写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

シグマBFを使ってみました(Final)

 ミラーレス機Lマウントレンズ交換式の35㎜フルサイズ(35.9×23.9㎜)、2,460万画素、裏面照射型CMOSセンサー搭載の「シグマBF」がお披露目されたのはCP+2025の開始直前の2月24日で、27日からのCP+に向けて海外からのジャーナリスト200人を前に川崎の本社で行われました。当日は、山木和人社長自らのメッセージとして、シグマとしての新ロゴの制定、世界の写真アーティストを対象としたシグマ財団の設立、これからも家族経営を続けていくなどの決意表明と併せて、「シグマBF」の新製品発表を行っています。

 このBFの意味は、Beautiful Foolishness(美しい愚かさ)とのことで、岡倉天心茶の本に由来しているというのです。BFは手にしてみるとわかりますが、既存のミラーレス機と異なり、かなり特異なデザイン機構が採用されています。まず、ボディはアルミ合金の塊からの削り出しで行われていて、1日4個しか1台のミーリングマシンで製造できないというのです。マシンが1台なら実可動25日で月産100台、2台なら200台というわけですが、特殊なカメラであるだけに月産どのくらいになるのでしょうか。私の手元に届いたボディには、1,600番台近くの番号が振ってありますから、初期出荷台数はかなりの数だと思われます。発売は2005年4月24日からでした。早期に予約して発売日に入手しましたが、あいにくの雨模様が続くなかの使用でした。

《シグマBFに35㎜F2DGコンテンポラリーを装着》ボディにはシルバーとブラックがあり、交換レンズにもコンテンポラリークラスのシルバーとブラックがそれぞれ17㎜F4 DG、20㎜F2DG、24㎜F2 DG、24㎜F3.5 DG、35㎜F2 DG、45㎜F2.8 DG、50㎜F2 DG、65㎜F2 DG、90㎜F2.8 DGとして各9本ずつ用意されていますが、Lマウントであるため、ライカルミックスの交換レンズも当然装着することができます。

 BFを正面から見るときわめてシンプルです。ボディ正面向かって左のダイヤカット状の刻みは、グリップとは言わないまでも、滑り止めの機能をもたせるためのデザイン的配慮なのでしょう。トップカバー上には、シャッターボタン、L/Rのマイク孔だけで、大変すっきりとしています。本機を見た多くの人は、アクセサリーシューがない、EVFを取付けられないといいましたが、このあたりの形状からして“美しい愚かさ“Beautiful Foolishness”を何となく理解できるニューコンセプトカメラなのです。

 

《新ロゴが押された新パッケージ》この時期からの新製品は化粧箱からロゴまで更新されています。左上は、BF用35㎜F2シルバーレンズ。左下は、ソニーEマウント仕様のAPS-C判用16~300㎜F3.5-5.6、右は、BFボディ用化粧箱。

 

《BF用の化粧箱を開けると》左:蓋を開けると黒い紙の封筒に取扱いガイドと保証書が入っている。取扱いガイドは説明書ではなく、各国語に対応した注意書きで、スマートフォンでコードを読込み言語に応じた取扱説明書に行きつきます。中蓋の右の黒い布にボディが、その右には少ししか見えませんがバッテリーが配置されていて、化粧箱の中は意外とシンプルです。右:背面液晶は灰色の紙が貼ってあり、はがさないと画面は見ることはできません。貼付されたカバー紙にはMADE IN AIZU  JAPANと印刷されていますが、ボディには生産国という意味ではMADE IN JAPANと刻印されています。ボディにはシルバー仕様の35㎜F2を装着してあります。

《BFボディとBFレンズ》左:黒いケースがボディ用袋、その上がボディでアルミ削り出しのボディキャップがついています。その右下はバッテリーで、挿込むとバッテリー底部がボディ底部の外装を兼ねるというユニークさで、少なくともボディ外部からは組立のネジの頭などは1つも見えないからくり箱仕様です。右:同時に購入した35㎜F2で、フードとレンズキャップともどもアルミの削り出しで、高級感あふれるBFシステムを醸し出しています。特にキャップは、マグネットによるレンズ前面枠へのワンタッチ吸着式となりますが、プロテクトフィルターを取付けるとマグネット式レンズキャップは使えなくなるので要注意です。BF用には従来型のプラスチックのレンズキャップも同梱されているので、フィルターを付けたいときはこちらを使えばよいのです。

