写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ますます流行る「オールドレンズ遊び」

 いよいよ11月15日には、ミラーレスライカ判フルサイズの「ソニーNEX」というか、ソニーα7とα7Rが発売されることになります。先日も、友人がソニーα7Rに広角レンズをつけたらどうなるかと、実験してみたいと申し出てきました。また、別の知人は1950年代西ドイツのレンズ交換式「パクセッテ」というカメラと交換レンズを複数持っているのでフルサイズのデジタルカメラで使えるように何とかしてほしいと頼まれました。前者は、ご自分で作った「ライカスクリュー ⇒ ソニーNEX」を持参されましたので、ライカM8/M9/Mでも周辺が赤く偏色するようなレンズで試してほしいというのです。でも、よく考えたら対称型の広角レンズを使用するとライカM8APS-H(×1.33)、ソニーNEX-7APS-C(×1.5)でも周辺が赤色に偏色していたので、フルサイズならなおさらのこと偏色は避けられないはずです。ま、ご本人が気にされているので試してみますが、その方面の情報によりますと、従来から市場に流通していたNEX用のマウントアダプターはAPS-C判用なので、フルサイズのα7と7Rに使うと物によってはケラレを生ずるというのです。これはフランジバックが短いためにかなり機械的にも微妙なようで、ソニーもAマウントレンズをフルサイズボディに使うためのマウントアダプターLA-EA-4/LA-EA-3を新たに用意しているわけですから、ひょっとしたらマウントアダプター屋さんはフルサイズボディが発売されたら、パニックというか、商機が再来かも知れませんね。

 だいぶわき道にそれました。上の写真は西ドイツのカール・ブラウン・カメラ・ベルケという会社で1950年代に製造された「パクセッテ II M」というカメラと交換レンズですが、操作部、デザインや金物の加工が特異で、僕のお気に入りのカメラです。このカメラ、レンズ交換が可能でいろいろと交換レンズがあるのですが、もともとこの個体についていた標準レンズ《Steinheil Cassarit 45mmF2.8》は、シュタインハイルという社名の響きが好きでやはりお気に入りです。

 レンズマウントは、ライカスクリューと同じM39のネジマウントなのですが、フランジバックが異なりライカには使えません。ヘリコイドは付いているので、スクリューマウントに下駄をはかせてライカのスクリューと同じように使おうと考えたのです。これには以前、精機光学セレナーのヘリコイド中間リングを使っていましたが、より厳密に、気軽に使えるようにと、同じ市内に住むニコン研究会の五十嵐さんにお願いし、わざわざ製作したものを分けてもらいました。ご覧のようにMマウントアダプターを付ければ最新ライカMにも使えます。パクセッテのフランジバックは44.4mmとされているそうですが、試写したら44.3mmで無限がでたので、ライカフランジバック28.8mmを引いて、アダプターの厚みは15.5mmになったそうです。

 上は「ライカM」に取り付けた状態ですが、シルバーボディともマッチし、なかなかうまく取りついています。この中間リングはけっこう芸が細かく細工されていて、レンズ指標が上にくるように、調整できるようにと二重構造になってます。
 さてここまでは、メカニズム紹介で、以下は撮影結果をお見せしましょう。五十嵐さんに敬意を表して、同じ市内で撮りました。

<カサリット45mmF2.8、F5.6・1/750秒、ライカM、ISO200> 昭和のレトロな時代を思わせる僕の好きな定番ポジションです。手前はニンジンの葉ですが、むらなく描写されています。画素等倍で見ると画面上左隅はかなり乱れていますが、普及タイプのレンズですから特に気になることではありませんが、ファインダーを覗いてピントを合わせていると、なんとなくピントの山が緩やかだという印象なので、すべてF5.6に絞りました。ノートリミング。

<カサリット45mmF2.8、F5.6・1/750秒、ライカM、ISO200> 最短撮影距離1mの所で、菊の花にピントを合わせました。背景のボケは素直です。ノートリミング。

<カサリット45mmF2.8、F5.6・1/750秒、ライカM、ISO200> 青空に映えるゆずの実がきれいだったので写しました。このカットは唯一面積で1/4ぐらいトリミングした周辺の画像で、背景のアウトフォーカスした部分の球面収差の影響を強調してあります。全体に発色はあっさりしていて、好みです。
 このような遊びができるのもライブビュー撮影ができるからです。すでに「ライカM」を使って過去の交換レンズが甦ると紹介しましたが、今後は、ソニーα7とα7RやニコンDfが発売されフルサイズでの「オールドレンズ遊び」がますます盛んになると思うのです。 !(^^)!

■「ニコンDfとソニーα7」   あなたはどちらが好きですか?