写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ソニーRX1RⅢを使ってみました。

  ソニーからフルサイズ単焦点レンズ非交換式のコンパクトデジタルカメラ「RX1RⅢ」が8月8日に発売になりました。名称が示す通りⅢ型なのですが、何がⅢ型なのかよくわかりませんので、最新の“Copilot”にたずねてみました。質問は「ソニーのRX1RⅢが発売されましたがどのように進歩したのでしょうか?」としてみました。Copilotとは、マイクロソフトが提供するAIベースのデジタルアシスタントですが、ChatGPTと似たようなものと考えてよいでしょう。以下に示しますが、引用元の部分は省略してあります。

・RX1 (初代):2012年11月に発売。2430万画素の35mmフルサイズセンサーとZEISSの35㎜F2レンズを搭載。

・RX1R (Ⅰ型):2013年7月に発売。初代モデルから光学ローパスフィルターを取り除き、高解像度を実現。

・RX1R II (Ⅱ型):2016年2月に発売。画素数を4240万画素にアップし、可変ローパスフィルターや位相差AFを初めて搭載。

・RX1R III (Ⅲ型):2025年8月に登場。6100万画素の最新センサーやAIプロセッシングによる被写体認識、そしてステップクロップ機能など、多くの改良が加えられました。

 進化のポイントとして、解像度の向上、AF性能の向上、新しいローパスフィルター技術の採用、そしてコンパクトなデザインの中に最新技術を詰め込む姿勢が際立っています。それぞれのモデルがどれだけ時代の最先端を追求しているかが分かりますね!

と、答えてきました。もちろんCopilotには間違ってるかもしれないというクレジットが入ってますが、たぶんこの内容なら問題ないのでしょう。ただ、本シリーズではRX1を過去に取上げていますが、RX1にはEVFがありませんでした。再度CopilotにEVFの搭載はいつからだったか聞いてみると、「RX1RやRX1ではEVFが非搭載だったため、RX1R IIでの内蔵EVFは大きな進化ポイントです」と答えてきました。このあたり何を重要視するかによっても変わるのですが、画素数の増加、位相差AFの搭載は進歩でしょうが、ローパスフィルターの搭載・非搭載はユーザーレベルではあまり実感がなく、EVF内蔵のほうが大きな問題だと思いますがいかがでしょう。これは過去にネット上に載った関連文章に依存する部分ですが、いずれにしてもAIですから、今後はEVF搭載の時期も学習したから、次にCopilotに聞いたときは反映されているかもしれません。

 すでに、先進的なライターさんは、記事を書くのにCopilotやChatGPTを駆使してるのでしょうが、そこからは新しいことは生まれてきませんので、私はAIの使用は消極的になります。

《RX1R III を正面上から見る》レンズにはZEISS Sonnar 2/35、T*などが刻印されている。取り立ててわかりにくい操作部はありません。ミラーレスのαシリーズではZEISSレンズはGM(Gマスター)レンズに切替わったようですが、本機では撮影レンズのほかEVFの光学系脇にもがT*が刻印されています。このクラスではまだまだZEISSレンズの威光があるのでしょうか。それとも次世代機ではGMになるのでしょうか。気になる部分です。

《トップカバー上部を見る》トップカバー右端のC1マークは、基本設定では“ステップクロップ機能”が割り振られていて、ノーマルで35㎜、1回押しで50㎜、2回押しで70㎜相当画角へとクロップされる。このとき、背面液晶パネルに選択したクロップされた50㎜というように表示されるのは好ましい。ただ同じようなクロップ機能をもった機種としては、ライカQ3がありますが、画素数6030万画素で35㎜をベースに50・75・90㎜相当画角へ3段クロップできますが、ソニーでは6100万画素あるのに少し物足りない気がするのは私だけでしょうか。さらに同様なステップクロップ機能をもつ機種としてはリコーGRⅣが知られていますが、こちらはAPS-C判の2574万画素で、28㎜ベースに35・50㎜画角相当へと2段クロップされます。なおレンズ鏡胴には、0.2~0.35mまで近づけるマクロモードもあります。