 ところでこのBFには外部メモリーは必要なく、記録媒体は230GBの内蔵ストレージが採用されています。ボディを構えて左側面上部にCタイプのUSB端子が1か所設けられていて、バッテリーチャージャーとの接続で内蔵バッテリーの充電のほか、パソコンとつなぐことにより撮影データを取り出すことができるのです。この230GBという内蔵メモリーは、十分かと言われれば用途によっても変わるでしょうが、少なくとも私の撮影スタイルでは十分な容量です。

  外観からして興味深いのは、ネジなどがまったく外からは見えないのです。そこは、誰もが興味をもつところですが、量販店の展示品の底部の黒い合成ラバー部分が半分はがされていたということですから、多分底部を剥がしてから内部メカを取出すのでしょう。また、シグマBFには特記される特徴として、京セラの触覚伝達デバイス「HAPTIVITYR」という新しい素子が使用されていると4月22日に京セラからニュースとして流されています。「HAPTIVITYR」は京セラ独自の技術で開発された圧電セラミック振動素子を活用することで、パネルやディスプレイを指でタッチした感圧によって微細な振動を発生させリアルな触感を再現する技術だそうで、シグマBF背面右の3つのボタン(センター、オプション、再生)とダイヤルの上下左右ボタンに「HAPTIVITYR」が採用されていて、物理的な摩耗が起きず、つねにに正確で快適な押し心地で、直感的な操作が可能となるというのです。この点に関しては、シグマは多くは語っていませんが、デジタルカメラに初めて採用されたと、京セラがわざわざ発表したのですからそれだけのことはあるのでしょう。

 ということで、レポートは私のこれから許される時間を利用して、BFを持ってさまざまな場所で撮影しました。まずは、いつもの英国大使館を撮っての作例を載せてみますが、最初に驚いたのはメモリーのホルダーが日ごとに変わってできるのです。このあたり、それぞれ人によって使い方はいろいろでしょうが、230GBメモリー内蔵となると、日ごとに変わるのも納得しますが、私的には撮影テーマごとにホルダーが生成できたりするといいなとも思うのです。いずれにしても、撮影後はカメラ内に残すデータと、PC側のテーマごとのファイルへ保存するというのが、他社のモデルでもやっている形なので、大きく変わることはありません。

 

