写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

リコーGXRを使ってみました


リコーからGXRが発売されました。このカメラ「液晶パネル+操作部分+バッテリー」と「レンズ+撮像素子+電子回路部分」を分離できる独創的なカメラです。前者をリコーでは「本体」、後者を「カメラユニット」と称しています。そこで“レンズユニット”でなく「カメラユニット」と呼ぶところがこのカメラのポイント。つまりレンズを交換すると撮像素子も交換されてしまうのです。現在用意されているカメラユニットは「GR LENS A12 50mmF2.5 MACRO」と「RICOH LENS S10 24〜72mmF2.5-4.4VC」の2種類。少し物足りない気もしますが、春には「28〜300mm」相当のカメラユニットも発売されるというから楽しみです。このレンズユニットのおもしろさは、商品名としてはすべて35mm判換算の焦点距離で現されていることです。たしかに撮像素子サイズが変われば、焦点距離換算値が変わるので混乱を招くかも知れませんので納得できる表示法です。
カメラは写って当たり前の時代ですから、あまり細かいことは抜きにして、50mmF2.5 MACROの作例をお見せしましょう。ブログ上では、画素等倍は表示できませんのでリサイズされていますが悪しからず。
【マクロでポートレイト】リコーGXR+50mmMACRO、実際は33mmF2.5レンズですが、APS-Cならではの深度の浅さからくる背景のボケ味、マクロレンズならではの緻密さが充分に発揮されています。プログラムAE(絞りF2.5)、ISOオート、AWB、JPEG Fine

もちろん24〜72mmF2.5-4.4も使ってみましたが、画素数を1000万に抑え込み、エンジンも違うようで、同じ焦点域をもつGX200よりは明らかに低輝度時などは1ランク上の画像になります。ここで少し変わった情報を提供しましょう。“GR LENS A12 50mmF2.5 MACRO”表記は、GR LENSは単焦点レンズ、A12はAPS-C撮像板で1200万画素、50mmF2.5 MACROは35mm判50mmF2.5レンズ相当の画角で撮影できるマクロレンズとなります。“RICOH LENS S10 24〜72mmF2.5-4.4VC”表記は、RICOH LENSはズームレンズで、S10は小型撮像素子で1000万画素、24〜72mmF2.5-4.4は35mm判24〜72mmF2.5-4.4相当の画角のレンズで、VCは手ぶれ補正機構付きとなるようです。ここで注目いただきたいのは、画素数を1000万に抑え込んだことです。リコーだけではありませんが、この時期の小型撮像素子を使ったコンパクトカメラはより高画素より1000万画素に後戻りしたことです。この1000万画素は全紙に伸ばしてもびくともしないデータ量ですから、画素数競争もやっと1段落ということでしょう。
使い勝手としては、通常は24〜72mmを付けておき、必要に応じて50mmマクロをというのが今のところで、春に予定されている28〜300mmと50mmマクロをという組合せも魅力です。カメラユニットの取り外しはレバー操作で、取り付けはカッチと差し込みで気持ちよくガタもなく固定されます。ところでリコーユーザーなら、いままでのコンパクトには1cmマクロ機構がついていたから、マクロレンズは不要ではと考えるかも知れませんが、やはり平坦性やディストーションの問題、APS-Cならではのアウトフォーカス部のボケ味などはまったく別なものです。なお、GXRとは1977年に発売されたリコーのKマウント一眼レフ“XRシリーズ”に由来しているとか。