写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

ニコンZ7を使ってみました

 この記事は、整理して京都MJのサーバーに「ニコンZ7を使ってみました」として、移転しました。こちらでは作例を画素等倍まで拡大して見ることができます。
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 待望のニコンのフルサイズミラーレス一眼である「ニコンZ7」が去る9月28日に発売されました。すでにフルサイズミラーレス一眼としては、ソニーα7シリーズが先行していましたが、この時期からニコンに加えキヤノンが、来春からはパナソニックも参入とアナウンスされていて、一気にフルサイズミラーレス一眼への弾みがつきました。
 ニコンのフルサイズミラーレス一眼は、今回使用した「Z7」が45.7メガピクセル、ISO64~25600、9コマ/秒であるのに対し、普及機として「Z6」24.5メガピクセル、ISO100~51200、12コマ/秒があります。価格的には、ボディのみでZ7が44万円、Z6が27万円で11月下旬に発売されます。ここで普及機とZ6を位置づけましたが、画素数が少なければ安いわけですが、撮影コマ速度を見るとZ6の方が3コマも速いのです。従来の一眼レフで見ますと、ニコンD4(低画素16.2メガピクセル、高コマ速・11/秒)とD850(高画素45.75メガピクセル、低コマ速・7コマ/秒)の関係とは逆になるわけです。このあたりは、当たり前のことではありますが、まさにデジタル機ならではの性能と価格のバランスとなるわけです。

■“Z7”はどう読んだらいいのでしょう
 まず最初に“ニコンZ7”はどのように読んだらいいのでしょうか。日本的に考えると、国際信号旗Z旗”の読み方にしたがって、ゼット・セブン、ゼット・ナナとか読むのが一般的だと思っていましたが、東京メトロ半蔵門線社内英語放送はネイティブスピーカーなのですが、next station is ジィー セブン(Z7=神保町)、ジィー シックス(Z6=九段下)と読んでいたのです。そちらの方がなんとなくカッコいいので、僕は以後「ニコン・ジィー」の読み方にしようと考えたのです。そこでニコンの関係者にお伺いしたところ、日本ではどうやら「ジィー7」と読んでいたのを、フォトキナ会場のドイツでは「ゼット7」読んだのです。つまりどちらでもOKなわけです。

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 最初に用意したのは、Z7ボディにニッコールZ24~70mmF4S(136,500円)、ニッコールZ35mmF1.8S(114,000円)、マウントアダプターFTZ(36,500円)です。

■ファーストシャッターを切る

 “ニコンZ7”  最初のシャッターは、ルーニー247にて個展「RECORDARE」を開催中の飯田鉄さん。写真家さんは気持ちよく撮影させてくれるのがうれしいです。

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≪古希記念、飯田鉄さん1:Roonee247にて≫ニッコールZ 24~70mmF4S:焦点距離31mm、F4・125秒、ISO 500、AWB。左右640ピクセルでは何もわかりませんね。(2018.10.4)

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≪古希記念、飯田鉄さん2:Roonee247にて≫ニッコールZ 35mmF4S:F1.8・125秒、ISO 100、AWB。左右640ピクセルでは何もわかりませんね。(2018.10.4)

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≪いつもの英国大使館正面玄関≫ニッコールZ35mmF1.8S≫F5.6・1/3200秒、ISO400、AWB。朝のうちは曇りかなと思いましたが、9:30頃から青空となりましたので撮影してきました。このシーンは、いつも晴天時10:00~10:30の間、35mmを中心とした焦点距離で絞りをF5.6に設定し、正面中央屋根庇のすぐ下のエンブレムにピントを合わせています。撮影結果としては、ご覧のように水平方向の直線性は良く、発色はきわめて自然であり、ヌケのよい青空で特に際立った偏色はなく、微妙な植物の緑も細かく再現再現されています。撮影後、あれっと思ったのは撮影感度がISO 400になっていたのですが、前の撮影を引きずっていただけであり、特別な意図はありません。時間に余裕があればISO 100に再設定して撮り直しますけど、大きく変わることはないでしょうが、今までの撮影データの統一化という点からすると、気持ちの問題として、やはり再撮影は避けられないでしょう。(2018.10.6)

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 ≪英国大使館正面玄関エンブレム部分を画素等倍100%まで拡大≫45.7メガピクセルニッコールZ35mmF1.8Sの絞りF5.6のときの解像特性というわけです。今回は、ちょっとしたことでびっくりしました。撮影直後、まず背面液晶で画面中央下部のフラワーポッドを見ると、ハイライト部が飛んだ感じなのです、さらにビジネス用のノートパソコンでも同様なのです。以後、-0.3EV、-0.7EVの補正をかけて撮影しましたが、自宅のEIZOフレックススキャンM170モニターで見たらハイライト部は飛んでいなくしっかりと描写されているのです。改めて、画質を見るときのモニターの大切さを知らされました。さて、この画像でよいのかどうかは簡単にはいえません。結果は、かなり上質であることは間違いないのですが、より細かく知りたい方は、京都メディアジョイ「ライカに始まりライカに終わる」の項に、ソニーフルサイズミラーレス一眼、ニコンキヤノンのフルサイズ一眼レフ、シグマのフォビオンやサムソンまでと多種同じ場面で撮影していますので、比較検討資料としてください。

