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キヤノン、1.2 億画素CMOS センサー“120MXSM”を販売

 キヤノンは、2015年9月にAPS-H サイズで2億5,000万画素CMOSと有効画素数約1.2億ピクセルCMOS撮像素子を採用した一眼レフカメラEOSのプロトタイプを、次世代の8K映像用CINEMA EOS SYSTEM向けの「8Kカメラ」用として試作発表しましたが、2018年7月下旬より高精細化しているFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)の検査を行うパネルメーカーや、検査用カメラを設計・製造するメーカー向けに、出荷検査基準をより高めたモノクロ対応の1.2 億画素CMOS センサー“120MXSM”を2018 年7 月下旬より発売します。4K・8K 映像技術の発展によりパネルの高精細化が進む中、パネルの検査で用いる産業用カメラにおいて、高解像で、厳しい出荷検査基準を満たしたセンサーのニーズが高まっているそうです。

 キヤノンは、FPD の検査を行うパネルメーカーや、検査用カメラを設計・製造するメーカーなどの顧客ニーズを反映し、出荷時の検査基準をさらに高めたAPS-H サイズ11.2 億画素CMOSセンサー“120MXSM”を量産、発売すると発表しました。この1.2 億画素CMOS センサーは、撮像画面サイズは約29.2×20.2mmでフルHD(1920×1080 画素)の約60 倍にあたる解像度を実現しています。また、多数の画素から信号を高速で読み出す並列信号処理技術により、最高速度11.3Gbpsで1 秒間に最高約9.4 コマ/秒のスピードで出力できる高速読み出しが可能で、画像のトリミングや電子ズームを行っても、高精細で鮮明な画像を得ることができるだけでなく、高精細画像の連続撮影や、動体撮影にも対応できます。
 キヤノンでは、2010 年に1.2 億画素CMOS センサーの開発に成功して以来、これまで複数の検査用カメラメーカーなどに採用されています。このたび、より高い基準の高精細パネル検査に適用できる品質基準を満たすセンサーを抽出する出荷検査アルゴリズムを開発し、このアルゴリズムを導入し、センサーの出荷時の検査基準をこれまでより引き上げたことで、センサーの画素の点欠陥や画素に隣接した傷、非常に狭い範囲の画素群を覆うような傷など、多様な欠陥をさらに高い水準で見つけ出すことが可能とったというのです。これにより、今後は、大型有機EL パネルや8K パネルなど、次世代の超高精細パネル検査での活用が見込まれます。
 また、1.2 億画素CMOS センサーのラインアップには、カラー対応の「120MXSC」も備えており、検査用途以外にも、超高解像度センサーの強みを生かし、映像制作やデジタルアーカイブ、特殊監視などの用途でも活用することが可能で、幅広い分野の産業に向けたCMOS センサーの量産、販売を進めていくそうです。  (^_-)-☆