《外装パッケージ》最近気になるのが各社の外装パッケージです。ソニーの場合には白地の箱に黒色のSONYのとイラストで描かれたRX1R III が目につきますが、かつては黒にコーポレートカラーのオレンジ色が使われていたのを考えると、すっきりと見える反面コストダウンしたのではという印象をもったことは否めません。

《外箱を開けると》箱は二重になっていて、中からは白いソフトな厚紙の袋にくるまれたボディがでてきます。

開封してアクセサリー類を取りだしました》左から、布製の専用ケース、ストラップ、カメラ本体、アイピースキャップ、金属製レンズキャップ。このほかにバッテリーが1つ同梱されていました。

《別売のアクセサリー》左から、別売フード(フードケースとフード)、予備バッテリー(このボディかレンズかわかりませんが電池消耗が激しいと、ユーザーの意見が多かったので予備を求めました。なぜかボディと電池を買うとキャッシュバックというキャンペーンをやってましたからメーカーも承知なのでしょうね)。でも、私の撮影では朝から晩まで使っても十分な能力でした。プロテクターフィルターは独自にケンコーを求めました(49㎜Φ)。

《メニュー画面と右手操作部》操作部は、P位置にセットしておけば絞り環位置関係なくプログラムAEとなり、Aで絞り優先、Sでシャッター優先となります。露出補正ダイヤルは目視でわかりやすいですが、専用ケースで出し入れのときに動いてしまった時があったのでαⅢのように簡単なロック・解除ボタンがあると良いかなとも思いました。

《別売フードを取付けと専用レンズキャップ》フードはアルミ削り出しだと致し方ない金額かもしれません。同梱のレンズキャップは、重々しく右下の厚紙がSONYロゴ部分を覆っていましたが、昨今シグマBFや富士フイルムのGFX100RFのようにやはりアルミの金属製なのです。個人的には、レンズキャップは樹脂製で軽いほうが良いと思うのですがどうでしょう。

アイピースキャップと専用ケース》アイピースキャップは別に取付けなくてもよいが、装着すれば目とファインダーの密着度は高く見やすくなります。右は専用ケースに入れたところ。腰がある布なので結構場所をとるのが少々気になります。ストラップは、豪華にするためにか剛性が強すぎるので、この撮影が終わったらもう少し柔らかいのに変えて普段使いとします。

《USBタイプC端子とケーブルレリーズ》バッテリーの充電はUSBタイプCから行う。充電器やケーブルは付属していません。ファインダー左脇上部にT*マークが記されています。シャッターボタンにレリーズ穴が開いていたので、装着してみたら、機械的なケーブルレリーズが使えることがわかりました。最近ではフジフイルムGFX100RFが使えました。いずれも共通点は、レンズシャッター式、レンズ固定式、手振れ補正機構なしです。

■さまざまな場所とシーンで撮影してみました

 いつものように半蔵門の英国大使館正門玄関を撮影しました。条件は晴天の日、朝10時15分ごろ、絞りF5.6にセットして、定位置から、建物屋根中央直下のエンブレムにピントを合わせています。

《いつもの英国大使館正面玄関》絞り優先AE:F5.6・1/640秒、ISO-AUTO100、AWB。やはり青空晴天の日が良く写ります。屋根下のエンブレムや左右の樹木を拡大してみると切れもよく、周囲の壁面も当然のように滑らかに描写しています。

《近接モードで撮影》プログラムAE:F8・1/250秒、ISO-AUTO100、AWB。英国大使館からの帰り道に見つけた、アザミ?の羽毛状の種。約20㎝までの近接ですが、拡大しても合焦部は十分にシャープで、背景のボケ具合も癖がなくてよい感じです。

《いつもの半蔵門国民公園の椅子》プログラムAE:F8・1/250秒、ISO-AUTO100、AWB。こちらもいつもの場所ですが、ピントは中心にあるテーブルの前方の縁に合わせました。絞りF8ですからパンフォーカス状態で、背景の植物にもピントがきてます。

半蔵門国民公園の小山》プログラムAE:F8・1/250秒、ISO-AUTO100、AWB。青空の左右隅にムラはなく、空の色も抜けてきれいです。わずかに左上の空が濃度が高いのは、右が東で、太陽が東側の上にあるからです。