●撮影感度をISO100にして再撮影してみました。

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≪英国大使館正面玄関前を再撮影≫ニッコールZ35mmF1.8S≫F5.6・1/800秒、ISO100、AWB。初回の撮影からずーーっと気になっていましたので、天気が回復したので前回ミスでISO400で撮影したのを、ISO100にして再撮影。画面全体は640ピクセルではあまりわかりませんからそのままにしておきますが、画素等倍の部分だけをトリミングしてお見せします。改めてやってよかったのは、やはりISO100設定のほうが階調、解像、色ともによく、やはり高感度使用は良くなったとはいえ、ISO100設定の方がいいのですね。ISO400設定の時わずかに飛び気味だったのは、感度も絡んでいたかもしれません。確認できたのがよかったです。(2018.10.21)

■マウントアダプターFTZでのニコンFマウントレンズの動作確認
 マウントアダプターFTZを介してニコンFマウントレンズであるAF-Sニッコール24~70mmF2.8E ED VRとシグマ50mmF1.4DG ArtのレンズをニコンZ7に装着しての動作確認を行いましたが、特に問題はありませんでした。すでにタムロンの一部レンズには不具合があるとタムロンが発表しており、ファームアップで対応するとしているので、このあたりは各社とも特に問題はないのでしょう。

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ニコンZ7に取り付くようにAFニッコール35mmF2D+マウントコンバーターFTZを組み合わせた状態とニッコールZ35mmF1.8Sを並べてみました。この状態で、Z35mmF1.8の方が約12mmほど背が高いのです。背が高い分だけ画質に違いがあるのでしょうか、やがて比較検討してみましょう。AFニッコール35mmF2Dは僕のニコンフルサイズ用の画質評価基準レンズなのです。並べるとわかりますが、Zレンズでは距離目盛と被写界深度目盛りとかは省略されているのです≫
 そしてマウントアダプターFTZを介して、Z7ではAF非連動のAFニッコール35mmF2Dを装着して操作してみましたが、マニュアルのピント合わせでは、ファインダー左下部に▶●◀の表示に加え、測距点が合焦するとグリーンに点灯するフォーカスエイドとして使えるのはうれしいです。マニュアルのピント合わせは、フォーカス点を目的に応じ2段階拡大させて目視で合わせるのです。その拡大(+)・復帰(-)は背面液晶の右下にあるのですが、ファインダーを覗きカメラを構えたまま右手親指で操作するには、グリップを握ったままではかなりむりがあり、一度左手でカメラをホールドし、親指が届くように右手のグリップを握り直して操作します。このあたり、かなり手の大きい人なら自在なのかもしれませんが、少なくとも僕の手ではグリップしたままの操作はむりで右手の握り直しが必要でした。このボタン操作、マニュアルフォーカスだけではなく、AFでも必要な操作なのです。そして拡大の解除は(-)側のボタンを押さなくてはならないのです。もし2段に最大拡大した時には、2回(-)側のボタンを押すと全画面表示に戻るのです。ここは、最大拡大からさらに押し込むと全画面表示に行くとか、シャッターボタンを半押ししたら全画面表示に戻るようになっていれば、マニュアルフォーカスでも素早い撮影ができるのにと思うのです。このあたりは、カスタム設定で変えられるのでしょうか、それともファームウエアアップで対応できるのでしょうか。至急何とかして欲しいところです。

 さらにもう1つ、あれこれ操作していてわかったことがあります。グリップ部のマウント基部にファンクションボタンがFn1、Fn2と設けられているのですが、カメラをグリップしたまま操作するには右手指がやはり届かず、左指を動員しても難しく、苦労しました。ちなみにFn1ボタンを押しながらグリップ部前面上ダイヤル、右肩部ダイヤルを回すとホワイトバランスの設定が細かくでき、Fn2ボタンを押しながら前・背面ダイヤルを操作するとフォーカスモードを細かく設定できます。もっとも、カメラを構えたままファンクションボタンを操作することは少ないようなモードが初期設定では割り振られているから指が届かなくても問題ないのでしょうが、ユーザーがさまざまな機能を割り振ることができるわけですから、もっと配慮して欲しかったところです。

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 写真左)普通にグリップを握った状態の背面から見た僕の指と各操作部との配置関係です。写真中)グリップを握ったまま拡大ボタンを押そうと親指を動かした状態、写真右)グリップを握った状態でのファンクションボタンFn1、Fn2と指先との関係。いずれもかなり操作には、むりがかかるということがお分かりいただけるでしょうか。今までさまざまなカメラを使ってきましたが、このような経験は初めてです。カメラの操作は、それぞれの社の考え方があるので、ユーザー自身が使い込む中で操作に慣れることは絶対必要ですが、どうなれても指の長さは伸びないのです。設計に携わった人はかなり手指の大きな人たちばかりだったのでしょうね。基本の操作だけに残念なことです。ちなみに、上掲のニコンD3sにはグリップ部マウント基部には、PV・Fnボタンが設けられているのですが、僕の指先でも構えたまま届き、むりなくダイヤルも構えたまま操作できるのです。ボディがZ7より大きいのに指が届く、不思議な現象です。

