写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

続・ピントの合わせ方

ところで元々はフィルムカメラマニアのSさんは、何で「ルミックスGF-1+ライカMマウントアダプター+ライカマウントレンズ」にはまってしまったのでしょう。たまたま僕の手元に同じマイクロフォーサーズ規格の「ルミックスG2とMマウントアダプター」があったので、試してみることにしました。お恥ずかしいというか、当然というか、いままではレンジファインダーイカ用のレンズは望遠系をフィルムカメラ時代に35mm一眼レフに取り付けて撮影したことはあっても、デジタルでは、エプソンR-D1ライカM8ライカM9にそのまま付けて使ってきただけに、マイクロフォーサーズ規格カメラにアダプターを介して取り付けて使うということはまったく考えに及ばなかったことなのです。それというのもレンズの焦点距離R-D1で1.5倍、M8で1.33倍相当に画角変化してしまうのを嫌ったわけでして、ましては2倍相当のフォーサーズはということで、通り過ぎてしまったわけです。しかし、Sさんがはまった理由を知りたくて、まずは僕自身も試してみようとなったわけです。
◇装着したライカマウントレンズの中なかでは、右上の写真に示すように「ズミクロン35mmF2」がG2ボディに不思議とよく似合い、まるでこのレンズに合うようにボディがデザインされているのではないかと思うほどでした。◇
そこで用意したライカマウントレンズですが、スクリューマウントのコシナ/フォクトレンダーのスーパーワイドヘリアー15mmF4.5、キヤノン25mmF4、Mバヨネットのズミクロン35mmF2(第2世代、6枚玉、角付き、CANADA)の3本です。それぞれが、35mm判換算で焦点距離が30mm相当、50mm相当、70mm相当の画角が得られるわけですから普通に使えるのではと考えたわけです。まずは装着してみると、意外と素直に受け入れられることがわかりました。ピントの合わせは、さすが全画面表示の倍率そのままでは難しく、ほとんど困難ですが、ルミックスG2では(ルミックスオリンパス他機種もそうですが)必要部分を拡大してピント合わできるのできわめて快適です。3本のうち、ズミクロンはF2と大口径ですので、ピントが合っているときと、外している時の差は明確でみごとです。これはある意味、光学的一眼レフと相通ずる部分もありますが、それを超えてライブビューの威力そのものだと思いました。ライブビューでの部分拡大ピント合わせは、これからのひとつの撮影スタイルとなることは間違いありません。たとえば、レンジファインダー機のエプソンやライカがライブビューになれば、光学的な距離計は不要になるでしょうし、その分安価に供給できるわけです。そして、いままでは広角に強いとされていた、この手のカメラも一気に望遠側にも強くなるわけです。もちろんライカはいままでのカメラデザインを踏襲すればよく、もし他社が同じようなことをしようとするならば、既存のカメラスタイルとは別のものも生み出すことも可能となります。その表れがマイクロフォーサーズパナソニックオリンパスというわけです。また発売されたばかりのAPS-CサイズのソニーNEX-3、NEX-5サードパーティのマウントアダプターを使えばいろいろなレンズが使えるわけですからこれも楽しみです。
と、こんなことを書き綴っていたら、思い出しました。去る6月12日の日本カメラ博物館で行われた「リコーGRのデザイン」の講演会で、リコー 総合デザインセンターの奥田龍生さんは、今後GXR交換カメラユニットのバリエーションとしてAPS-Cサイズで「28mm画角の単焦点」と「レンズなしカメラユニット」が用意されると話されましたが、この「レンズなしカメラユニット」というのが正にこの手のものではないだろうかと考えるわけです。そしてレンズ交換式ミラーレスカメラには他社も参入のうわさも絶えないわけでして、今年の秋はドイツでのフォトキナを控え新製品登場の楽しみがたくさんということになります。
話が少し外れたようですが、僕はやはりライカレンズをライブビューで部分拡大してピントを合わせるほうに大いなる魅力を感じるわけです(はまりそうですが)。そんなことを考えていたら、Sさんに聞かれました。ライカM8はいくらぐらいするのだろうか?というのです。中古相場は別として、価格はM9と同じですよと答えましたが、Sさんの心は早くもM8のほうへ動き出したようです。
◆ブログ愛読者・神原武昌さんより◆「ピントの合わせ方」、「続ピントの合わせ方」楽しく読ませていただきました。私はルミックスG1に色々なアダプターをつけて、ボレックス16mm映画撮影機のパリ製アンジェニュー、ライカS&M、キヤノンニコンコシナ、シグマ、タムロン、etc.レンズをとっかえひっかえ、楽しんでいます。嵌ってます。もちろんフィルム系も使ってますよ。ご参考のために、拙作の「祭り」をお送りします。これはコシナのスーパー・ワイド・へリアー15mmF4.5で撮影しました。祭りおじさんと太鼓の距離感が好きです。