写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

個展「僕のバリ島」無事終了

東京写真月間に合わせた、6月1日から15日までの「こどじ写真館」での個展『僕のバリ島』は無事終了し、実に多くの方々に見に来ていただいたことを、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
今回の主力カメラはFujiFilmGF670で、それをベルビアの100で撮り、フラットベッドスキャナーCanoScan9950Fにてデジタル化したデータをiP9910インクジェットプリンターでピクトリコプロ・フォトペーパーにA3ノビ1枚、A3に22枚、A4に2枚プリントしました。展示内訳は、GF670からのプリントが20枚、ニコンD300+18−200mmでのプリントが5枚です。僕自身の展示にあたっての注意点は、銀塩プリントと差がないように染料インクプリンターを使い、光沢度の高い出力紙を使うということでしたが、その点に関しては、大変うまくいきました。自分自身は、スキャニングデータがいまひとつ納得いかない感じでしたが、来場された方々は、かなりの職業人でもプロラボでの銀塩プリントと思ったようですし、フィルムからのプリント20枚、デジタルカメラからのプリント5枚を当てきった人は一人もいなかったことです。特別に新しいプリンターでなく、普通の一眼レフですが、そこに差を求めることはもはやほとんど不可能という感じでした。むしろレンズの焦点距離、深度、最短撮影距離(マクロ度)、撮影環境の照度などから考えた方が意外とイイ線まで行き、ルーペをだして見るようにして判断した人は全滅でした。また6×7の画面を、計算ではA3ノビ相当にはデータ量として1200dpiで間に合うはずですが、いろいろ試した結果、基本を2400dpi(90Mファイル)、一部は4800dpi(382Mファイル)でスキャンし、高解像度データを作りプリントしましたが、高解像度のデータほどシャープで、皆さんがこれはデジタルだといったのが、印象的でした。前から考えていたのですが、インクジェットプリンターは、データ量を乗せればそれだけ画質に効いて来るということが実証されたのも大きな収穫でした。ちなみに中判デジタル一眼レフペンタックス645Dの1カットは113.1Mファイルです。
◇追記◇キヤノンが9600dpi読み取りの可能なフラットベットスキャナー「CanoScan9000F」を2010年7月8日から発売と発表しました。高解像度CCDセンサー、スーパー・トーリック光学系、フィルム読み取りユニットの改良によりフィルムスキャンに適した高画質のスキャンを高速に行え、9,600dpiのフィルムスキャンでは階調を保持したままスキャンすることで、自分好みの作品作りが可能だというのです。いずれにしても9,600dpiで35mmポジが約2分15秒というのも魅力(ブローニーは6×22cmまで読み取り可能)。試してみる価値は十分にありそうです。キヤノンではフィルム・紙焼きの資産を活かすためとかいってますが、まだまだフィルムカメラには楽しい機種も多いわけで、安価で手軽な高品質フィルムスキャナーは待ち望まれていたのです。そして、これからもフィルムが生き続けるためには、高品位フィルムスキャナーは必須なはずですが、キヤノンエプソンニコンとデジタルの企業がフィルムスキャナーをカバーするというのも何か変な感じです。