■もう1つ、ミラーレスフルサイズの魅力はサードパーティー製マウントアダプター

 実はミラーレス機のもう1つの魅力は、ほかのカメラの交換レンズが使えるマウントアダプターの存在なのです。パナソニックルミックスG1が2008年に発売された時、純正のアダプターとしてライカM用とR用のアダプターが発売されましたが、M4/3では焦点距離2倍相当、APS-CソニーNEXでは1.5倍相当と画角が狭くなってしまったのです。それはそれでルミックスオリンパスは、登場が早期であったために人気が出て数を伸ばしました。しかしマウントアダプターによるレンズ遊びが大きく流行ったのはフルサイズのソニーα7シリーズが2013年にでてきてからでした。いずれにしても自社の一眼レフの交換レンズを使えるようにする範囲ですが、他社の、それも今はなきカメラ、カメラメーカーの交換レンズを使えるようにするためには、サードパーティの存在なくしてはあり得なかったのです。そしてフルサイズミラーレス一眼であるソニーαシリーズの飛躍的な伸びには、小型・軽量であることに加え、マウントアダプターによる各種レンズが使用可能なことが、かなりの割合で占めていたのだろうと思うわけです。

 逆にいえば、サードパーティのマウントアダプター製作がなければ、ビジネス的にも魅力のないカメラとして烙印を押されたも同然だと思うのです。ここをうまく利用したのが富士フイルムのGFX50Sで、発売後1週間後には中国企業がマウントアダプターを作るという早業にでたのです。これは、彼ら自身がGFXは商売として成立する、つまり売れると判断したわけです。というわけで、ニコンZ7は彼らにとって格好のビジネスチャンスとなるわけです。そこでどこから最初に出てくるかと見ていたら、焦点工房の「SHOTEN」からライカM⇒ニコンZマウントアダプターが17日に発売されたのです。ニコンZ7は、日本での発売は9月28日でしたから、わずか3週間後には発売というのですからすごいです。さらに調べてみると、KIPONも出荷を開始したというのです。これから各社の参入が続くでしょうね。

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 というわけで、さっそく「SHOTEN」のライカM⇒ニコンZマウントアダプターをさっそく入手して、ズミクロン35mmF2(第2世代、4群6枚構成)を付けて、はるばる滋賀県まで試写を兼ねて撮影に来てみました。ところががっくり、ノートパソコンは持ってきたけど、XQDカードリーダーを家に置いてきたのです。今さらながら残念ですが、128GのXQDカードとカードリーダーで3万円、リーダーだけで6,000円もするのでは、とても買い増しするわけにいきません。ということで、現地からのズミクロン35mmF2のニコンZ7での描写特性は帰宅するまでのお預けとなりました。

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≪コスモス畑、ズミクロン35mmF2(第2世代、4群6枚構成、1969年製)、SHOTENライカM⇒ニコンZマウントアダプター使用、MF、絞りF5.6・1/640秒、ISO100、AWB≫この大きさではわかりにくいですが、ピントに合わせた所にずばり合っています。画素等倍まで拡大してもびくともしません。製造年代からするとすでにクラシックレンズそのものですが、性能は現代でも十分であり、撮影にあたっては絞りF5.6に絞っていますが、さすがズミクロンです。また画面左上には青空を入れて光量落ちを見てみましたが、周辺光量の低下もさほど目立たなく画面周辺まで十分に使えます。ズミクロン35mmF2の特性はこちらで詳しくレポートしてますので参照してください。なおマウントアダプターのZ7ボディへの取り付けはスムーズでした。操作にあたって、Z7にはレンズなしでもロックされる仕様はないので、アダプターレンズを装着して、そのままシャッターを切ることができました。滋賀県にて、(2018.10.18)

★マニュアルフォーカスでのピント合わせ
 ところで、マウントアダプターを使った時のピントですが、EVFか背面液晶で可能なら最大限拡大してしっかりとピントを合わせると良いのです。フィルムカメラの時代には、被写界深度という考え方が成り立ちましたが、デジタルでは最大限画素等倍で拡大してピントを見ることが多いのです。またマウントアダプターを使い、ヘリコイドを回転させたら無限遠を行き過ぎてしまうというのもよく聞く話ですが、それは行き過ぎるのが正しいのです。AFのレンズでは、位相差検出、コントラスト検出ともども、ピントはピークを目指して前後させて合わせるので、無限遠の向こうにわずかに行くのが実は正確なピント合わせには必要なのです。よく「無限遠がでるように調整しました」という話も聞きますが、それはマニュアルフォーカスのカメラとレンズの関係であり、昔の一眼レフやライカのレンズでは、無限遠マークに突き当てて合わせるということもできますが、厳密には温度のよる膨張などもあり、実際はどこまで合っているかの、プリントをどこまで大きくするかなどの問題なのです。実際、拡大させてピントを合わせてみるとわかることです。