■いつもの英国大使館を撮影してみました

 いつものように晴天の朝、定位置でほぼ同一時間に絞りF5.6にして撮影です。

《シグマBF+35㎜F2》絞りF5.6・1/4000秒、ISO-Auto640、AWB。この条件の撮影でむりのある機種はほとんどなくなり、むしろ私の使用記では儀式的な感じもしないわけではありませんが、このデータからA3ノビに拡大プリントしてみると、まだまだ機種というかレンズによっては差がでるので、止めるわけにはいきません。同じ光学系のレンズをソニーα1Ⅱで使用していますが、シグマのほうが軽くすっきりと発色していますが天候の加減かもしれません。なお、ソニーα1Ⅱのときに細かく言及しましたが、シグマというかLマウントアライアンスカメラでは、「レンズの歪曲補正」は自動的にONがデフォルトのようです。(2025/04/27)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF5.6・1/2000秒、ISO-Auto640、AWB。カメラ博物館の隣にある開進堂の壁面。Lマウントレンズはデフォルトでレンズの歪曲補正が行われるので、広角35㎜という焦点距離でも気持ちよいぐらいに直線性はよい。発色は、STD:スタンダードに設定してあるのが、気持ちコンクリの灰色が偏って見えます。この時点ではプロテクトフィルター購入していませんでした(2025/04/27)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/8秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。天恵そば(長野県安曇野)。晴天時窓際のテーブルで撮影しましたが、パソコンで拡大してみるとブレています。絞り開放になると困るのでF4にマニュアルセットしましたが、やはり手持ちで1/8秒では私にはむりでした。なぜ、シャッター速度AUTOで、そこまで低速になるかは不明です。やはり撮影時にシャッター速度は確認すべきですね。その後、何度か試しましたが、35㎜レンズの場合には1/35秒より低速になりませんでした。(2025/05/06)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/50秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。生ハムの塊り(ディスプレー用のような気がします)。背面のタイルのボケ具合が気になりますが、元が凸凹しているからかもしれません。長野県・安曇野(2025/05/06)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF2・1/6400秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。テラスにランプを置いて、絞り開放で撮影しました。ピントを合わせた位置は上下中央右寄りの「BAREBONES」と刻印されたネームプレートですが、簡単にフレーミングして、その部分のAFターゲットを押込むと、形状認識がすごくよくできていて、以後、多少上下左右にカメラを振っても追随してくるのでありがたい。人物、中距離までの被写体などに大変有効なので、BFの使い勝手の良さはこのあたりにあるのでしょう。(2025/05/07)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/100秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。特別に何かを設定してわけではありませんが新しい切り株も、周囲の草花、水の流れなどかなり柔らかく描写されています。fpに45㎜F2.8を付けたときよりも全体的に描写は穏やかでやわらかい印象を持ちました。安曇野・御法田(2025/05/07)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF2・1/30秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。花びらのところにピントを合わせ、シャッターを切っただけ。背景のボケ具合も自然です。安曇野・ガルニー(2025/05/07)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF2・1/6秒、ISO-Auto640、AWB、手持ち撮影。ランチです。それほど暗くはありませんでしたがシャッター速度は1/6秒でした。しっかりと机に腕を組付けたからでしょう。ぶれてはいません。安曇野・ガルニー(2025/05/07)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/4000秒、ISO-Auto400、AWB、手持ち撮影。町中を歩いていたら古い新聞配達店を見つけました。読売新聞、報知新聞、日本証券新聞サンケイ新聞が相乗りしていますが、地元信濃毎日には別の新聞が相乗りしてるのでしょうね。渋い鉄さび色とその交差点に立つ家屋の作りが独特なのでシャッター押しました。長野県松代(2025/05/08)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/800秒、ISO-Auto400、AWB、手持ち撮影。2012年に廃止になった長野電鉄松代駅には、近くを通るたびに寄りますが、駅前のラーメン屋さんが行くたびに朽ちていくのでついシャッターを切ってしまいます。かつて町の中心地であっただろう駅前には汽車ポッポの歌碑がありますが、だんだん寂れていくのはしょうがないでしょうね。長野県松代(2025/05/08)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/5000秒、ISO-Auto400、AWB、手持ち撮影。あづみの池田クラフトパークから北アルプス連山を望む。東京から1泊で中学生たちが校外学習できていました。(2025/05/08)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/10000秒、ISO-Auto400、AWB、手持ち撮影。北海道羊蹄山。あいにくの薄曇りなので、写真にメリハリをつけるためレベル補正を行っています(2025/06/16)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/50秒、ISO-Auto400、-1EV、AWB、手持ち撮影。渋谷駅光る階段にて(2025/05/08)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF4・1/100秒、ISO-Auto1250、+0.3EV(加えてトーンカーブを持上げ)、AWB、手持ち撮影。ご自身撮影のインド・ヒジュラの写真集を持った写真家・石川武志さん。祐天寺PP&ウミネコにて(2025/05/08)

《シグマBF+35㎜F2》絞りF2・1/100秒、ISO-Auto1000、AWB、手持ち撮影。店内にご自身の作品を点在させた彫刻であり写真家の岩野亮介さん。祐天寺Paper Pool&ウミネコにて(2025/06/18)

 

