写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

写真展を見に行く

例年になく猛暑が続く毎日ですが、こんなときは都内の写真展めぐりもちょっとばかりつらいですね。6月の東京写真月間のときに日本写真協会の発行するパンフレットを見たら、都内近郊に参加の写真展会場は数年前は75軒ぐらいあったのですが、最近は少し減少して65軒ぐらいになったと大まかに理解しています。実際は、写真協会のパンフレットに載っていないギャラリーもたくさんあるわけで、東京近郊だけで120軒以上あるのではないかといつも思っています。
ですから写真展を見に行くのはどう頑張っても、週に3〜4軒ぐらい行ければ上々です。その判断基準は、まず知人からの案内状。これをもらったら、ほとんど必ずといっていいほど会期中に顔を出すようにしています。自分自身が写真展を開いているときに案内した人たちがきてくれるのもうれしいですが、意外な方がDM以外に最近ではWeb情報を見てきてくれることも多くこちらはもっとうれしいです。
というようなわけで、8月21日の土曜日は夏休を利用して、午前中は大宮で写真教室に顔をだし、午後からは僕のお気に入り写真家「ハービー・山口さん」の写真展『街角の天使たち』を鑑賞してきました。広尾にあるインスタイル・フォトグラフィー・センターという新しいギャラリーで、7月30日にオープンしたばかりです。実はその30日夕方に写真展とギャラリーのオープニングセレモニーがあったのですが、職場、業界写真仲間の暑気払いがダブルであり、さすが3軒は顔出しできませんでした。このギャラリーおもしろいのは、開廊は毎週金・土・日の3日間だけ、1:00PM〜6:00PM(金曜 7:00PMまで)、休廊が月〜木曜日というわけで、この日にやっと見に行くことができました。夜はおなじみのギャラリーバー「こどじ」が展示替えとなり、榊智朗さんの『9-Nine-』の写真を見て、常連さんと談笑して早々に帰宅。
翌日の日曜日は、朝6時に家を車で出て山形に向かいました。山形では、このブログにも以前は毎回コメントを寄せてくれていた“やまがたさん”こと、渡辺和哉さんが『幻想紀行』というタイトルで個展を開いているというので、ここは何とか行かなくてはというわけです。渡辺さんは「ノンライツRF友の会」&「新宿西口写真修錬会」のメンバーで、東京での会合や撮影会には、ほとんど顔をだすといった具合で、山形で写真展、それも個展なら顔を出した方がいいのではと、大澤弘会長と個別に見に行こうという約束でした。ちなみに僕は会のメンバーでも何でもなく、ある時期に大澤さんと知り合ってから撮影会などイベントに誘われると顔を出すように務めているだけの関係です。“やまがたさん”の写真はタイトルにあるように幻想となっていますが、いつもボケ玉というかソフトフォーカス的な描写で、山形らしい祭りなどの民族写真を追いかけていますが、今回はその集大成といったところでしょうか。写真展会場は、北山形駅から車で10分ぐらいの所で、“吉田カメラ二口橋新本店”の店内ということでしたが、事前にネットで検索するとアッと驚くほどのカメラ屋さんなのです。E-6リバーサル現像59分仕上げ、プリント19円、スタジオ撮影で気に入った写真を6切に伸ばして台紙に入れて3,500円とか、かなり頑張っているお店なのです。
“やまがたさん”のプリントもフィルムを渡しA1ぐらいにプリントして、額装して4,000円ぐらいとか、クオリティーも高く、さすが専門店です。写真展会場は1階店舗全体を見渡せる2階で、“やまがたさん”の作品は15点ほど飾られていました。写真展の会期は8月いっぱいの1ヵ月間だそうで、のんびりしていてゆっくりと予定を立て見に行くことができました。写真店が頑張っているとお客さんも頑張るのですねとばかり感心しました。
僕は、“やまがたさん”に敬意を表して、この日ばかりはライカにとっておきのソフトフォーカスレンズ(メディアジョイソフトフォーカスレンズ90mmF2.8)を付けて記念写真を撮ってきました。さらにひょっとしたら、このほかにやまがたさんがいつも撮っているような幻想的な写真が撮れるかもという淡い期待を抱いて行ったのですが、それは大間違い。少ない時間でしたがやまがたさんに案内された山形市内は立派な史跡があちこちに残る近代的な都市で、やはり写真とは部分と瞬間の切り取りなのだと痛感した次第。その日は、早々にやまがたさんと別れ上山温泉でお湯につかり、翌日は高畠、熱塩と廃線駅巡りをして、喜多方でラーメンを食べて無事帰りました。
◇写真は、旧県庁舎(国指定需要文化財)の“文翔館”。手前は地元東北芸術工科大学生が制作したというオブジェ。そういえば東北芸工大には映像学科に写真のコースもあったことを思い出しました。そして文翔館内外は基本的に撮影OKなのが気に入りました。