■ZレンズSシリーズの実力

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≪芝生に1枚の枯葉を立ててZシリーズSタイプレンズの実力を見ました≫(2018.10.10)
 用意したのはニッコールZ35mmF1.8S、AFニッコール35mmF2DとマウントコンバーターFTZの組み合わせ、Zニッコール24~70mmF4Sの3本です。この場面を同距離・同アングルで絞り開放でそれぞれ枯葉にピントを合わせて撮影しました。このような場面を撮ることにより、ピントを合わせた所の解像特性、前・後アウトフォーカス部の乱れ、周辺減光の具合、焦点深度などを知ることができますが、ここでは全画面表示はニッコールZ35mmF1.8Sだけを載せることにしました。これはZ35mmF1.8Sがわずかながら他のレンズより周辺減光が大きく見えましたので、あえて選びました。いずれにしても640ピクセルの全画面表示でわかるのは、全体の絵柄と周辺減光ぐらいなのです。なぜZ35mmF1.8Sが周辺減光が目につくのかは、明確にはいい切れませんが、3本のレンズの中で最も明るいことです。

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≪35mm絞り開放描写の画素等倍画像≫(2018.10.10)
 左)ニッコールZ35mmF1.8S(F1.8・1/1000秒、ISO 100)、中)AFニッコール35mmF2D(F2・1/640秒、ISO 100)、右)Zニッコール24~70mmF4S(F4・1/200秒、ISO 100)の画面中心に配置した枯葉の画素等倍画像です。いずれも、三脚使用、薄曇りでAWB、露出補正なし、jpegFINEで撮影、後処理もなし。撮影直後に背後の液晶モニターで拡大した時にはZSレンズはすごいと思いましたが、自宅に帰って大きなモニターで見るとAFDレンズは少し前ピンのような感じがするのです。ZSレンズはシングルポイントAFで、AFDレンズはマニュアルで合わせましたが、少し違う気がします。これは僕のマニュアルでのピント合わせが甘いのか、目視と実ピントが違うのか、理由はわかりません。ただしニッコールZSレンズの解像度が高いことはこの比較を見れば明らかです。基本的には、将来のフルサイズ100Mピクセル解像時代を視野に入れたレンズのはずで、さらに大きく、高価なわけですから、当然といえば当然ですが、時間を見つけて再度天候を変え、同じような撮影条件で試してみましょう。もし、目視でのピント合わせが甘いなら、もう1段拡大したほうがよかったかなと思いました。そこで、やはり1)全画面表示→2)チョイ拡大→3)さらに拡大→4)もっと拡大というわけですが、次に5)全画面表示に戻るというようなループになっているか、途中どこでもシャッター半押しで1)全画面に戻るといいと思うのです。

*その後の進展

 実は後日、私の写真生活50年以上で初めて、恥を忍んでニコンのサービスに「Z7」の使い方を聞きに行きました。聞いたのは、1)セルフタイマーのセット法、2)RAW+JPG撮影の設定方法、3)マニュアルピント合わせ時の画面の拡大法とその簡単戻し法です。1)と2)は取説をよく読めばわかるのですが、過去のニコンの一眼レフにはまったくなかった操作法(たぶん)なのです。一緒にやってみた若手のカメラジャーナリストは、発表会にも出て、ファンミーティングには朝から晩までいたというのですが、RAW+JPGの設定はできませんでした。なぜだろうとあれこれと考えましたが、背面液晶の表示と操作ダイヤルでの選択設定が直感的に結びつかないのです。企画設計した人たちは、仕事で朝から晩までどう作ったらよいかと操作したでしょうから、体にシーケンス、操作が染みついていると思うのですが、いままでニコンを使っていても初めての人にはなかなかわからないのです。背面液晶で横1列に各設定項目が並び、そのすぐ右脇にはセレクターレバーがあるためにそちらに指が行ってしまったのです。本来はボディ右肩位置にあるメインコマンドダイヤルを回転させればいいのですが、横1列に並んだ各設定項目とメインコマンドダイヤル回転させることが液晶表示とイメージとして連係しないのです。ちょっと例が違いますが、今回の撮影で大津に行きましたが、日産のレンタカーのキーレスキーがどのように操作していいのかわからなかったのです。従業員に聞くと、実はその日に配車されたときにその人もわからなかったというのです。似たようなこともあるのですね。カメラは、大きな背面液晶があるのですから、操作時はファインダー像が見えているより、やはりわかりやすくして直感的に操作がわかるようなGUIにすべだと思いました。カメラも車も、取説読めばわかるし、一度教えてもらえばわかることなのですから、ユーザーの責任なのでしょうかね。
 もうひとつ、3)のマニュアルピント合わせ時の画面の拡大法とその簡易戻し法ですが、あるのですね。聞いてみると、はい確かここにといい、ヘルプの人を呼びましたが、あれこれ触っているうちに、ご自身で見つけ出し教えてくれました。それによりますと、Z7の初期設定のままではできなくて、カスタムファンクションのf3に“OKボタンの機能”という項目があり、「静止画モードの撮影時または再生時にOKボタンを押したときの機能を設定できます」と書かれていますが、何がどのように設定できるか書かれていないのです。これだけは取説読んでも、わかりませんし、わずか1cm幅ぐらいの小さな解説なのです。自宅に戻り、設定しようとしたらどこだったかな?としばらく考えてしまいました。カメラ側のカスタムメニューf操作というのがあり、そこのf3が「OKボタンの機能」となっていて、さらに撮影モード(+)、再生モード(+)となっていて、撮影モード(+)を開くと、RESETフォーカスポイント中央リセット、拡大画面との切り替え、設定しないの3項目があり、低倍率(50%)、等倍(100%)、高倍率(200%)とあり、そのうち任意の設定を行うのです。僕は等倍(100%)に設定しましたが、この設定で撮影時にファインダーをのぞいたままOKボタンを押すと一気に等倍までいき、必要に応じ(+)(-)ボタンで細かく操作できるのです。そして全画面の表示に戻すのには、もう1度OKボタンを押せば戻るというのです。もちろん(-)ボタンを拡大数に応じ押し込むことでも良いのですが、“OKボタンを再度押すと一気に全画面表示に戻る”とは、説明書のどこにも書いてないのです。でも社内教育で教えているなら、取説に書くべきだと思うのです。