《ヘリコプターの音に誘われて》プログラムAE:F8・1/400秒、ISO-AUTO100、AWB。ヘリコプターの音がしたので、空を見るとちょうど真上でしたので、AFが効くか向けたらみごとにキャッチ。ファインダー上では、ヘリコプターは小さなゴミぐらいにしか見えませんが、合焦してグリーンにランプ点灯。お見事のAF追尾能力です。このあたりがAIによる形状認識の性能アップなのでしょう。

《300%まで拡大してみたら》上のカットを画素等倍にまで拡大しましたら、ヘリコプターの形状は認識できました。そこで300%まで拡大したら、機体番号が「JAL1NH」と読めました。調べると“東京ヘリポート、オールニッポンヘリコプター”だそうで、飛んでいた日時も特定できるのでした。AF合焦精度お見事です。

《前ボケ・後ボケの具合》絞り優先AE:F2・1/2000秒、ISO-AUTO100、AWB。中央部よりわずかに下部の黄色い花にピントを合わせています。多少丸く感じますが、絞り開放のボケ具合としては上々でしょう。半蔵門にて。

《開進堂のコンクリート壁》プログラムAE:F8・1/250秒、ISO-AUTO100、AWB。最近見つけたグレーを見るための格好の場所。きわめてわずかに赤みが強い感じがします。同じ被写体をフジフイルムGFX100RFシグマBFで撮影していますが、各社それなりの癖があります。参照してください。半蔵門にて。

靖国神社の鳥居》プログラムAE:F5.6・1/250秒、ISO-AUTO100、AWB。歪曲がかなり目立つ、部屋の狭い柱などを見ると一目瞭然ですが、この距離でこの描写は?です。同じカットをシグマBFで撮影しているから比較してください。この手の方式のレンズは電子的な補正は加えられないのでしょうか。確かリコーGRシリーズが、レンズ性能そのものとか言ってましたが、やらないのか、できないのかは、私にはわかりません。

《写真家、鷲尾倫夫さん》絞り優先AE:F2・1/125秒、ISO-AUTO100、AWB。背景の作品群はあえてぼかし、顔だけにピントを合わせました。というか、カメラを向ければ瞬時に顔認識でなく、一気に瞳認識になります。たぶんこれが、RX1RⅢの最大の特徴でしょう。鷲尾さんとは、スナップ写真について少々お話を聞きました。新宿REDギャラリーにて。

《夜の新宿ゴジラ通り》プログラムAE:F3.5・1/125秒、ISO-AUTO400、-1EV、AWB。露出としては特にオーバーなところはなく、手前から奥まで電飾看板によく合っています。ピントはいつものようにゴジラの顔に合わせてます。新宿・歌舞伎町

ゴジラの画素等倍アップ》さすが6100万画素の高画素タイプです。これだけゴジラの歯がきれいに出たのは初めてで、素晴らしい描写です。同じカットを同等のフジフイルムGFXでも撮影してますのでご覧ください。

《絞り開放F2の口径食》絞り優先AE:F2・1/125秒、ISO-AUTO100、AWB。手前のポールにピントを合わせていて、周辺のボケに滲みを感じますが、35㎜という焦点距離とF2という口径では、特に問題となる描写ではないでしょう。中央部の過半を占める丸いボケは、自動車のテールライトです。新宿にて

西武新宿駅前広場のミュージシャン》絞り優先AE:F2・1/125秒、ISO-AUTO500、AWB。光源の加減だろうか、色はわりとおとなしく再現してます。やはりこのような場面でも素早く目にピントが行きます。ただし、背景を見ておわかりのように、高輝度面のエッジにブルーのにじみが発生するのは気になります。

《乾燥した自然の草花》プログラムAE:F4・1/2000秒、ISO-AUTO100、AWB。背景の白いペンキの塗られたテーブルはそのままの白ですが、ざるもそうですが、ホウズキ、木々の葉の色などが、全体的に赤が強く出ている感じがします。露出レベルの問題ではなさそうです。そういえば、ポートレイトを撮っている人は、ソニーの赤は、と言っていたのを思い出しました。自宅にて。

