写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

インスタントカメラ市場へ、富士に加え、キヤノン、ケンコー・トキナーが参入

 富士フイルムインスタントカメラ市場は、年間1千万台を超える勢いであることは、すでによく知られたことです。調査会社(JFK)の調べによると、このインスタントカメラ市場の伸び率は、2016年に対し2018年には162%であったということで、現在ヨーロッパ、北米で伸びており、日本では今年からの伸びが期待されています。ここ数か月の間に発表されたインスタントカメラシステムの概要を紹介します。

キヤノン インスタントカメラプリンター

 キヤノンマーケティングジャパンは、内蔵カメラで写真を撮ってすぐにプリントできる熱現像方式Zinkフォトペーパーを使ったインスタントカメラプリンターiNSPiC CV-123』とiNSPiC ZV-123を2019年5月23日に発表し、6月6日から発売しました。

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≪プリンター部分には米国Zero Ink Technology社の感熱式のZinkフォトペーパーを採用し、紙とインクが一体となった専用のフォトペーパーにプリントが可能。実勢価格1,300円の『iNSPiC CV-123』と自撮り用ミラーが付きスマホからのプリントも可能で実勢価格約17,000円『iNSPiC ZV-123』、Zinkフォトペーパー50枚入り約2,000円≫

富士フイルム インスタントカメラinstax mini LiPlay

 富士フイルムは2019年6月12日に、撮ったその場ですぐにプリントが楽しめるインスタントカメラinstax(インスタックス)シリーズの新たなラインアップとして、カードサイズのフィルムに対応したハイブリッドインスタントカメラinstax mini LiPlay(リプレイ)を2019年6月21日より発売しました。このinstax mini リプレイは、シリーズ史上最小・最軽量とされるカメラ本体には、伝えたいメッセージなどの音声をQRコード化して写真とともにプリントできる「サウンド機能」や、スマホの画像もチェキフィルムにプリントできる便利な「ダイレクトプリント機能」などの新機能を搭載し、さまざまなシーンで楽しめるというものです。ハイブリッドとは、デジタルカメラで撮影し、インスタントフィルムにデジタルプリントすることを意味するようです。

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≪instax mini LiPlayは、カメラに備えた録音機能により最大10秒間音声を録音することができ、その録音データをQRコード化して、撮影画像と一緒にチェキフィルムにプリントできる「サウンド機能」を搭載。プリントされたQRコードスマホで読み取ると音声を再生できる。「サウンド機能」「ダイレクトプリント機能」の利用には、スマホ専用アプリ「instax mini LiPlay」のダウンロード(無料)が必要。録音データの保存期間は、専用のスマホアプリを通じて撮影画像とともにサーバへアップロードされてから1年間とされている。スマホ内の画像をBluetoothでカメラに送信しプリント可能。送信前に画像の拡大や回転もできる。価格はカメラ本体が実勢で約17,000円、フィルム10枚入りで約700円、20枚入りで約1,300円≫

ケンコー・トキナー インスタントフォトプリンター

 さらに2019年7月3日にケンコー・トキナーが『Kodakインスタントフォトプリンター』を発売すると発表したのです。Kodakインスタントフォトプリンターは、1000万画素カメラ付きの「モデルC210」、プリンターのみの「モデルP210」、置き型ドックプリンター方式の「モデルPD460」の3機種を7月19日から発売するというのです。Kodakインスタントフォトプリンターのプリント方式は、熱染料昇華型を採用しています。いずれもBluetoohでスマホと簡単に接続でき、充電式のリチウム電池を内蔵していて、電池交換が不要です。

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≪カメラ付きインスタントフォトプリンターは、もとは“Kodak Instant  2 in 1” 2つが1つにという名称らしい。ボディは白と黄色の2種ある≫

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≪左から、1000万画素デジタルカメラ付きの「モデルC210(14,500円)」、プリンターのみの「モデルP210(12,500円)」、置き型ドックプリンター方式の「モデルPD460(19,500円)」、ペーパーカートリッジは20枚入り(1,380円)、30枚入り(2,010円)、50枚入り(3,130円)、ペーパーカートリッジシール紙(20枚入り)、専用アプリのダウンロードで装飾素材テンプレートや画像の加工が可能(写真の掲載倍率はバラバラです)≫

 ケンコー・トキナーKodakインスタントフォトプリンターは、コダックブランドをプリンターとして取得したPrinics Co., Ltd.の日本国内総代理店として販売するものです。昇華式のプリンターはY.M.C.の3色に加えラミネート層があり、4回ペーパーが出入りする4Pass方式を採用。なお、昇華プリンターのペーパーは大日本印刷製とされています。

 このほかにコダックブランドのZinkインク方式のインスタントカメラもありますが、ケンコー・トキナーの扱うコダックブランドとは別会社だと思われます。

■それぞれが異なる、プリント方式、仕様、価格 プリント需要は拡大されるか

 従来からの富士フイルムインスタントカメラに対し、キヤノンインスタントカメラプリンター、ケンコー・トキナーのインスタントフォトプリンターと呼び名は変わるけれど、改めて考えるとインスタントカメラである事には変わりません。昨今は、デジタルカメラで撮影してもプリントしないといわれていますが、プリンター付きカメラすなわちインスタントカメラの発売がどのようにして受け入れられるか、それぞれの3社のプリント方式、画像サイズ、カメラ本体、プリント用紙の価格などは微妙に異なるわけですが、ユーザーには何をもって好むのか、さらにはインスタントカメラ年間1,000万台の枠をもっと広げるのか、興味は尽きません。