■ランダムな実写による結果

 基本的にカメラですので、写ってどれだけの世界になるわけです。ここまでは、まったくの基本に関しての描写を紹介しましたが、これから先は僕の生活のなかでさまざまな被写体にZ7を向けてみましょう。ということで少し旅にでまして、改めて新しいデータを追加しました。

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秩父にて:Z24~70㎜F4S(焦点距離24㎜、F4・1/25秒、ISO900、AWB)≫(2018.10.10)

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≪鳥居:Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離45mm、F5・1/100秒、ISO 100)≫うっそうとした神社の鳥居にクモの糸が1枚の葉をぶら下げていたので、枯葉にピントを合わせシャッターを切りました。わずかにアングルを変え2枚シャッターを切ると枯葉は、はらはらと舞いながら落ちていきました。画素等倍に拡大すると手持ち撮影でしたが、葉脈までどうにか解像しています。(2018.10.10)

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≪ツタの絡まる石碑:Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離70mm、F4・1/160秒、ISO 100)≫少し明るいところでツタの絡まる石碑を撮影。石肌がきれいに緻密に描写されているのが640ピクセルの画像でも確認できます。(2018.10.10)

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 ≪落ち葉、石山寺にて:Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離70mm、F4・1/200秒、ISO 100)≫解像度が高いレンズだけにこういう被写体が向いています。(2018.10.17)

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石山寺山門:Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離70mm、F4.5・1/320秒、ISO 100)≫紅葉には早かったですが、逆光の感じがいいです。(2018.10.17)

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≪夜の新宿裏通り・1:Zニッコール35mmF1.8S(F1.8・1/40秒、ISO 160)≫左上のドクロのお面にピントを合わせました。(2018.10.18)

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≪夜の新宿裏通り・2:Zニッコール35mmF1.8S(F1.8・1/40秒、ISO 250)≫ガラス越しの店内もかなりシャープに写すことができました。(2018.10.18)

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≪集合写真:Z35㎜F1.8S、絞りF11・1/40秒、ISO1100、サイレントモードで撮影≫この日は、カメラ好きが集まる「写真懇話会」の日。最大限集まった時に記念写真を撮るのが習わしで、そこに35㎜F1.8付のZ7を持ち込んだところまでは良かったのですが、あらかじめお決まりの集合写真をセルフタイマー撮影しようと設定をシミュレーションしたはずが、いざ撮影となると最終的なセットができないのです。時間がないので1人抜けてシャッターを押しましたが、お恥ずかしい限りでした。サイレントモードで撮影しましたので、皆さんシャッターが切れていないよと指摘されました。こういう撮影にはサイレントモード撮影は向きませんね。(2018.10.20)

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≪かわごえ祭:Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離24mm、F7.1・1/200秒、ISO 100)≫屋台と屋台がぶつかり、お互いにエールの交換です。(2018.10.21)

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 ≪かわごえ祭、ヘクトール135mmF4.5(3群4枚構成、1955年製)、SHOTENライカM⇒ニコンZマウントアダプター使用、MF、絞りF5.6・1/400秒、ISO100、AWB、色が青っぽく見えるのは背景が日陰であるために全体のカラーバランスが崩れたためで、順光の場合の発色は問題ありませんでした≫(2018.10.21)

