写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

僕のレンズテストチャート

いよいよ2010年も残すところわずかになりました。僕の今年最大の写真関連ニュースは、我家の庭から簡単に行えたレンズテスト用チャートの風景が、わずか2か月の間に忽然と消えてしまったことです。とはいっても、何も不思議なことではないのですが、隣家の2軒が家を建て替えたからです。それまでは、写真の一番左をご覧になっていただくとお分かりのように、28mmの画角でちょうどいい具合に、左右に大きな樹木があり、中央部にアンテナの立った木造家屋と、さらに背後にタイル地のマンションが建っていたのです。手前木造家屋のアンテナの部分を拡大すると色収差が見えて、屋根の飾りとマンションのタイル壁の目地を拡大すると画面中央部近傍の解像性能が読めるといったわけです。撮影時が青空ならば、上の左右端を見ることで周辺光量の低下が一目瞭然です。そして意外と便利なのがさまざまな樹木の葉の色再現特性です。必要以上に生々しく再現されるのもありますが、同じ葉っぱでも、色は違うのです。フィルムの時代もデジタルもそうですが、緑の葉がどれだけ自然に再現されるかは大切なチェックポイントです。その実力は、ここをクリックしてもらえばおわかりいただけると思うのですが、けっこう重宝していただけにチャート風景の消失は残念です。

◇写真は左から、元風景、建物が取り壊され新しい基礎ができ、新しい建物が上棟された今。もちろん同じ場所から
このほかに、このテストチャート撮影ポジションは、我家の塀越しなので機材の持ち運びが楽、西の空に向かって撮るので早朝から行える、玄関の軒下に三脚を立てるので日陰となりフードを取り付ける必要がないなどもありました。今後はどうなるのでしょうか?今のところあてはありません。元風景で残ったのは、画面左側の1本の柿の古木だけです。これで、再開発は一段落だと思うのですが、同様な手軽なシーンを探し求めることは不可能なことです。
ちなみに、クリックして出てくる画像はヘクトール2.8cmF6.3をライカM9F9に絞って撮影した時の場面ですが、ダウンロードしてさらにクリックすると画素等倍で見られます。