正光学系を組み込んだ超広視野主焦点カメラ“Hyper Suprime-Cam”を開発・製造し、ハワイ島マウナケア山頂の国立天文台ハワイ観測所「すばる望遠鏡」に設置し、8月28日(ハワイ時間)より性能試験が開始されたと9月13日に発表しました。
 「すばる望遠鏡」は1999年に試験観測を開始した大型光学赤外線望遠鏡です。この補正光学系は既存の望遠鏡に搭載されるため、補正光学系全体の質量・外径に厳しい制約があるなか、キヤノンの長年培ってきた設計技術および、この補正光学系のために新たに開発した計測・精密加工技術を生かし、初代主焦点カメラSuprime-Cam用補正光学系の最大視野角を0.5度角から1.5度角に拡大させることに成功し、従来は観測に16年かかると考えられていた範囲を2年で観測することができるようになると期待されています。なお搭載の7枚構成のレンズには非球面が5面採用され、自社製の高精度計測装置、加工装置を用いて、SC用補正光学系と同等の高い結像性能を持つ非球面レンズを完成させたというものです。またレンズを高精度に支持する鏡筒にはセラミックス材料が新たに採用され、従来の鏡筒材料に比べ大幅な軽量化を達成しています。

 上のイラストと表はキヤノンのニュースレリーズからの転載ですが、写真愛好家にはこの方面がお好きな方が多いので載せました。なお、このブログでも過去に「キヤノンの超大型CMOSセンサー実用される」として天文台関係の技術を紹介していますが、一部の大判カメラマニアがぜひ大判撮像素子のカメラバックを作って欲しいなどと切望しています。僕の友人Tさんの出せる予算は500万円までだそうですが、いかがなものでしょうかね。