■マニュアルレンズでの手ブレ補正セット

 かわごえ祭にライカMマウントのヘクトール135㎜とともにマウントアダプターを持ち込みましたが、撮影の途中で妙なことに気づきました。ヘクトール135mmを付けてファインダーで正確なピント合わせをしようと、撮影部分を拡大したのですが、ブルブルと画面が震えてなかなかピントが定まらないのです。とりあえずその場の撮影は済ませましたが、自宅に帰ってマウントアダプターと複数のレンズを用意して試してみました。その結果わかったことは、純正のマウントアダプターであろうとサードパーティ製であっても、レンズ側に電気信号ピンがないとボディ内手ブレ補正機構が働かないのです。純正のマウントコンバーターFTZにAFニッコール80~300㎜F4-5.6Dを付けると手ブレ補正が働くのですが、非AFのニッコール135mmF3.5を装着するとヘクトール135㎜F4.5と同じように手ブレ補正が働かないのです。ボディ側の手ブレ補正の設定の項を見ると、OFF・Nomal・SPとあるのですが、AF対応でないレンズを付けると、純正のニッコールレンズでも手ブレ補正は働かなくなるのです。少し前に使ったズミクロン35㎜では気づかなかった部分ですが、ヘクトールの135㎜という焦点距離の長いときには拡大を上げてファインダーを見ると手ブレしているのがもろにでてきたのです。このヘクトール135mmはNZ用マウントアダプターを付けてレンズ先端からZマウント基準面まで約140mm、ニッコール135mmは約105mmです。使ってみるとレンズ長が長いほうが手ブレが大きく見えるのです。もし可能ならばAFレンズでなくても、手ブレ補正が効くようになっていればいいのにと思い、いろいろ調べていきましたら、工具マークの「レンズ情報手動設定」の焦点距離F値を設定すれば手ブレ補正機構が働くのがわかりました。ここには20種類のレンズを設定できますが、今回は汎用性があるようにと50㎜F2に設定しましたが、これでまずはAFレンズ以外でも手ブレ補正OKとなりました。

■マウントアダプターを使った時のレンズのメカニカルバック
 フルサイズミラーレス一眼の楽しみは、マウントアダプター遊びであるというのが私の常日頃からの持論です。そこで、フランジバック16mmというニコンZ7で、マウント基準面からどれだけ出ていても物理的に問題ないのはどんなレンズか調べてみました。まず、以下の写真を見てください。すべて距離計連動のライカ用交換レンズの後部の写真ですが、スクリューにはMマウントアダプターを付けて、それぞれフィルターを付けて統一してあります。

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≪左から、ズミクロン35mmF2(〇)、キヤノン25mmF3.5(〇)、沈胴式ズミクロン50mmF2(〇)、スーパーアンギュロン21mmF4(X)。この4本の交換レンズのうち、Mバヨネットの内爪より尻がでていないのはズミクロン35mmF2だけで、残り3本はいずれも尻がでているのです。このうちズミクロン50mmF2は沈胴式ですが、カメラに物理的なダメージを与えないのを確認するという意味であえて沈胴状態にしてあります。これにライカM→NZマウントアダプターを付けて、Z7で撮影可能となるが、その状態で物理的な損傷を与えないのはどのレンズかということです。その結果は()内の〇Xで示してあります。

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≪ライカM→NZマウントアダプターを付けた状態でレンズの尻を見てみました。左は、沈胴式ズミクロン50mmF2ですが十分セーフ。右は、スーパーアンギュロン21mmF4で危険でやめた方がいいとななります。この判断基準は、NZマウント爪より出ているか、それ以内に収まっているかとしました。スーパーアンギュロン21mmF4のはみだし部分は約5mmですが、フランジバックは残り10mmぐらいあるから良いのではと考えるのはまったく危険です。このZ7の場合、撮像素子の前にはレンズを外した状態では見えませんが、機械的なシャッターが隠れていて、さらに撮像面の上にはIR/UVカットフィルターなどがあるはずで、それを加えた厚みというか距離があるので、シャッター幕面より前なら物理的にOKとなるのですが、その数値が不明なためZマウント内爪背後よりでていないあたりが安全圏となると判断しました。もし何としてでもというのなら、サイレントシャッターモードにすれば少し出ていてもシャッター幕が隠れていてセーフかもしれないですが、まったく保証の限りではありません。知人のHさんは、ソニーα7R2で見た目でOKと思い、レンズを付けてシャッターを切ったら、シャッター羽根とレンズ後部が接触し、購入したばかりのボディで有料シャッター交換となったのです。勇気があるとかないでなく、危ないことは避けるべきです≫

