写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

「クラカメ雑談会」写真展


クラカメ雑談会」と銘打った写真展が10月22日(金)〜11月4日(木)まで、六本木ミッドタウンのフジフイルムスクエア“ミニギャラリー”で開かれています。まずクラカメ雑談会ってなあに?ということですが、クラシックカメラの愛機を前に自慢話をする集いが、いまから5年ほど前にスタートしました。そもそもは、富士フイルム社員のクラシックカメラ好き有志が、クラカメ所有では著名な写真家・竹内敏信さんの事務所をコレクション見学に訪れたことに端を発します。以後、社員外のゲストを招いて年に1回会合(飲み会)開き懇親を深めてきましたが、めでたく2009年から写真展を開けることになり、今年で2回目となったわけです。
僕はなぜか最初のゲストとしてお誘いをうけてからのおつきあいですが、相手が相手だけに毎回雑談会への参加に持参するカメラには苦労します。当初は一度に3台もお気に入りを持参して、次の会のネタがなくなり、シマッタ!という思いをしましたが、いまでは作戦変更して、持参機種は1台だけと決めてからは、後10年以上は楽に参加できそうです。でも、最初のうちはカメラを見せて自慢するだけで良かったのですが、最近は会も縛りができてきて、カメラとともにプリントした作品を持参という条件が付けられるようになりました。そうすれば、写真展も開きやすくなるわけですが、実際はその条件に合わせて雑談会に参加するメンバーは2割ぐらいというわけで、今回の写真展も直前まで撮影していた人がかなりいました。
僕は写真展にあたり、昨年は1932年製の「フォクトレンダー・ブリラント」を、今年は1950年製の「フォクトレンダー・ペルケオI」で参加しました。ブリラントのときは張り切って黒白撮影し4切に自分で引伸ばしましたが、今回は若干の多忙でカラーリバーサルで撮影しプロラボでダイレクトプリントしたものを提出しました。そしてなぜか、不思議と僕のお気に入りクラカメフォクトレンダー社のものなのです。これはとくに何か思いれがあってということでなく、どちらも6×6判としてはたいへん小型で、写した結果が素晴らしくいいからです。これはレンズにもよりますが、ブリラントはスコパー7.5cmF4.5、ペルケオIはバスカー75mmF4.5で、どちらも3群3枚のトリプレットタイプです。これで写すと、どちらもカラーコントラストが高く、最新カメラの描写に劣りません。

私以外の参加メンバー13人の使用カメラは、以下のようになりました。吉野信さん(プラウベル67Wプロシフト、1979年)、阿部秀之さん(コンタックスI+テッサー5cmF2.8、1937年)、竹内敏信さん(A G I F O L D、1956年)、赤城耕一さん(ゼンザブロニカEC-TL II、1978年)、河田一規さん(ライカIIIg、1957年)、熊谷晃さん(コンパス、1937年)、根本泰人さん(フォクトレンダー・ベッサII、1950年)、宮脇雅徳さん(ライカM3 +テリート20cm F4.5、1955年)、浜田寿さん(4×5判一眼レフCM450、2010年)、田村宏さん(ニコンFフォトミックFTN+ニッコールH Auto 2.8cm F3.5、1960年)、上野隆さん(ライカIIIg+ズマリット50mmF1.5、1957年)、堀江一久さん(キヤノンIID+キヤノン50mm F3.5、1952年)、福田尚さん(フジカフレックス・オートマット、1954年)。
ところでクラシックカメラの楽しみとは?と聞かれたら、まずは機械的な美しさとおもしろさ、そして絞りとシャッターと距離しか合わせるところがなく、そのシンプルさが正にクラシックで、しかもフィルムなので慎重に撮るわけですから失敗もなく、そのための緊張感も魅力です。さて、そろそろ来年の構想を練らなくては!
◇何人かの方から「クラシックカメラの定義とは?」とお問い合わせいただきました。基本的には、AE・AF・自動巻き上げでないカメラという内規はありますが、少し乱れましたね。でも、絶対写りそうな現代に通じるカメラも、おもしろさではもうひとつですね。時代的には、フィルムを使うカメラそのものがそろそろクラシックカメラかも知れません。