■使ってみて

 本機を開梱してセットアップを終え、あれっと思ったのは、ストラップが付属してないのです。まさかと思いシグマに確認すると、同梱品ではなく別売品だというのです。発注して届くまではと、身近にあるものでとりあえずは使えるようなものを探してみると、ライカノベルティグッズとしてもらっていたネックストラップと、かつてアグファオプチマ1035フィルムカメラに使っていた三脚穴に取付けるハンドストラップがありました。ライカのネックストラップはハンドストラップも仕様も兼ねていますが、もともとはコンパクトカメラかスマホ用らしく、強度的にはギリギリ問題はなさそうですが、やはり落下への不安があります。オプチマ用ハンドストラップは、持ち歩き時には頑丈で不安はありませんが、三脚ネジ穴にセットするためにBFを机上に置いたときのすわりが悪いのです。結局、後日届いた純正ストラップが一番納得できるるです。ただ、レンズ交換や何かの作業のときに立ったままで両手を使いたいときもあるので、ネックストラップ兼のハンドストラップも魅力です。別売の特徴を活かし、こんなストラップがあってもいいかなと思いました。ちなみに、35㎜F2レンズ、フード、プロテクトフィルター、樹脂レンズキャップ込みで約850gでした。BFとレンズ全体が金属の塊りという感じなので見た目は重く感じましたが、実測するといがいと軽いのに驚きました。

《シグマBF用に用意したストラップ》下から、Lマウントアライアンスのライカカメラ社のネック兼ハンドストラップ。中:シグマ純正ハンドストラップ。上:フィルムカメラ時代の別カメラ用ストラップ。これにサクラスリングのような幅広の布製ストラップなど、TPOに合わせて使えればベストですね。

 今回のレポートは、早くから入手していたものの、複数回の講演会参加と重なり、その準備のために遅れてしまいました。またほぼ同時期に発売された「フジフイルムGFX100RF」のレポートも仕上げなくてはならず、つねに同時携行となることが多くて、いままで見えなかった部分が見えたというのが正直いってありました。ここではあえて両社の比較テストは行いませんでしたが、同じ場所での撮影もあるかと思いますので、別レポートもご覧いただければ幸いです。

 結論として、シグマBFの使い方は、通常あるカメラとは異なり、モード表示など表に見える部分は少なく、操作する部分も電源スイッチとレンズの絞りリングの設定だけぐらいとわり切ったほうが良く、ISO感度オート、シャッター速度オートのままでよく、いわゆる絞り優先AE的に使うのが一番良いようです。身近にあるLマウントのルミックスS24~105㎜F4を装着してズーミングして使用すると下限シャッター速度が手持ち限界の「1/焦点距離」あたりに変化するので、絞り優先AE主体のフールプルーフ機と割切れば、AFの被写体認識・追随能力も高いので、まずまずの使い勝手となるので、BFに関しては割切って付き合うほうが楽しめるのです。

 ただ今回の「シグマBF」は、なるべく多くの方にシルバーボディのカメラセットを見てもらいその感想をもらいました。まず最初は、おしゃれ!、可愛いい!という言葉をもらうのですが、カメラを渡すと一瞬うん!という感じになるのです。やはり見た感じではそうあっても、実物は850gの金属の塊なのです。手に持って見ると、今回のセットでも850gとはいっても、やはり大きく・重いことは否めません。

 やはり、≪おしゃれ!、可愛いい!≫という言葉からすると、もう2周りぐらい小型だったらとも思いました。もともとLマウントはAPS-C判を兼ねているのだから、そんなラインもあっても良いのではと思うのです。このような質感の仕上げには、より小型のほうが向くのではないかと思ったわけです。ミラーレスになって各社とも、それなりに正統に技術を進化させてきたわけですが、これ以上何を望むかといった時、個性ある機種も存在意義があると思いますし、シグマにはすでにAPS-C判の交換レンズもあるのだから、と思うのです。いかがでしょう。

 せっかくだから、BFとfpのボディ比較写真を載せてみました。この状態で、BF446g、fp332g、fpは記憶メディア込み、ともにバッテリーを含む重さです。APS-CにしてBF仕様にしてもどこまで小型・軽量化できるかはわかりませんが、実装密度の高さがより求められ、かなりの困難さが予測されます。 頑張れシグマですね。 (^_-)-☆