■ライカマウント広角レンズの周辺光量の再現性
 レンズ交換式の距離計連動デジタルカメラの初期に、APS-Cの画面サイズであってもライカマウントの広角レンズでは周辺光量がフィルム時代とは異なり、極端に落ちたり、マゼンタの色付きがあったりとカラーではとても使えませんでした。その後フルサイズになっても大きく変わる部分はありませんでした。さらにフルサイズミラーレス一眼の登場がありましたが、その傾向は変わりありませんでした。しかしミラーレスフルサイズ機でも世代を経ることにより、撮像素子が裏面照射タープなどの新技術の採用などにより、徐々にそのようなことが解消されてきたのです。そしてニコンZ7の登場です。ここでは過去に問題があって使えなかったレンズ2本をあえてピックアップし、その効果のほどを見てみました。

 なお、この周辺光量低下はあくまでも、ニコンZ7の結果でありまして、画素数が少なくなり画素ピッチが大きくなるZ6が発売されるとさらに別の結果が期待されるのです。

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キヤノン25mmF3.5とスーパーワイドヘリアー15mmF4.5を使ってみました≫

f:id:ilovephoto:20181025155709j:plainコシナフォクトレンダースーパーワイドヘリアー15mmF4.5ASPH.:F8・1/320秒、ISO100、AWB≫1999年に発売されたコシナの超広角レンズですが、最新モデルはデジタル時代に合わせて光学系は一新されていますが、ここに用意したのは初代のライカスクリューマウントモデルです。当時は、ホロゴン15mmF8が100万円近くもしていたのに対し、10万円未満で、明るく、周辺光量補正フィルターも不要であることなどから、一大ヒット商品となりました。その初代スーパーワイドヘリアー15mmF4.5ですが、ライカ判フルサイズデジタルのライカM9がでたときには、周辺の光量が落ち、しかもマゼンタ味に色付きするということで、モノクロにしか使えないと判断されたのですが、マウントアダプターを使った最新のニコンZ7はどうでしょう。撮影してみるとごく普通に使えるようになったのです。いかがですか? 周辺でマゼンタ色の色付きもなく、フィルムカメラ時代と同様に適度な周辺光量の落ち込みもなかなかいい感じです。

f:id:ilovephoto:20181025155733j:plainキヤノン25mmF3.5:F8・1/320秒、ISO100、AWB≫1956年に発売されたライカスクリューマウントの当時としては広角大口径交換レンズでした。1970年代には多くの写真家がこのレンズを使って作品を残した名玉でもあります。Z7での撮影結果は、やはり周辺光量は適度に落ちていますが、初期のフルサイズ機では使えなかったのが、普通に使えるようになったのです。しかしZ7で撮影すると、このレンズ本来の性質が表れ、かつてのフィルムカメラ時代の描写をほうふつとさせるいい感じです。

★夕日が?? ミラーレス一眼のマルチパターン測光とカメラ内の色再現
 ニコンの一眼レフで一番いいのは、マルチパターン測光だと昔から思っていました。撮影画面を5分割して測光するマルチパターン測光を最初に搭載したのは1983年発売のニコンFAだったのです。この測光方式の出現により、ラチチュードの狭いカラーリバーサルフィルムでも、細かい露出補正があまり必要なくなったり、雪が白く写るなど、当時は感激ものだったのです。その後各社とも多分割測光を採用しましたが、ニコンだけは一味違う測光を行うと思っていました。そして時代はデジタルに変わりましたが、一眼レフのD850までフィルムカメラ時代と大きな違和感なく使ってこれました。今回、Z7を使っていて、少し今までと違うなと思ったのは測光結果です。 特にEVFと背面モニターで見ると逆光の補正がつらい感じがしたのです。そこで、さまざまな場面を撮影しているうちに、夕日を撮ろうとしたのですが、撮影直後のEVFと背面モニターを見ると、全体にシャドー重視で白っぽく見えるのです。夕日が写らない、これは大変だと、マイナスの露出補正をかけてみましたが、-1.3EVかけても従来機の結果とは異なる感じがしたのです。これは、一眼レフの場合にはペンタプリズムの受光素子で測るのに対し、ミラーレス一眼では撮像面で測るために、同じマルチパターン測光でも撮影シーンによっては違うのだなと考え、夕日を撮影するのはあきらめたのです。
 そして、自宅のパソコンに撮影データをコピーし、わが家のモニターで再現すると確かに今までのマルチパターン測光よりシャドー描写重視的に白く写る感じがしますが、夕日に赤く染まった空はどうにか見えるのです。ところがEVFと背面モニターで見るとどちらも夕日に赤く染まった部分が薄く白っぽく見えるのです。これは液晶が今までと違うのかと考えましたが、EVFはOLED、背面液晶はTFTであり、そこに起因することではなさそうで、むしろ基本的なディスプレー画像出力の色傾向のようです。結局、露出レベルはこのような夕日の時には、今までのマルチパターン測光よりオーバーに記録されますが、それ以上にカメラ側の表示傾向によりシャドー重視で白っぽく見えるのです。このあたりはかなり微妙ですが、実際に撮影していてすっごく違和感を感じた所です。それぞれの結果をお見せします。またかなり乱暴ですが、わが家のモニターとカメラ背面モニターの見え方の差を示しました。

