写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

スリット写真にこだわる

列車1編成を1枚の写真に写し込む「スリット鉄道写真館」というホームページを立ち上げている並木運美さんから久しぶりに連絡がきました。並木さんとは「写真工業」1980年1月号に「スリットカメラ製作記」という記事をお願いして以来ですから、もう30年のおつきあいとなります。いただいたメールは、とくに問題ある内容ではありませんので、その概要を以下に紹介させていただきます。

大変ご無沙汰しております
スリットカメラ鉄道写真館の並木です
写真工業誌では大変お世話になりました。
休刊となったことは残念でなりません。
さてこのたび、私の撮影したスリット写真が広島市現代美術館の主催する特別展で展示されることとなったので、その概要をお知らせします。なぜ広島なのかということですが、広島市現代美術館の主催で「一人快芸術」という特別展が企画され、学芸員の方から8月末頃参加の依頼を受けて参加することとなったものです。今回のこの企画には総勢19人の作家が参加しており、私もその一人です。作家といってもプロの方が大部分で、私などのアマチュアは少数です。なお、テーマは創作活動に係るものがメインですが、写真以外にも様々なジャンルに渡り、パフォーマンスも含まれます。私がマスコミなどを通じて知っていたものは、ユニークな駅の案内文字を製作する佐藤修悦さんと高知県の沢田マンションぐらいです。
今回の特別展の参加決定後、広島市現代美術館学芸員の方に私の出品する作品について大小のロール紙に印刷した作品の写真をメール等で送って検討してもらいました。その結果、展示スペースは15m1面と5m2面の壁面に展示するということなので、なるべく大きい作品がよいということになり、今まであまり作ったことのない幅A4サイズ(210mm)の長いロール紙を使ってカシオペア、北陸など7作品を作りました。そのほか100mm幅の従来作りためていたロール紙の26作品とミニプリントとして昔から多く製作していた作品も40近く用意しました。A4サイズの幅の作品を作ってみて、長すぎて家の中では広げられないのですが、かなり迫力があり美術館の壁に貼ったところを見てみたい気になりました。
特別展の開催期間は12月の19日(土)〜2010年の2月21(日)までの約2ヶ月です。広島は遠すぎて、私も何回行かれるものかわかりませんが、今後拙稿サイトで状況をアップする予定でおります。

並木さんは、お歳の頃は私と同世代。かつてスリット写真が流行った頃に、さまざまな方の写真を見ましたが、並木さんのが一番素晴らしかったのです。そのこだわりは並ではなく、さらに最新の技術を逐次導入して改良を加え、持続性をもたせた結果として広島市現代美術館学芸員の方の目にとまり、アートにまで昇華させたわけです。
並木さん、おめでとう。心からお祝い申し上げます。

■12月5日、夜には、元執筆者の広渡孝さんが福岡から上京されました。広渡さんは古いライカコンタックスに詳しく、九州の祭りを追いかけているプロ写真家です。事前にこのブログを見て、負けないようにとライカⅢfの珍品を持参。しかし当方は、当日ズノー5cmF1.1とフジノン5cmF1.2で遊んでいましたので、参ったなーということでした。このあたりのレンズの描写に関してはいずれ報告します。もちろん話は、写真談義に終始しました。