北杜市・手打ち蕎麦「満月庵」の杉さん絞り優先AE:F2・1/125秒、ISO-AUTO100、AWB。かつては高田馬場に「26の月」というギャラリーバーをやってました。今でも当時のお客さんが訪ねてくるそうです。杉さんは、メガネを外して撮影を望みましたが、メガネをかけたほうが似合いましたのでお願いしました。眼鏡をかけても、瞳にピントがきます。

《稲の畑を撮りました》絞り優先AE:F2・1/2000秒、ISO-AUTO100、AWB。手前の稲穂にピントを合わせましたが、背景がわずかにボケるため遠近感が増します。こういうのを空気遠近法というそうです。(武蔵野美術大学造形ファイルより)安曇野にて。

《ホテルの朝食》絞り優先AE:F5.6・1/125秒、ISO-AUTO1250、AWB。実はこの4倍ほど量がありますが、これだけで十分でした。質感を出すためにF5.6に絞り込みました。安曇野にて。

《ホテルの花》絞り優先AE:F2.8・1/160秒、ISO-AUTO100、+1EV、AWB。窓際の花ですから露出補正をかけました。うまい具合に、背景がハイキーなとろけるような感じでボケてくれました。安曇野にて。

《松にキノコ》絞り優先AE:F8・1/125秒、ISO-AUTO400、AWB。松に寄生したキノコですがマツタケではありません(笑)。松の皮が少し色としてきわだっています。キノコにピントを合わせ質感はまずまずです。背景にピントがいったように見えますが、コントラストからくる錯覚でしょう。安曇野にて。

《バッタのアップ》絞り優先AE:F5.6・1/125秒、ISO-AUTO160、AWB。35㎜でそっと近づきましたが、クロップして70㎜相当画角にすればよかったなと思いましたが、忘れていました。安曇野で写真仲間のお宅の前で。

碌山美術館・1》絞り優先AE:F5.6・1/125秒、ISO-AUTO2500、AWB。長椅子と古いオルガンの感じと、背後から入る自然光のコントラストが面白かった。安曇野にて。

碌山美術館・2》絞り優先AE:F5.6・1/125秒、ISO-AUTO400、AWB。なぜか露出補正なしでよい感じに撮れました。彫像の質感もよい。安曇野にて。

ちひろ美術館にて》絞り優先AE:F2.8・1/2000秒、ISO-AUTO100、AWB。所要被写体と背景の分離はこのレンズならではの描写の特徴です。安曇野にて。

■使ってみて

 フルサイズ判に35㎜にF2レンズというレンズの搭載は、やはり主要被写体と周辺(背景)の分離には役立つようで、単にどこにでもピントが合ってるようなパンフォーカス的な使い方のコンパクトデジタルカメラとは一線を画するということはよくわかりました。それだけに発売されてから、時代に応じた改良(技術進歩)が加わったのはよくわかりますが、私のレポートでは2012年RX1 (初代)を取上げているのですが、その時にやはりレンズの歪曲が気になることも指摘していました。

サイバーショットDSC-RX1を使ってみて - 写真にこだわる

ソニーサイバーショットRX1の撮影光学系 - 写真にこだわる

 αシリーズではツアイスレンズは、ソニーGMレンズに置換わったのに、なぜこの機種ではレンズの改良がなされなかったのか不思議です。

 AFの形状認識技術の向上は各社とも著しく、本機RX1R III でもしっかりとその技術進歩は認識できました。「写真はレンズで決まる」とはヤシカ時代のカールツァイスコンタックスレンズのキャッチフレーズでした。そして気になるのが、本機の広告が「奇跡」というフレーズを使っていることです。奇跡という言葉は、技術の進歩には似合わないというか、技術の進歩はたゆまぬ技術者の努力の成果であって、決して奇跡ではないのです。このあたり、ソニーの事業部の設計部門と広告宣伝部門の乖離を感じざるを得ません。

 8月8日に発売され、約2か月間じっくりと夏休みを利用して使ってみました。今回のレポートは、過去に例のないほどのショット数で、作例掲載も最多となりました。それだけ使うのが楽しいカメラだったのです。

 

 

それだけに、大変残念なことです。  (*^▽^*)