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≪琵琶湖の夕日・1、Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離70mm、F6.3・1/640秒、ISO 100、AWB、マルチパターン測光)≫カメラ側のEVFと背面モニターで見るとこのデータで黄金色の発色が消えているのです。(2018.10.17)

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≪琵琶湖の夕日・2、Zニッコール24~70mmF4S(焦点距離70mm、F7.1・1/800秒、-1.3EV露出補正、ISO 100、AWB、マルチパターン測光)≫(2018.10.17)

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≪左:モニターでの再現、右:Z7背面液晶の再現≫厳密にいえばかなり無茶かもしれないですが、これくらいの差があるのは事実です。

★ミラーレス一眼のサイレントシャッター

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≪サイレントモードでの動体撮影:Z35㎜F1.8S、絞りF13・1/1000秒、ISO3200≫サイレントモードで撮影すると、電子シャッターを使用して、シャッター動作音と振動のない撮影ができるのですが、動体では歪みがあるように撮影されることもあります。したがって、大きな動きのある被写体には向きませんが、音楽会や踊りなどで大きく動かない決めポーズなどでは、静かなので大変有効です。この歪み具合は、撮像素子の特性、被写体の走行方向、走行速度、撮影距離など相対的な部分で決まることが多いのです。なお他社ではどうかというと、RIIと同程度という印象です。このようなことをローリングシャッター現象とも呼びますが、ミラーレス機全般の今後の課題といえます。

■ミラーレス一眼は本当に小型なの?
 人間の感覚なんて、きわめてあいまいなものです。連日「ニコンZ7」を持って歩いていると大きく重く感じてくるのです。そして頭の中では、レンズが大きくなったからな、などといつも考えるようになってきたのです。マウント口径が広がり光学性能の向上したレンズは、大きくても、確かにその実力を確認できましたが、まだ手にしたこともない超望遠レンズを付けた場合はどうだろうかなどと考え、撮像面からレンズ先端までを測ると一眼レフもミラーレス一眼も同じではないかなどと夢想してしまうのです。いやそんなことはないと、久しぶりに往年のフラッグシップ機ニコンD3sのほこりを払い、同等の35mmレンズを付けた状態で外観を比較撮影してみました。確かにミラーレス一眼は小さいのです。とてもレンズがでかいなどとは言ってられないことはよくわかるのです。これには深く反省です。

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 ちなみにそれぞれの重さは写真の状態で、Z7が約1,040g、D3sが約1,610gでした。計量にあたっては、わが家の料理用ハカリは最大1,000gまでなので、どちらの機種もハカリで計量が可能な限りばらして行いました。それでも、D3sはレンズとバッテリーを外しても約1,200gありました。実際使用時は両機種とも、レンズにプロテクトフィルター、レンズフード、ストラップを装着するので、確実に100gぐらいは増えそうです。
 結局、カメラスペックとして画素数や細かいことを除き、小さく軽くても、確実に性能アップしているので、やはり「写真」は科学技術の進歩をもろに受ける表現技法だとつくづく思うのです。まぁ、比較の仕方はさまざまですが、往年のフルサイズ一眼レフフラッグシップ機と最新のフルサイズミラーレス一眼フラッグシップ機の比較ですからね。ミラーレス一眼は本当に小型・軽量であることを実感した次第です。
■これでおしまい
 あれこれ書き連ねたらきりがありません。いろいろ使ってわかりましたが、操作系はやはりユーザーが自分からカメラに歩み寄っていかなくてはならないのだと、つくずく思いました。ただいままでなかった機能としては、タッチセンサーに象徴されるように表示パネルが単なる表示でなく、レリーズ機能やセットアップ機能などを持つようになったことです。このあたりは、普及タイプの一眼レフたあたりでかなり実績あると思うのですが、単なるグラフィック表示だけでは済まなくなったのも確かなことですので、これからも直感的にわかるようなGUIの設計はますます大切だと思います。
 今回の私の使用記でのランダムな作例は、ざっと見ていただいた範囲ですが、ほとんどが風景であったり、静物写真の拡大版みたいなもので、動体撮影はしてません。もしスポーツの人が高速連写で使ったらどうなのだろうか、スナップの専門家が使ったらどうなのだろうかと思うわけです。

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 ただこれだけシャッターを切っても、私はにはXQDカードの必要性は感じませんでした。写真に示しますが、これだけのアクセサリーがないと使えないのです。ちなみにこれだけで安売り店でも約25,000円もするのです。さらに必要に応じ、これだけのアクセサリーを持ち歩かなくてはならないのです。やはりカメラを作る人は、わずかな性能アップ一辺倒でなく、多くの写真を撮る人の痛みがわからなくてはいけないと思うのです。やはりそのあたりが、カメラの各部機構、操作性、さらには交換レンズなどシステムの構築にも大きく関連してくるのだと思うのです。ミラーレス一眼が今後の主流になるであろうとは思いますが、ミラーレス一眼を、誰に向けて作って、誰に売っていくのかが、いまひとつ見えないというのが正直な印象でした。 (^_-)-☆ (20181027)