写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

キヤノンのミラーレス「EOS M」

 キヤノンのミラーレスカメラが「EOS M」として7月23日に発表されました。発売は9月中旬が予定され、ちょうどドイツでのフォトキナの開始直前ということになります。そのEOS Mの仕様は、APS-Cサイズ約1,800万画素CMOSセンサーを採用、専用のEF-Mレンズ(fb:18mm)を採用し、専用マウントアダプターEF-EOS MによりAF連動でEFレンズが使用可能、AFは位相差検出とコントラスト検出を兼ね備えたハイブリッドCMOS AFを使用し、タッチAF機能などを搭載などと、意欲的な機能をしっかり詰め込んでの登場です。基本ボディはブラック、シルバー、レッド、ホワイトの4色、レンズは小型・軽量のパンケーキレンズEF-M 22mmF2 STMとEF-M 18-55mmF3.5-5.6 IS STMが専用に用意されています。このレンズのSTMはステッピングモーターの略で、動画に威力を発揮する新駆動方式で、ハイブリッド CMOS AF同様に、EOS Kiss X6iのEF–S18–135mm F3.5-5.6 IS STMでも採用されていた技術です。

 今回のニュースは、キヤノンMJのiMAGE GATEWAYメールサービスから“【号外】ミラーレスカメラ「EOS M」および関連アクセサリー発売のご案内”として飛び込んできたのが第1弾でした。詳細に関しては、キヤノンのWebサイトに行ってみていただくのが一番いいわけですが、第1報がヨドバシ.comでなかったところが、好感もてます。というか、この時点では予約開始にも早すぎるというわけでしょうか。価格は、EF-M 18-55mmF3.5-5.6 IS STM付きで84,800円、EF-M 22mmF2 STM付きで79,800円、ボディのみが69,800円、マウントアダプターEF-EOS Mが12,000円とされていますが、これはキヤノンオンラインショップの価格で、実際はオープン価格なので実勢価格は発売後の需要と供給により大きく変動するわけです。ところで、このボディにはストロボが内蔵されていません。もちろん別売のストロボ「スピードライト90EX」というのが用意されていますが、実用的にはISO 12800相当の高感度をカバーする本機ではストロボなしもひとつの形かも知れません。そしてもうひとつ、EOS MにはEVFが付いていないのです。さらに外付けが用意される気配もありません。このあたりは、やがてEVF内蔵機がでてくると見ても間違いないでしょう。

 キヤノンのミラーレスがでたことにより、ほとんどのカメラメーカーよりレンズ交換式としてのミラーレス機がでそろったことになります。このミラーレス機、当初は一眼レフの普及機ということで位置づけられてきましたが、最近は新たな視点で注目を集めています。ひょっとしたらこれからのカメラスタイルとしてさらなる発展を遂げるのではないかという見方がされているのです。そのひとつが、小型・軽量としてのミラーレス機でなく、高画素機に向くのはミラーレス機ではないかということなのです。さる6月25日に開かれた写真映像経営者協会でのシグマ社長の山木和人氏の「フォビオン:イメージセンサーについて」の記念講演によると、同社のSD1メリルは4600万画素という高画素により、ミラー・シャッター・絞り動作によりピントズレがでてくるので、位相差検出AFでの正確性は低いと考え、高解像を活かすのはミラーレスであると考え、最近LSのDP2メリル(4600万画素)を発売するとの結論に至ったというのです。同じように中判デジタルのフェイズワン社は、専門家筋の方の話によると中判高画素機は一眼レフ方式であると、メインミラー、フォーカルプレンシャッターの動作によりが、ボディ、ミラー、撮像素子キャリアーなどの剛性に関係し、記録画像が不安定であることから、その解決策としてミラーレスの中判高画素機をデジタルアーカイブ用として開発するというのです。さらに高画素機では、一歩も二歩も先を行くニコンは、D800とD800Eの高性能を引き出すためにということで「D800/D800Eテクニカルガイド」というPDFをWeb上に公開しています。それによると36.3メガピクセルという高画素を十分に生かすには、三脚を使用する、ライブビューで撮影する、露出ディレイモードを使用するなどの撮影テクニックを必要とし、さらに高画素に見合う交換レンズの選択、絞り値の選択などがアドバイスされているのです。いずれにしても、ライブビューでは撮影後の結果が事前にわかるという最大のメリットもあるわけですから、各社の見解からしてもミラーレス機にさらなるこれからのカメラの在り方が見えてくるのは僕だけでしょうか。