写真にこだわる

写真の楽しみ方それぞれ。デジタルからフィルムまで、さまざまな話題を提供します。市川泰憲

タブレット、スマホの画像をB0判にプリント

 デジタルカメラの画像にはまだまだわからないことがたくさんあります。1つには、フォーマットと画素数の関係です。これはフィルムの時には、同じ乳剤なら大きな面積のほうが良いときわめて明快でした。ところがデジタルカメラでは、モニター上で細部を確認するときには、画素数が多いほうが良いのですが、プリントするときにはある画素数レベルを超えてしまうと、みな同じに見えてしまうのです。これはプリンターの種別(能力)にもよるようで、大型プリント用のレーザービームプリンターとインクジェットプリンターでは、また違うのです。そんなこともあり、最近は大型インクジェットプリンターを持った友人に甘えて、新型のカメラが登場するとB0判に拡大プリントしてその画質を見るようにしてきています。これらは、定期的に勉強会を開いていますが、ある時、スマホの画像と高画素カメラの画像を比較して見てみようとなったのです。

≪出力画像の検討。一番上と下は1/2.3型2,300万画素のエクスペリアZ5、中間は800万画素ギャラクシースマホの16:9画像≫
 持ち寄った機種は、iPhone 6s(1,200万画素)、iPhone 5s(800万画素)、Xperia Z5(2,300万画素)、Galaxyスマホ(800万画素)、Galaxyタブレット(800万画素)の6機種で、実際は各自が撮影してベストと思うカットをあらかじめプリントしておき、当日皆で比較検討しようというのです。理想的には、皆の持ち寄ったカメラで、同じ場所を撮影して比較するのも良いのですが、日中でないといけないこと、プリントにB0判を精細モードで出力すると1枚80分ぐらいかかるので、予めデータを送っておき、先行してプリントしてもらうのです。僕が送り込んだ画像データは、800万画素のギャラクシー・タブレットSC-03Gのものですが、撮影場所はいつもの英国大使館の正面玄関前です。全体の感じを見てもらうために左右640ピクセルにリサイズしてあります。

≪SamsungSC-03G:1/4型800万画素、裏面照射CMOS、レンズ3.4mmF2.4、露出F2.4・1/714秒、ISO40、3264×2448ピクセル、プリントの評価は6機種と目視で比較しました。いつも同じ場所で、さまざまな機種を晴天時の同時刻に撮影していますが、12月8日の冬時期では、影が大きく出てしまいました≫

≪B0プリントを上から撮影、一番上のプリントがB1、その下がB0で、床の板の幅が約140mmなので、プリントは横幅約1400mmとなります。下にちらっと見えているのはギャラクシースマホの16:9ハイビジョンサイズの画像≫
 ところで5,060万の「キヤノンEOS 5Ds」と4,240万画素の「ソニーα7R Mark II」の画像の違いはどうなのかと気になるでしょうが、B0判に伸ばしたプリントではどちらがどちらかわかりません。唯一わかるのは黄色い車止めポールがソニーの色調が少し濃いことで、ふだんから比較画像を見慣れているとわかりますが、あとは複数の人が目を皿のようにして見てもわかりませんでした(もちろん画素等倍のモニター画像は異なりますので京都MJの記事をご覧ください)。そして、800万画素のタブレットの画像とフルサイズ高画素機の差は、いわゆる明視の距離から見ると一目瞭然ですが、横幅1.5mのプリントの鑑賞距離を約3mとしますと、フルサイズ高画素もスマホタブレットもみな同じように見えるというわけです(もちろんその人の目の分解能の違いにも大きく左右されます)。今回のスマホタブレット比較では、1/2.3型2,300万画素のエクスペリアZ5が一番高解像でしたが、これはセンサーサイズと画素数によるのでしょうが、鑑賞距離になるとみな同じようなものになるわけです。今回のプリントは写真でしたが、これを印刷にすればさらに網点が入るわけですから、スマホ画像で大型ポスターを作るのは特に難しいことではありません。検討したノンライツRF友の会メンバーの結論は、やはりデジタルカメラのコンパクトはつらくなりますね、ということでした。*1

*1:なお今回の結論は、理論値で導き出したのではなく、実際にプリントしてみた結果からのものですので、ご理解ください。 (^_-)-☆